第98話・貧困突入の大公様
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「・・・・・・・と、ひとまずこれくらいでいいですわ。 また、肉親をおろそかにするような行動をしたら、許しませんわよ?」
「はい、ごめんなさい。 肝に銘じておきます。」
覇王のような威圧を放つアリアに俺は、精一杯の返事と土下座を返した。
人間型になったダリアさんを、従兄妹と紹介したカイト。
だが、彼女を孤児と紹介した際、アリアに怒られてしまったのだ。
『幼子を一人、二ヶ月も放っておくとはなにごとですかーーーーー!!!』と。
こってり彼女の部屋でしぼられた俺は、『肉親は、大切にすること。』と誓約させられた。
ちなみに俺の肉親は、今は日本である。
大切にしようにも、世界の壁を越える方法が分からないので、保留である。
「さて、次は彼女の処遇ですわ。 あなたは彼女を、どうするおつもりなのですか?」
「いや、孤児院はだめ! 彼女は寂しがりやだから、そんなとこに入れるのは無理だ。」
本当は、ドラゴンだから。
ドラゴンが孤児院入りとか、どこの笑えないギャグであるか。
「まあ、大方そんなことだろうと、予想はしていましたわ。 ノゾミや、ヒカリもいることですし、良いのではないでしょうか? 二人が三人になったところで・・・」
どこか、哀愁漂う雰囲気をかもし出したアリア。
素直に、許可をもらえてよかった。
アリアに拒否されてしまったら、どうしようかと思っていたから。
ただし、と付け加えてくるアリア。
「いいですか、カイト様。 彼女は、傷心の少女です! あの尊大な態度なども、ご両親を失った悲しみの、裏返しですわ。 あなたは、彼女の心を責任もって、なぐさめるのです!! 分かりましたね!?」
いいえ。
彼女の尊大な態度は、ドラゴンゆえだと思われます。
・・・なんて言えない。
でも、寂しい思いをしていた傷心のドラゴンではあるっぽいので、アリアの言葉はあながち間違いでもない。
「カイト様!! 返事は!!???」
「は・・・はい!!!」
こうしてダリアさんは、我が家に住むこととなった。
ところでと、アリアが話を続けてきた。
俺の留守中に、何かあったのだろうか?
「話は変わりますが、この街の税金が、何者かによって横流しされていたことはご存知ですか?」
「ああ。 そういえばそんなことを、聞いた事があったな。」
それは、俺がこのベアルの地に着いた日のこと。
早速街の調査へと出かけた騎士さんたちからの報告で、衝撃的なことが分かったのだ。
『何者かが、不法に住民たちから税金を搾取している』ということ。
この街の監督官が二年前、暗殺されて以来、税金を取り立てる者はこの地にはいなかったはずである。
山脈もあったせいで、コストを考えると、役人がわざわざこの地まで出向いて、税金を納めてもらうということも、なかったのである。
つまり、この街では、税金などあるはずがなかったのである。
・・・が、住民たちはそれを、どこかへ払い続けていたらしい。
行方は分からない。
この街の盗賊を一網打尽にした際も、彼らを問いただしても何の情報も仕入れられなかった。
「そこで、新たな情報が舞い込んできたのです。」
「新情報?」
「はい。 新たな情報によると、住民たちから税を取り立てていたのは、三人組の騎士だったようです。 それも、どこかの領地の、正騎士の・・・」
なんだって!?
ということは、どこかの領主が、不正にこの街の税を取り立てていたって事か!?
おいおい。 だれだよ、そんなことをするやつは!!
「今、王宮では、汚職に手を染めていた貴族たちに対する尋問がされていますわ。 その中に、不正に他領地の税金を取っていたものが幾名かいたようですので、その者たちのいずれかが・・・」
「ふわ~~~~~。」
すげえな、貴族の汚職事件。
笑うしかねえや。
そこまでする貴族って、どうなのだろうか?
っていうか、どうして今まで気がつかなかったの?
手口が巧妙だったのかな??
「この街の住民が貧困にあえいでいたのも、これが原因ですわ。 税は、取れた作物の七割。 これでは生きていくのすら難しかったことでしょう。 幸いこの街は、南方にあったので生き残れたようですが・・・」
七割・・・・!!
税金が七割って、ヤバ過ぎだろう。
この街の住民の服がみな、ボロボロだったのもそれが原因か。
「カイト様。 とりあえずのところ、この街の納税は五分でいかがでしょうか? 街の整備などの費用は、私たちで出しましょう。」
五分とは、一割のさらに半分である。
この町の住民に、税金なんか、払わせたくない気持ちもあるが、これからバルアの開拓団の人たちが来ることを考えると、特例による税金の免除とかは難しい。
不公平は、争いを呼ぶから。
「分かった。 税金は、その不正に取られていた分は当分、免除するようにってできる?」
「承りましたわ。 当分家が貧乏になりますが、よろしいですわね?」
そりゃそうだろうね。
だって国からの大公への、給料を使って街を整備するって事は、そういうことなのだから。
ちなみに、使用人たちの給料は別途、国から支払われるので大丈夫である。
鉄道が遠いくなるが・・・・
いや、急がば回れだ。
一見遠そうで、近づいているはずさ!
カイトたちは、貧困に突入することとなった。
また、話脱線です。
う~ん、困りました・・・。