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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第100話・ドラゴンさんの頼みごと

ありがとうございます。

書き進めて一ヶ月。

もう100話です。

これからもがんばってきます!!

当初の計画では、今頃王都の方で初の鉄道が走っていたのですが・・・

今のペースだと、初の鉄道開業は50話ほど先になるかもしれないです。

「どうしたんだ? 改まって話があるって。」


俺は今、自室のベットの上に腰掛けている。

目の前にいるのは、赤目赤毛の見た目、年が十三歳くらいの、大人びた妖麗な女性が椅子いすに腰掛けている。

地竜の、ダリアさんである。

彼女は、俺の従兄妹いとことして、この屋敷に住んでいる。

今は、あてがわれた屋敷の一室で、お勉強をしているようだ。

『人間ってどういう生き物?』っていうお勉強。

一人で部屋にこもって、そんな勉強をしているらしい。

なにか、気になる者でも見つけたのだろうか?


カイトは、その『気になる者』がまさか自分だなんて、思いもしなかった。


「カイト殿。 本日は、頼みがあってまいったのです。」


「頼みごと? 俺にできることであれば協力しますが?」


こうして、ダリアさんが頼み事なんて、何かあったに違いない。

カイトは、疲れてはいたが、真剣にこれを聞く体制をとった。


「うむ。 ありがたい。 実は頼みというのはですな・・・・」


彼女から次に発せられた言葉に、カイトは今日の疲れは吹き飛んでしまい、度肝を抜かれるのであった・・・・。



◇◇◇



つぎの日の朝。

天気は雨。

今日は、一連の作業はお休みで、バルアで開拓団申込者の面接をする運びとなった。

素直にうれしかった。

作業は、すごく疲れるからね。


布団の上で、そんなうれしい気持ちの余韻よいんに浸っていると、アリアがばーーーんと、ノックもせずに部屋に乱入してきた。

俺はまだ寝ぼけ気味だったので、髪はボサボサで寝癖ねぐせもついているし、服も着替えていないので、パジャマ姿だ。

口の辺りには、よだれ跡があるかもしれない。


彼女は、そんな俺に気にする様子もなく、俺の前で仁王立ちする。

俺への、お説教スタイルである。

俺は、朝から彼女を怒らせるようなことをしただろうか?


「カイト様!? 話はメイドの者から聞きましたわ!! なんて事を彼女にさせているのですか!!?」


「ふあ?」


彼女?

彼女って誰??

覚醒かくせいし切れていない眠った脳細胞をたたき起こし、彼女が怒っている案件を探し出す。

そして、検索に引っかかったものがあった。


「あ、もしかして飛ばされちゃったアリアの下着を、俺が魔の森に探しに行ったこと?  大丈夫。  あれなら見つかって、洗濯させたから。 アリアって意外と、かわいいのを使っているんだね。」


ぱこーーーーーーーーん!!!!


顔を真っ赤にさせたアリアに、室内履きの靴でひっぱたかれたカイト。

もしかしなくても、ハズレである。

バカなカイトは、デリカシーのなさ百点満点のセリフで、アリアにぶっ飛ばされた。

最高の眠気覚ましになったことだろう。


「い・・・痛っっ!!! なにするんだよ、アリア!?」


ダメだった。 まだ分かっていない。

カイトの頭はどんなに強い衝撃を与えられようと眠ったままのようである。

衝撃で床に倒れたカイトは、赤く腫れたほおをさすりながら、アリアを見上げる。


するとアリアは、赤い顔のままムスッとした表情で、カイトの首根っこをつかんで、彼を部屋の外へと連れ出す。


「ちょ・・アリア!? ひきづってるって!! 痛い、痛い!!!」


カイトの絶叫を横目に、アリアは彼をズルズルひきづりながら、屋敷の廊下を足早に進んでいった・・・

ちなみに、まだパジャマ姿の上に、頭も寝癖ねぐせがついたままである。



◇◇◇



「朝は最もすべきことが多い時間です。 朝食の支度したくに始まり朝の清掃、奥様の着付けなど、我々メイドに休んでいる暇などありません。」


「むう・・・難しいものだな。 いや、難しいものなのでしゅね。」


「そうですね。 しゃべり方にも気をつけてください。 我々メイドは、この屋敷の顔となってしまう存在です。 お客様への対応など、覚えるべきことはまだまだ沢山たくさんありますよ?」


「よろしく頼む。 ・・・・いえ、よろしくお願いいたしましゅ。」


新人のメイドに、指導を施している様子のメイド長のクレアさん。

クレアさんに向かって、ぎこちない礼と、言葉遣いを見せる新人のメイドは、まだ幼い少女のようだ。

この光景を前にアリアはカイトを、睨み付けてきている。

カイトは、ん~~?と、何かを思い出そうとしている様子だ。


「あ、大公様、奥様。 おはようございます。」

俺たちに対し、きれいなお辞儀を見せて挨拶あいさつをしてくるクレアさん。


「おはようございましゅ、カイトしゃま、奥しゃま。」

俺たちの存在に気づいたようで、新人メイドも体をこちらに向け、挨拶あいさつをしてくる。

なれない言葉遣いにかみまくっている。

そして彼女は赤毛赤目。


そう、地竜のダリアさんである。


「カイト様、これはいったいどういうことか、説明していただけますわね?」

アリアが、般若はんにゃな顔で、こちらをにらみ付けてくる。


「説明というか・・・」


俺は、頭をぼりぼりかきながらアリアに事の起こりを説明する。


それは昨日の夜のこと。

屋敷に戻ってきた俺の部屋に、ダリアが訪ねてきた。

目的は俺に頼み事をするため。

『あの、紺色の服を着ている者たちのやっていることを、百年ほどやってみたい』

ということ。

そうして彼女が魔法で見せてきた画像は、クレアさんが働いている様子を写したもの。


つまり・・・・


『メイドをしたいの?』

『彼女らは、メイドというのか? ともかくあれをやりたい。 そのように取り計らってほしいのだが。』

『なんで?』

『人間の観察中に、興味を持った。 ぜひ頼む。』


この後、カイトはクレアさんに頼み込んで、ダリアさんの頼みごとを聞いてやることにしたのだ。

俺の頼みということもあって、クレアさんはこころよくこれを快諾かいだくしてくれた。


かくして、おそらく世界初のドラゴンさんメイドが誕生したのである。

・・俺とノゾミ以外は、誰も知らないけどな。


このうち、カイトはドラゴンのワードを端折はしょった上でアリアに話したら、すごくあきれた様子で頭を抱えた。

俺も頭を抱えたい事案なので、気持ちは分かる。


「カイト様? 今日はバルアへの出発まで話し合いましょう。 ええ、少し言いたいことがありますわ。」


冷めた視線をカイトに向けながらアリアは、カイトと話し合うこととなった。

ええ、それはもう、背筋が凍りつきそうなくらいに怖い顔で。


今日は、バルアに行く体力残るかな・・・・?

そんなことを考えながらカイトは、先ほどのようにアリアに首根っこをつかまれながら、ズルズルと屋敷の廊下を引きづられて行った・・・・・





その間、クレアさんとダリアは、終始、お辞儀の姿勢だった。

助けてくれよぅ・・・・・

予定が押しております。

鉄道が遠くなっていく・・・

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