File No.8 重大なミス
「裏切りは、何があっても許さない。仮に裏切ったら、そいつは殺す。必ず殺す。それが、我がファミリー、リベルタスの鉄則だ。この三つのルールを必ず守れ。分かったな?」
黒沼は冷酷な口調で、二人に問いかけた。
「…はい」
二人はすっかり怖気づき、声を震わせて答えた。
「じゃあ今日はもう帰っていい。明日は朝七時に来い。裏切りでもしたら…分かってるな? じゃあ、また」
そう言って、黒沼は二人を帰らせた。
帰り道、二人はずっと無言だった。
あまりにも衝撃的な出来事だったからだ。
「俺の作戦、どうだった?」
加江田が、宇佐美に尋ねた。
実は加江田の作戦とは、リベルタスに新入りとして潜り込み、内偵捜査を行い、メンバー全員の情報を入手するというものだった。
「かなりリスキーだけど…それしか方法がなかったから、受け入れたわ」
宇佐美は、どこか諦めたように答えた。
それからしばらく、沈黙が続いた。
やがて、加江田が口を開いた。
「…リベルタス、許せないよな」
「ええ。自由で平等な国を作るですって?あいつらがやっていることは、ただの犯罪よ」
「そうだ。だから取り締まらなければいけない。俺たちが」
「ええ」
そして二人は、声を揃えて言った。
「世の中を乱す者は、必ず取り締まる。たとえ、どんな手段を使ってでも」
横浜の夜景を背に、二人は固く決意した。
そして翌朝、二人は、岩山に昨日の出来事を報告した。
「分かった。くれぐれも気をつけて内偵捜査を続けろ。何かあれば、すぐスピーカーで連絡するように。じゃあ、今日も頼んだ」
岩山はそう告げた。
「はい!」
二人は力強く返事をし、横浜へ向かった。
一方、岩山は二人と別れたあと、ずっと考え込んでいた。
ー何か、うさかえコンビに言い忘れているような…何だったけなー…ー
岩山はいくら考えても、思い出せ無かった。
そこへ、副隊長の高杉光人が声をかけた。
「失礼します。今日の予定表、置いておきますね。それと、夕方からリベルタスの拠点に家宅捜査が入ります」
「あっ…!」
岩山は、はっとした表情を浮かべた。
「そうだ…! 夕方から家宅捜査が入ることを、二人に伝えていなかった!!」
岩山は、決定的な連絡ミスを犯してしまったのだった。




