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草原の王子  作者: 胡子
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想像以上に大都は壮大で美しかった。


帝国の庇護を受け、すべての国に開かれた独立都市《大都》は、学問と芸術の都であった。


少年は圧倒されるばかりだった。


だが驚いてばかりもいられない。




灯也は学院の門を叩いた。


この学院の歴史は古く、大陸中から将来を担うべき若者が集まっていた。


灯也は休む間もなく知識を吸収した。


性根の悪い学友から面と向かって、田舎者、蛮族、と蔑まれる事も多々あったが、彼は全く相手にしなかった。


草原からは何の便りも無かった。


しかし、灯也は悲しまなかった。




早く。

もっと早く。

(つよ)くならねば。




やがて灯也は頭角を顕した。



文武を兼ね備えた彼は、さながら一匹の竜であった。


学院の教授は帝国屈指の学者で、この野生味溢れる少年に一目置くようになった。


さらに少年の実直さ、勤勉さを知ると益々気に入ってしまった。


少数ではあるが、信頼に値する友人もできた。


草原から来た稀人まれびとは、自分の力でしっかりと根を張ったのだ。









大都で迎える何度目かの春。


灯也は悪い噂を耳にした。






『草原の国で戦が起きている』







親しい人達が手を尽くして調べてくれたが、辺境の国の確かなしらせはようとして知れなかった。


灯也は幾日も眠れぬ夜を過ごした。


ある朝、友人の一人が血相を変えて部屋に飛び込んできた。


悪いしらせであった。


灯也は周囲が止めるのも聞かず、大都を飛び出した。




一路、故郷へ。

草原の国へ。







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