表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜獣士  作者: ゆめ
5/78

~迷子5~

その瞬間





「アオーーーン」


一匹の狼が遠吠えをした。近くで聴くのは初めてだ。耳をつんざくような高音。思わず耳を塞ぎたくなる。


その遠吠えにつられ、次々と遠吠えの声が聞こえてくる。


「仲間を呼んでいるのだろうか?」


思考を巡らせていると次々と狼が集まってくる。


私が脱ぎ捨てた衣服を引っ張り合い引きちぎっている光景。


この木に気づいていなければと考えるとぞっとした。衣服を捨てて来たのは、正解だったのか間違いだったのか。正解であれば彼らはこちらに気付かず立ち去るだろう。そのまま立ち去ってくれる事を祈りながら彼らをじっと見つめる。


日中あれだけ歩き回ったのだ。疲れきった私に睡魔が襲ってくるのは当然のことだ。

しかしここは木の上、睡魔という甘い誘惑に負けてしまえば、間違いなくバランスを崩し落下。この高さから落ちれば命は助かったとしても致命傷は免れない。いや、それだとまだいい、先ほどの衣服のようにボロボロにされるという最悪の未来も想定できる。睡魔に負けるわけにはいかない。


睡魔と闘いながら、狼たちの観察を続ける。ひときわ大きな狼が遠吠えを始めた。


「アオーーン」


釣られる様に数頭が後に続く。初めて見る野生の狼の遠吠え、静寂が支配する闇を切り裂く音の波。ものすごい迫力だ。遠吠えが止むと、狼たちはなにやら不思議な行動をとる。

その場でクルクルと回り始めたのだ。自身の尻尾を追いかけるようにくるくる、くるくると回っている。不思議な光景だ。テレビでも見たことがない。一体あれは・・?

思考を巡らせたところで、答えなど出るわけがない。しかし睡魔と戦うにはこれ以上ない武器だ。

匂いを探しているのか?自身の匂いをつけるマーキング行為か?いや・・喜びのダンスであろうか?睡魔を忘れ、いくつもの仮説を立て終える頃、狼たちが回るのをやめ、またしても不思議な行動に出る。綺麗に整列し、犬でいうお座りをしたのだ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ