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年末年始の嬉しい再会②

今回は前回の続きとなります。



さてさて、風俗業界の繁忙期、

一年で一番お客様がご来店されるこの年末年始、


特に嬉しかったお客様二人目を

ご紹介させていただきます




こちらのお客様は、

フウカが入店して、一番最初に

接客させていただいたお客様。



販売業をしている友人が、新入社員のころ、

「一番最初に購入してくれたお客様は、

ちゃんと覚えておきな」

と、上司に言われといいますが、



フウカも、まさにそんな感じで、

このお客様のこと、

本当によく覚えています。




それまで講習は受けましたが、

お金をいただく初めての接客だったので、


「うまくいかなかったら、どうしよう…」

「店長は、怖い客はいない、って言ってたけど、

 本当に、本当だよね…」


と、心臓バクバク、のどから飛びでてきそうでした。



が、杞憂でした。



「よろしくね」

と、お客様は和やかな雰囲気の優しい方で、



とはいえ、プレーでは、ハードなプレーを

望まれるのですが、



でも、その最中も「痛くない?」等々、

気遣ってくれます。




有難いことに、当風俗店「パッション」にいらっしゃる

お客様は、大方、一般常識のある、

紳士な良い方ばかりです。



ですが、同じ良い方でも、

社交的とはいかないまでも、

「雰囲気も優しく女の子側からも親しみやすい」

良い方もいれば、



「ちょっと近寄りがたく、ぶっきらぼうで

つっけんどんで、

全然悪い人じゃないんだけど、

でもちょっとこのお客様は苦手…」

という方もいらっしゃいます。


そうすると、こちらも緊張し、

その雰囲気がお客様にも伝わってしまうのか、

なかなかうまく接客できないことも、あります。



フウカが初接客させていただいたお客様は

前者の部類のお客様です。



初接客で後者の部類のお客様だったら、と思うと、

初っ端から自己嫌悪に落ちかねないので、



優しいお客様で本当にありがたかった、

と思います。



と、それがちょうど一年前、

そのような最初の出会いだったのですが、



さらにこのお客様は、日を改めて、

2、3度、遊びに来てくださいました。



この方も、現在のお住まいは県外で

お正月の帰省中を利用して、

遊びに来てくださっていました。



なので、お正月休みが終わるころ、

「明日の飛行機で、帰るんだ。

でもまた、ゴールデンウィークとか、

お盆に遊びに来るね」

と、言い残して、県外にお戻りになり、




なのでフウカも、

ゴールデンウィークやお盆で

また再会できるかなぁ、

と、心の隅で考えていました。




ところが、ゴールデンウィークになっても、

お盆になっても、



このお客様、いらっしゃいません。




「客はなんだかんだ、心変わりするから、

あてにしないほうがイイよ」


「客の言うことは、話半分に聞いといたほうがイイよ」

と、以前、店長が言っていたことを思い出しました。



そうだよね、あのお客さん、

もしかしたら結婚して、

で、風俗通い、やめたのかもしれない。



(実際に、「結婚したら、風俗通いは辞める」

とおっしゃっているお客様も、いらっしゃいます)



いやいや、ここ「パッション」ではなく、

他のお店に通っているのかもしれない…。



いや、「パッション」に通い続けてるけど、

フウカではない、他の女の子に

通ってるのかもしれない。



実際にあります。

それまで、ずっとフウカに通ってくださっていたお客様が、

ある時パタリと来なくなり、


同じ「パッション」内の、

違う女の子に通っているパターン。



これって、知ってしまうと、

フウカの場合は本当にショックです。



何が悲しいって、

一度しか会ったことないお客様なら、

全然かまいません。



今までずっと自分に通ってくださっていた方が、

突然他の女の子に通ってしまう、ということが

悲しいんです。



「あぁ、ついに自分も、

飽きられちゃったんだなぁ…」

って涙をのみます。




ま、でも、それはそれで

しょうがないですよね。



ここは、そういう業界ですので、

わりきるしかありません。




それに、かく言う自分も、各お客様からみれば

「自分以外の他の客と、いっぱいしてるんだろ」


と、そういうこと、ですよね。




今、このお店を辞めて、

とあるお客様と結婚できる?と問われても、


残念ながら、そこまでの覚悟はありません。




と、話はそれましたが、そのようなわけで、

ここ最近では、このお客様のことも、

すっかり忘れていたところに、



今回の年末年始、1年越しに

このお客様、ご来店されたんです。



「覚えてる?」

「もちろん、覚えてますよ!!!」




なんだか、ほんとうに感激でした。



「あれから全然遊びに来てくれないから、

もう結婚しちゃって、

お幸せになってるのかと思いました」


「そういうわけじゃ、ないんだけどね…」




お客様はそれ以上は苦笑いを浮かべるものの、

それ以上は何も語らないので、


実際に、何があって通われなくなったのかは、

分かりません。



単にお仕事が忙しいだけかもしれませんし、

他の理由があるのかもしれません。



でも、フウカもそれ以上詮索はしません。



ここ風俗は、そういう世界、であり、

それ以上を望むべきところでは、ないはず。



とにもかくにも、わざわざまた、

フウカに遊びに来てくださったこと、


それに感謝すべき、ですよね。



フウカ


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