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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第105話・街道整備中

これからもがんばっていきます!!

感想など、ありましたらどんどんお寄せください。

ゴウゴウと勢いよく、水が流れる川。

パラパラと今にも、崩れてしまいそうな谷の地肌。

時折どこからか、獣の咆哮ほうこうが聞こえてくる。

そんな場所に、一本の街道が通っている。

利用する者がほとんどいないのか、その道はデコボコで、所々は土砂崩れで通りにくくなっている。

そんな場所へ、転移魔法の光と共に、若い二人の男女が姿を現した。


「危なかったぜ・・・・」


「カイト殿。 そこまでかたくなにならず、アリア殿に位、お教えしては・・・?」


「いや、そこはなんつーか・・・ 秘密にしておきたいって言うか?」


「?」


俺たちは今、王都とベアルを結ぶ街道の、山岳部に来ていた。

この街道の中で、一番の難所といって良い。

力持ちのダリアさんにも、手伝って頂たい事が沢山たくさんあるので、こうして連れてきている。


「しかしカイト殿。 あの聡明そうめいなアリア殿のことです。 もう感付かれてしまっているのでは?」


ダリアさんの言葉に、ウッと言葉を詰まらせる俺。

確かに、アリアなら感づいてしまっている確立は大である・・・・


「でもさ、昨日と今日のあの様子から見て、まだなんじゃないかな?」


「・・・時間の問題かと思われますが。」


ため息交じりに、正論を、ドラゴンのダリアさんに言われてしまった。


昨日今日と、俺はアリアに、『毎日、いったいどこへ出かけておられるのですか!?  今日という今日は、それを聞かせていただくまで、カイト様から離れませんわ!!』と、怒気交じりに言われてしまったのだ。

さすがに、『離れない』は冗談だと思っていた当時の俺は、考えが甘かった。

部屋まで付いてきたのはまだよかったが、着替えも、風呂へ入るのも、ベットで寝るのまで彼女は離れてくれなかった。

この光景には、いつも俺の横で眠っているノゾミもたじたじであった。

俺にも、かなり目の毒であった。

なぜ、彼女はそこまでのことが、できるのか。  

・・・・・・・・・・そういえば夫婦だったな、俺たち。


ともかく、さすがの俺も、これは陥落しそうになった。


今日の朝まで、そんな彼女との攻防は続いた。

彼女が、トイレに行かなかったら、今日は来られなかったかもしれない。

知られるわけにはいかないのだ。

・・・いや、知られたくないのだ。

これは、完成してから、お披露目ひろめしたいのだ!!


「さあダリア!!  今日の分をはじめよう!!  一日も早く、この街道を整備するんだ!!」


「・・・・・かしこまりました。」


少しの間をおいた後、未だにぎこちない礼を返してくる、ダリアさん。

昨日までで、街道の平地部分の拡張工事は完了したので、今日することは、『トンネル堀り』と、『橋を架ける』事だ。

トンネルは、この山脈の谷を通るあたりの街道が、崩れやすいのでそういった、街道の危ない場所などをトンネルへと切り替えるのだ。

橋も同様だ。

これは、街道の短絡たんらくを目的としている。



◇◇◇



「穴よ、開けーーーーーー!!!」


ばこーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんん!!


トンネル堀りは、いたって簡単。

イメージをして、予定ルートに沿って筒ができるのを頭に思い浮かべるだけ。

あっという間に、またひとつ、トンネルが完成だ。


「・・・カイト殿。 私はここまで乱暴な呪文と、破壊力の魔法は見た事がありません。」


掘り終わったトンネルは、崩れないように土魔法で地肌を岩に変え、強化魔法で補強する。

これで一丁あがりだ。


「・・・カイト殿。 ここまでの事は、無詠唱では私でも、出来ませんが・・・」


ダリアさんが何か言っているが、俺には聞こえない。

する事はまだ、たくさんあるのだ。

さあ、次行ってみよーーーーー!!







思ったより、トンネル堀りは軽く終わった。

まだまだ俺は、快調だ。

体に疲れもないし、気だるさも無い。


「・・・あんな強大な魔法を、三十四回も繰り返して、未だ体が快調なのですか?」


ダリアさんが、俺を変なものを見るような目で、見てくる。

君、その視線は失礼だぞ!

それはさておき。

トンネルは一段楽したので、次は橋を架けよう!!


「ダリアさん、ドラゴンスタイルをとってくれる?」


「・・・・かしこまりました・・・・。」


次にする事は、ダリアさんの力が必要となってくるので、ドラゴンの姿をとってもらう。

これは、この街道にかける橋が大きいので、ダリアさんに手伝ってもらうためだ。


・・・俺の魔法と、力だけあれば、橋ぐらい架けられるんじゃないかって?

いや、無理だ。

俺だけでやろうとしたら、作っている最中の橋をきっと、壊してしまう。

そんなに大きい橋を、宙に浮かせながら、作るなんて芸当は、俺にはできない。

そこで、作っている最中の橋を、ドラゴンスタイルのダリアさんに、持っていただくのだ。

これならば、宙に浮かせたまま橋が作れる!!


我ながら、グットアイデアだぜ・・・


「さーーーーー、落とさないでくださいよ、ダリアさん!!」


「むむむむ・・・・・・!!」


材料は、ボルタやバルアの港にうち捨てられていた、船。

これをばらして、橋へとくみ上げるのだ。

アイテム・ボックスの容量が多くて、本当に助かった。

無論、材料のボロい所は使わないし、ちゃんと全体に強化魔法もほどこす。

架けても、落ちてしまっては意味が無いからな。


「カイト殿・・・!! この重さのものを、壊さぬように、脱力しながらに、持ち上げるのは・・・!!」


「がんばってください!!」


ダリアさんが力をこめてしまうと、洗濯中の服のごとく、橋が破壊されてしまう。

数日前に一度、それで泣いた事がある。

だから、力をこめずにダリアさんには持っていただいている。

赤い体躯の彼女の体が、さらに真っ赤になっているのが分かる。

ありがとうございます。

できればそのまま残り三十分ほど、よろしくお願いいたします。


「う~~~~~~~~~んんん・・・・・・」


橋を両手に持つえびぞった赤い竜と、そのかたわらで魔法を使っている青年のやり取りは、幸い誰に見られる事も無く夕方まで続いた・・・・・・

まだ、鉄道は遠いです・・・・・

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