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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第101話・思い立ったら行動だ!!

これからもがんばっていきます!!

感想や誤字、脱字などありましたら、どんどんお寄せください。

「・・・・・終わった~~~~・・・。」


「カイト様。 彼らが帰って早々、大公のあなたがそんな態度では困りますわ。 ・・・ですが、お疲れさまでございますわ。 今日は家で、ゆっくりとお休みくださいませ。」


体全体の力を抜いて、手や首をだらんとさせるカイト。

それをたしなめつつ、彼にねぎらいの言葉をかけるアリア。


ここは、バルアの街の屋敷の一室。

今、終わったのは、つのっていたベアルの開拓団の、面接だ。

思いのほか、希望者多数だったこの開拓団の希望者を、面接で品定めしていたのである。

理由は、開拓団をやっていける体力があるか、変な下心はないかを見定めるため。

そのためカイトはここで、日本のような質問形式の面接を行いつつ、最上級の『鑑定』で、彼らの心の中にある思惑を除いていたのだった。


結果、希望が千世帯だったのに比べ、選ばれたのは約五百世帯ほど。

しかしこれでも、十分すぎるほどであった。

予定としては、百人そこそこ集まるかな?

程度にしか考えていなかったので。


「ではカイト様。 私はこれから今日訪ねてきた方々の、選考作業に移りますのでこれにて。」


「ああ、印はつけてあるから、よろしく頼むわ。」


「了解しましたわ。」


アリアは、膨大ぼうだいな数の、開拓希望者たちの志望動機などを記した書類を片手に、メイドたちとともに部屋を退出していった。

ちなみに『印』とは、前述の『開拓団の一員にふさわしい者』の印である。


選考通過者が思ったより多かったので、追加で家を建てたり、耕作地を増やさないとなーと、考えつつカイトは、窓から見えるベアルの海に視線を落とした。


実にきれいである。

遠浅で、透き通った海は青や緑色にいろどられ、太陽の光できらきらとまばゆく光り輝いていた。

その海の上には、この街が発展した所以ゆえんたる貿易の船が沢山浮かんでいる。

だがそのどれもが、とても小さな船であった。

日本で言う、せいぜい百トンほどの小船ばかりだ。

遠浅のため、この街の港に入ってこられる船は、水面下の部分を少なくせざるを得なかった。

比例して、船の大きさも小さくなってしまったのである。


この遠浅の海は、遠く、スラッグ連邦という、大陸国家まで続いているらしい。

貿易船の大型化は、不可能と言って良いだろう。

しかし、それが実現できれば、もっと栄えるのではないか・・・・

そんな漠然ばくぜんとした考えが、カイトの中にあった。


「ふああ・・・・ あ、カイト。 『めんせつ』とか言うのは終わったの?」


「・・・おまえ、また寝ていたな?」


この部屋にいた、俺とアリアのほかのもう一人・・・

ノゾミが大欠伸おおあくびをして、目をすりながらもたれかかっていた椅子いすから、体を起こす。

彼女がこの街の新領主、ノゾミ伯爵である。

形式上、必要不可欠な存在なのでこの面接の同席させているのだが、コイツは始まって一分後には寝てしまっている。

野菜大好き領主様である。


「えへへ・・・ だって、話を聞くだけって退屈なんだもの。」


悪びれる様子もなく、照れくさそうに頭をかくノゾミ。

アリアから見た俺もこんな感じなのだろうか?

この間、俺をどう思っているって聞いたら、

『あなたは天然記念物級のバカですわ。 あなたはぜひ、そのままのバカでいてくださいませ。 抜けた部分は、我々で補填ほてんいたしますので』

って、言われた。


・・・・そのままのバカでいろ、ってどういうことだろうか?

俺はそこそこしっかり者のはずなのだが・・・・

ともかく、ヒドイ言われようだった。


それはともかく。


「ノゾミ、今日の仕事はおしまいだ。  今日は好きにして良いぞ。」


「おしまい? カイトも? 」


キョトンとするノゾミ。

顔を縦に振るカイト。

途端に、心地よい南風が窓から部屋へ入ってくる。

それに乗って、潮の香りも部屋へ漂ってくる。


「じゃあ、カイトと一緒にあの青い湖に行きたい!!」


ノゾミが指差すのは、もちろん海。

彼女も興味があったようだ。

前回、ソギクの種の買い付けに来たときは、時間があまりなかったので、海に入って泳いだりする事はあきらめた。

だが今は、まだ昼だ。

水着なんてその辺で売っているので、それを買えばいい。

護衛の数人を連れて行けば、アリアに怒られる心配もないはずだ。


「よし、一緒に行くか!!」


「やったーーーーーーーー!!!」


俺たち二人は、海水浴に行くことにした。



◇◇◇



先ほどから、騒ぎ声が聞こえます。

方向から、さっきまで開拓団の面接を行っていた、この屋敷の執務室からのようです。


私たちは今、バルアの屋敷の一室で、開拓団の選考結果をまとめています。

これを、明日に屋敷の前に張り出すことになっているのです。

周りでも、騎士やメイドの者たちが、この作業を手伝ってくれています。


「お姉ちゃん、涼しい?」


「ええ、涼しいですよ? ありがとうございます。」


「えへへ・・・」


私のかたわらにいるヒカリが、この部屋全体を、魔法で涼しくしてくれています。

この街は南方にあるので、年中そこそこ暑いのですが、彼女のおかげで、この部屋の者は暑い思いをせずに済んでいます。

このタイミングでこのセリフは、彼女に対してかなり失礼ですが、いてくれて本当に助かります。


「-------!!!」

「----!!」

「----------!!!!!!!!」


騒ぎ声が、今度は玄関のほうから聞こえてきました。

何事かと、下をのぞいてみると、カイト様とノゾミが、大はしゃぎで街の方へと下っていくのが見えました。

大慌てで後ろを、メイドや騎士の者たちが追いかけていくのが見えます。

・・・・・何をやっているんでしょうか?

あの領主トリオは。


呼応するように、一人のメイドがノックをした後、この部屋に入ってきました。


「申し上げます。 カイト様とノゾミ様が、『海水浴へ言ってくる』とおでかけになりました。」


・・・・あーーーーー・・・。

『お休みください』と言った言葉はもう、お忘れになったようですね。

もう彼らの姿は、ここからでは見えません。

護衛の者たちは伴っていたようですし・・・ まあ、良しとしましょうか。


「お姉ちゃん、『かいすいよく』ってなーに?」


メイドの言葉に、分からないと言った表情を浮かべるヒカリ。

海水浴と言っても、人それぞれに楽しみ方が異なるので、どう説明しようかと考えていたところ、騎士の一人が、書類審査をしている手を止め、顔を上げました。


「アリア様。 こちらは我々だけでも大丈夫ですので、ご一緒にいかれては?」


その言葉に呼応するように、周りの使用人たちも、賛成と言わんばかりに顔を縦に振ってくれています。


「そうですわね。 では皆さんも、今日はいったん仕事の手をお休めください! 我々も全員で、海水浴に出かけるとしましょう!!」


途端に歓喜の声が上がります。

後すべきことと言えば・・・・・


「申し訳ございません、あなたはこれから厨房に行って、シェフたちに浜辺でバーベキューの用意をお願いできますか?」


「はい! かしこまりました。」


笑顔で、パタパタと厨房へ小走りするメイド。

歓喜の声もおおきくなりました。


あ~あ、今日の仕事は徹夜ですわ。

あの方にも手伝っていかなくては。

私はやっていた選考書類をまとめて机の上に置き、外出の準備をすることにしました。





いえ~い!

鉄道が近くなったぜぃ!!

そんなワードあったかって?

この後の展開にご期待ください。

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