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悪魔之小噺

作者: 藤珠月
掲載日:2015/05/30

 こりゃこりゃどうも、はじめまして。

 え、私が誰だって?

 面白いことを言いなさる。

 あなたが私を呼び出したんですよ?


 私、悪魔でございます。


 なんだって?私が本物の悪魔かって?

 失礼言っちゃいけません!

 ちょっと黒っぽい肌に、頭には可愛らしいツノ。ほらほら、尻尾もありますよ。

 この格好を見れば誰だって分かるでしょう!


 え、分からない?

 往生際の悪い人ですねぇ。


 あ、まだお亡くなりになってはいませんでしたね。

 大変失礼ござんした。


 へぇ、これでも分からないんで?

 しょうがない、ここまで言ってもお分かりにならないようなら、私が悪魔である証明を、お見せいたしやしょ。

 人間が知らない私たちの素顔を、ちょいと語らせてもらいまひょ。




 悪魔といえば何色でしょ?

 ほら、やっぱり「黒」って言いますよねぇ。

 そういうイメージを人間の皆さんはお持ちのようですな。

 これだから、一度できたイメージは怖い。振り払うのは大変でござんす。


 まだキリスト教ができた頃はねえ、私は美しい菫色とか、紺色だったんですよー。

 あの時がいちばん綺麗だったなぁ。はぁ。


 で、ビザンチン時代に、頭がいくつもある怪物にされました。

 そりゃあもう、プライドが傷つきましたよ。

 へ、悪魔にもプライドがあるのかって?

 当たり前じゃないですかぁ。

 もう、ずたずたのぼろぼろでございます。


 そのあとしばらくして、人間みたいな姿に戻されたこともありました。

 尻尾と長いツメといっしょにねぇ。はぁ。

 この頃だったかな、黒い姿になったのは。


 そんでもって、その頃の修道士や画家たちが、よってたかって私の体をいじくりまわしたんでございます。

 相当暇だったんでしょうかねぇ、あの人たち。

 私の腹や尻に顔をつけて、愉快な格好にしてくれましたよー。


 余談ですがね、ここで私たちと同じ目にあったのが、魔女の皆さんですよ。

 絵画のなかの魔女は裸でいることが多いんです。

 どうしてか、分かります?

 分かんないですかぁ。


 あのですねぇ、女性の悪徳のひとつ「淫乱」を表すため……という口実。

 これはねぇ、あくまでも口実ですよ。

 これによって、画家が躊躇なく女性の裸を描くことができたというわけでさぁ。

 そういうことですよ。


 彼らによると、魔女は裸一貫でザルに乗って、サバトに行くんだそうで。

 なんと素晴らしい想像力だこと。

 私としては、その能力をもっと別の場所で使ってもらいたかったですね。


 あれ、どこまで話しましたっけ?

 ああ、修道士の尻の話ね。

 こほん、さてと。

 

 ルネッサンスの時代は、皆さん楽しそうでした。

 はあ、羨ましいことです。

 でも私はねぇ、サテュロスとかいう古代ギリシアの怪物の姿を混ぜられてねぇ。

 そうだ、この時ですね。頭にツノがついたのは。


 言ってる意味わかります?

 はあ、分からない。

 しゃーないなぁ。

 ちょっとは自分の頭で考えてくださいよー。


 つまりはこういうことですよ。

 私はキリスト教徒から見た「異教徒」=教会の敵の代表に選ばれちまった、こういうわけでさぁ。


 あ、もしかしてあんた、キリスト教徒?

 え、違うの。そっか。


 ほんじゃあちょっと言っておきますがね、悪魔も神さんが作ったんですよ?

 自分の自由意思で「善でないもの」「存在しないもの」を選んだ天使。

 善が部分的に欠如した存在。

 それが悪魔なんでございます。


 ま、とりあえず「人間に不都合なもの」「害をあたえるもの」が悪魔なんだと理解しておいてもらえればよろしい。

 そういう人間の自己満足から生まれた存在なんでっさ、私たちはね。

 

 こんな感じで現代まで来たわけですがね、ここ最近に思うんですよ。

 みんな、私の姿を描いているようにみえて、自分の姿を描いてるんじゃないか、ってね。


 私はあくまでも悪魔ですからね、人間のやってることなんて知ったこっちゃありませんよ。

 「自分の正義」を貫くためにお互い殺しあったり、「進歩」と銘打って自分の住んでいる星を壊したり。

 悪魔はあんなこと、しませんよ。


 とどのつまり、怖いのは悪魔だけじゃないのでさぁ。

 ま、とりあえず「人の振りみて我が振り直せ」とでも言っておきましょうかね。




 さあてと、あなたのお願いとは何でしょう?


 ……あら、寝ちゃってらぁ、この人。

『悪魔のダンス~絵の中から誘う悪魔~』視覚デザイン研究所編

上記作品を参考にして書きました。

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