第96話・新たな問題
これからもがんばって書いていくつもりです。
誤字や脱字、感想などありましたら、どんどんお寄せください。
「大公様。 例の件の、申し込みはうなぎのぼりのようです!!」
「ああ、どうもありがとう。 ある程度たまったら持ってきてくれ。」
「了解しました。」
報告を終えると、メイドは一礼して、カイトの執務室を後にした。
バルアでのあの、群集を笑いの渦に巻き込んだ、とんだ領主の挨拶から早三日。
カイトたちは、ベアルの屋敷へと戻ってきていた。
もちろん、ノゾミも。
領主が領地を不在にするのは良くないが、ノゾミはバルアに残ることを良しとしない。
そこで、カイトは空間魔法で、バルアとベアルの屋敷をつなげてしまったのである。
つなげたといっても、物理的にではない。
ベアルの屋敷内に、バルアの屋敷の一室へと続く、扉をつける。
流石すぎるカイトは、そんな人間離れしたことをしたのであった。
転移魔法の、応用である。
これのおかげで、リアルタイムでベアルにいながら、バルアの状況を知ることができた。
「いや、良かった。 例の件がうまく言っているみたいで。」
うれしそうに、すごーく嬉しそうに、目を細めてそう言うカイト。
先ほど、バルアから報告に来たメイドの女性も言っていた『例の件』とは、とある募集申し込みのことである。
その内容は、
『ベアルで、ソギクを育ててくれる農夫さん募集。 経験不問。 開墾は、領主が行います。 家なども無償提供します。 』
と、言うもの。
これを今、バルアの街で募集しているのである。
あんな、散々な挨拶のせいで、領主らの尊敬は失墜したことだろう。
もしかしたら、誰も応募してくれないかもしれない・・・・
そう思っていたら、結果はすごい申し込み数。
バルアだけではなく、噂を聞きつけた、他の町からやってきた者たちも、応募しているらしかった。
大変に、嬉しい誤算である。
許可をしてくれた、ノゾミ伯爵様には感謝である。
・・・・・本人の前で、この呼び方をしたらぶっ飛ばされるけど。
『私、よく分かんないから良いよー』と、言ってくれたのである。
実に、話が早くて助かった。
もっとも、ノゾミはバルアの街を『カイトがいろいろ手を下している、よく知らない場所』くらいにしか考えていなかったのが大きな要因なのだが・・・・
とにかく、これだけ応募者が多いのなら、ベアルの再興は夢ではない。
鉄道も近くなってきた!!
その時、ノゾミが狙い済ましたかのように、部屋に入ってきた。
いつものごとく、ノックは無しだ。
結構びっくりするので、ノックを教えようかと考えたこともあった。
・・・が、ノゾミの怪力で扉を叩けなんて言ったら、ブチ破られてしまう危険があったので、やめた。
「カイト、今日暇でしょ!? 久しぶりにダリアさんのところに遊びに行こうよ!!」
キラキラした目で、俺に嘆願してくるノゾミ。
・・・はて、ダリアさん・・・・・・・
さんさんさん・・・・・・
しまった、忘れてた!!
森で会った、友達(?)のダリアさん。
デカくて赤い、ドラゴンさんである。
地竜族なのに、翼があるという、変わったヒトだ。
まずい。
最後に会ってから、もう一週間は経過している。
いろいろあったせいで日数があいてしまったので、少しは大目に見てほしいところだが、『頻繁に会いに来い』と彼女が言ってきたのを承諾した手前、不吉な予感しかしない。
怒っていはしまいか?
ここへ殴りこんできていないだけ、大変に良かったが、これは爆弾であった。
いますぐ、会いに行こう!!
カイトは、すぐさまノゾミを引き連れて、森へと急いだ。
◇◇◇
「遅い!!! どれだけ待ったと思っている!?」
「ごめんなさい!」
森の中で、木を引き抜いてはその葉っぱを一枚一枚抜くという、よく分からない地道な作業を繰り返していたダリアさん。
作業の意味は分からないが、大変ご立腹のようだ。
「なかなか来ないので、もう忘れられてしまったと思ったぞ!?」
ごめんなさい、本当に忘れていました。
なんて言えない。
彼女には、大変さびしい思いをさせてしまったようだ。
「うちに来ればよかったのに。」
ノゾミがそんなことをあっけらかんと言う。
大騒ぎになってしまうのでは、と思うが、それも覚悟していた。
もし、そうされていたらどうなっていたことやらって、思うけど。
「木が邪魔でね。 なぎ倒しながら向かったら迷惑かと思ったのだ。 来てもらえて嬉しいが、もっと頻繁にこれないのか!?」
ドラゴンが、ここまで気を使うなんて普通、ありえないのだが、ここではそのことについては省く。
このダリアさんの、この提案は、この先は難しいかもしれない。
ベアルの産業発展のために、この先忙しくなりそうなのだ。
ここへ頻繁に来るのは、アリアの存在的にも危なすぎる。
それを伝えると、小さくうずくまってしまうダリアさん。
う~ん。
どうにかできないものか・・・・・
「ダリアさんさ、うちに来たら良いんじゃない!?」
そんな重苦しい空気が、ノゾミの一言で吹き飛ばされた。
「え、でもノゾミ、彼女はドラゴンだからそれは・・・」
きっと、この図体では、大騒ぎになってしまう。
だが、ダリアさんは、『その手があったか!!』と言わんばかりに大きく目を見開く。
しかし、ダリアさんがうちへ来て、どこへ置いておくか・・・
だめだ。
いろいろ問題になる気がする!
主にアリアが!!!
俺たちはしばし、森の中で議論することにした・・・・・・・・・・
作者の頭が、容量オーバーでパンクしました。
復旧まで、しばらくかかるかもしれません。
次話投稿まで、しばしお待ちください。