序章
冴えない中学時代を送り、高校デビューを期待していたが、
クラスの雰囲気に馴染めずに絶賛ぼっち中の男子高校生 不動 進(17)
自分で言うのも何だが、決して悪くない容姿だし特別人見知りっていうわけでもないが、
幾度もタイミングを失い、入学後はや1ヶ月、友達がいない
家へ帰っても両親が共働きのため誰もおらず、会話する相手もいない。
そんな俺がパンドラの箱を見つけたのは、夏休み間近の頃だった。
親戚のお兄さんから、進も今時の高校生はパソコンくらい使いこなせなくては困るという話から
パソコンを買ってくれるというのがきっかけだ。
アナログ派で機械が好きじゃない父さんが、珍しく頭を立てに振ったのを俺は良く覚えている。
そこからあれよあれよと、俺はパソコンにのめりこんでいき、
次第に学校でぼっちになっている事はどうでもいい些細な事になっていった。
明日から夏休み。
クラス中がその話で持ちきりだ。
当然俺にその話をしてくる奴はいないけど、俺も頭の中では夏休みの事で頭が一杯だ。
海に行くだの、親戚の家に行くだの、海外に行くだの、そんな話を聞き流しながら
俺の高校生活最初の夏休みは始まった。