File No.4 ズレている質問
「分かった、辞めるよ。ったく…はあー」
加江田はそう言って、タバコの吸い殻を地面に捨てた。
その姿を見て、上丘は、加江田とは一生分かり合えないだろうと悟った。
やがて13時になり、テロ対策本部会議が始まった。
「一週間前の3月25日、謎のテロ組織リベルタスから、警視庁に犯行予告が届いた。なお、この組織は、10年前に新宿暴動事件を引き起こした捜査対象のグループだ。主な予告内容は、5月30日に池袋・新宿・渋谷の三か所で、地中に埋めた爆弾を爆発させる、というものだ」
会議室に緊張が走った。
「念のため、昨日この三地点に公安機動捜査隊の捜査官を派遣し、爆発物検知器による調査を行ったが、現時点では爆発物は確認されていない。しかし、今後新たに埋設される可能性もある。引き続き油断せず、リベルタスの監視を続けてほしい」
公安機動捜査隊隊長、岩山努(偽名)が淡々と説明した。
「何か質問はあるか? 遠慮なく聞いてくれ」
岩山の言葉に、加江田がピシッと手を挙げた。
「お、新米か。いいぞ」
すると加江田は、突拍子もないことを口にした。
「リベルタスの拠点は分かっているんですよね? それなら、今すぐそこに踏み込んで、メンバー全員を逮捕すればいいじゃないですか。犯行予告を出した時点で、十分に悪質でしょう」
その発言に、宇佐美は思わず呆れた。
ーこいつ、頭はいいのに、言動が致命的にズレてるわー
宇佐美は内心、そう思わずにはいられなかった。




