魔術試験法
・第1章 総則
第1条 魔術試験の目的
魔術試験は、禁忌官又は魔術執行官となろうとする者について、及び魔術師となろうとする者について、必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。
2、この法律は、神秘省設置法第34条に基づいて行われる魔術試験、魔術予備試験及び魔術師試験(以下、魔術試験等と称する。)について定める。
3、魔術試験等は、魔術大学院並びに魔術を主目的として教授する学部等の有機的連携によって行う。
第2条 方式
魔術試験は、筆記、面接及び実技によって行う。
2、魔術予備試験は、筆記及び実技によって行う。
3、魔術師試験は、筆記によって行う。
第3条 筆記試験
筆記試験は、短答式(択一式を含む、以下同じ。)及び論述試験とする。
2、短答式において合格点に達しない者は、論述試験の採点を行わない。
第4条 実技
実技試験は、複数の監督者の前において、魔術を行う試験とする。
第5条 面接
面接試験は、口頭試問の試験とする。
第6条 合格者判定
魔術試験の合格者の判定は、筆記試験について合格に必要な成績を得た者のうち、実技試験について合格に必要な水準に達していると認められた者について行われる、面接試験の成績を総合して行うものとする。
2、魔術予備試験は、筆記試験について合格に必要な成績を得た者のうち、実技試験の成績を総合して行うものとする。
3、魔術師試験は、筆記試験の成績によって判定を行うものとする。
・第2章 魔術試験等
+第1節 魔術試験
第7条 試験科目等
魔術試験の短答式による筆記試験は、禁忌官又は魔術執行官となろうとする者に必要な専門的な魔術知識及び知識の推論の能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。
一 高クラス魔術に関する科目(Aクラス以上の魔術に関する分野の科目を言う。以下同じ。)
二 魔術の基礎に関する科目(Bランク以下の魔術に関する分野並びに手野大学において魔術基礎科目に指定されている科目を言う。以下同じ)
三 一般教養に関する科目
2、論文式による筆記試験は、禁忌官となろうとする者に必要な専門的な学識並びに論理的な分析、構成及び論述の能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行う。
一 魔術の発動に関する科目
二 詠唱魔術の詠唱に関する科目
三 魔術法制に関する科目
四 専門的な魔術分野に関する科目として神秘省令で定める科目のうち受験者のあらかじめ選択する一科目
3、前二項に掲げる試験科目については、神秘省令により、その全部又は一部について範囲を定めることができる。
4、面接試験は筆記試験を合格した者のうち、第2項4号に関する内容の試験とする。
5、実技試験は面接試験を合格した者のうち、魔術の適用能力、分析能力、並びに基礎的な魔術の知識からの推論についての能力を有するかどうかの判定に意を用い、魔術実務の基礎科目並びに応用科目について行う。
6、魔術試験においては、その受験者が禁忌官又は魔術執行官となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を備えているかどうかを的確に評価するため、知識を有するかどうかの判定に偏ることなく、魔術全般に関する理論的かつ実践的な理解力、思考力、判断力等の判定に意を用いなければならない。
第8条 魔術試験の受験資格等
魔術試験は、次の各号に掲げる者が、それぞれ当該各号に定める期間において受けることができる。
一 手野大学魔術大学院の課程を修了した者のうち、最初の4月1日から8年を経過するまでの期間
二 魔術師試験に合格した者のうち、最初の4月1日から5年を経過するまでの期間
三 魔術予備試験を合格し、その合格の発表の日後の最初の4月1日から5年を経過するまでの期間
2、前項の受験資格を有する者は、その期間内に、以下に定める回数の範囲内で受けることができる。
一 前項1号の者 5回
二 前項2号の者 5回
三 前項3号の者 3回
3、手野大学を除く大学または大学院大学において設置される手野大学魔術大学院と同等の課程を有する大学院を卒業した者については、本条における魔術予備試験を合格した者とみなす。
4、本条第1項において、複数の受験資格を有する者については、受験資格の1つを選択しなければならない。
5、前項において選択した受験資格以外の受験資格については、本条における受験資格とすることができない。
+第2節 魔術予備試験
第9条 魔術予備試験
魔術予備試験(以下「予備試験」という。)は、魔術試験を受けようとする者が、前条第1項に掲げる者と同等の学識及びその応用能力並びに魔術に関する基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、筆記試験並びに実技試験において行う。
2、予備試験における短答式による筆記試験は、以下に掲げる科目について行う。
一 魔術の基礎に関する科目
二 一般教養に関する科目
三 詠唱魔術の詠唱に関する科目(三重以下の魔法陣を必要とする魔法に関する詠唱魔術に関すること。以下、本条において同じ)
四 魔術法制に関する科目
3、予備試験における論文式による筆記試験は、以下に掲げる科目について行う。
一 魔術の発動に関する科目
二 魔術事故(重大魔術事故、一般魔術事故の双方を含む。以下同じ)に関する科目
三 詠唱魔術の詠唱に関する科目
四 専門的な魔術分野に関する科目として神秘省令で定める科目のうち受験者のあらかじめ選択する一科目
4、実技試験は筆記試験を合格した者のうち、魔術の適用能力、分析能力、並びに基礎的な魔術の知識からの推論についての能力を有するかどうかの判定に意を用い、魔術実務基礎科目について行う。
第10条 魔術予備試験の受験資格等
魔術予備試験は、以下の各号に掲げる者が、それぞれ当該各号に定める期間について受験することができる。但し、定めがない者については、無期限とする。
一 魔術師試験に合格し、受験をする年の3月31日に45歳に達していない者
二 外国の魔術学校を卒業し、または外国において魔術師免許を受けた者で、神秘大臣が手野大学魔術学部及び文化学部と同等以上の学力及び技能を有すると認定した者 認定を受けた時点の次の4月1日より5年
三 神秘大臣が別に定める規則に従って指定又は認定をした者 認定を受けた時点の次の4月1日より3年
2、前項の受験資格を有する者は、その期間内に、以下に定める回数の範囲内で受けることができる。但し、定めがない者については無制限とする。
一 前項2号の者 3回
二 前項3号の者 3回
+第3節 魔術師試験
第11条
魔術師試験は、魔術師として必要な知識及び技能について行う。
2、魔術師試験における短答式による筆記試験は、以下に掲げる科目について行う。
一 魔術に関する国際条約並びに法律及び命令に関する科目
二 魔術の基礎に関する科目
三 詠唱魔術の基礎の詠唱に関する科目
四 一般教養に関する科目
3、魔術師試験における論述式による筆記試験は、以下に掲げる科目について行う。
一 魔術の発動に関する科目
二 魔術事故に関する科目
三 詠唱魔術の詠唱に関する科目
四 専門的な魔術分野に関する科目として神秘省令で定める科目のうち受験者のあらかじめ選択する一科目
4、魔術師試験は、魔法を専門に教授する専門学校、大学学部または専攻、並びに短期大学その他学校のうち、神秘大臣が別に定める学校を卒業した者でなければ受けることができない。但し、神秘大臣が特別に認めた者は、この限りではない。
+第4節 合格等
第12条 魔術試験委員会の意見の聴取
神秘大臣は、本章第1節から第3節までの規定に基づいて神秘省令を制定し、又は改廃しようとする時は、魔術試験委員会の意見を聴かなければならない。
第13条 魔術試験等の実施
魔術試験並びに魔術予備試験は、それぞれ、魔術試験委員会が毎年1回行うものとし、その期日及び場所は、あらかじめ官報をもって公告する。
2、魔術師試験は、魔術試験委員会が毎年1回以上行うものとし、その期日及び場所は、あらかじめ官報をもって公告する。
第14条 合格者の決定方法
魔術試験の合格者は魔術試験委員の合議による判定に基づき、魔術試験委員会が決定する。
2、魔術予備試験並びに魔術師試験の合格者は、魔術試験考査委員の合議による判定に基づき、魔術試験委員会が決定する。
第15条 合格証書
魔術試験等に合格した者には、それぞれ当該試験に合格したことを証する証書を授与する。
第16条 名称の使用制限
魔術師試験に合格した者でなければ、魔術師と名乗ることができない。
2、魔術予備試験に合格した者でなければ、魔術官と名乗ることができない。
3、魔術試験に合格した者でなければ、高度魔術師と名乗ることができない。但し、禁忌官又は魔術執行官の職に就いた者は、高度魔術師と名乗ることはできない。
第17条 合格の取消等
魔術試験委員会は、不正の手段によって魔術試験等を受け、若しくは受けようとした者又はこの法律若しくはこの法律に基づく神秘省令に違反した者に対しては、魔術試験等を受けることを禁止し、合格の決定を取り消し、又は情状により5年以内若しくはそれ以上の期間を定めて魔術試験等を受けることができないものとすることができる。
第18条 受験手数料
魔術試験等を受けようとする者は、それぞれ実費を勘案して政令において定める額の受験手数料を納付しなければならない。
2、前項の規定により納付した受験手数料は、当該試験を受けなかった場合においても返還しない。
3、第1項の受験手数料は、1回につき8千円を上限としなければならない。