File No.3 最悪な関係
すると、渡邉が井中を制した。
「まあまあ、落ち着けよ、カエル。すみませんねえ、うちの部下が…」
渡邉はそう言って、厳花に頭を下げた。
「そんなことで怒るなんて、情けないわね、そのカエル」
厳花は冷ややかに言った。
「じゃあ、そろそろ本題に入るわ。まずカエル、これからあなたの偽名は加江田瑠衣。しっかり覚えておきなさい」
そう言うと、大沢は加江田に偽名の警察手帳を手渡した。
「これからは…この名前で活動を?」
加江田は大沢に確認するように聞いた。
そうよ。それから、これを着なさい」
大沢はそう言って、緑色のスーツを加江田に投げ渡した。
ーバカにしてるのかよ…ー
加江田は内心そう思ったが、口には出さなかった。
「じゃあ次に、あなたのコンビを紹介するわ」
大沢は淡々と続けた。
「コンビ!?」
加江田は思わず、絶望的な声を上げた。
「そう。あなたは所詮“ド素人”だから、単独行動はさせない。コンビを組んでもらうわ。ウサギ、来なさい」
すると、桃色のスーツを着ていて、鋭い目をした長髪の若い女性が前に出てきた。
「こんにちは、宇佐美凪よ。宜しくね」
明るく頭を下げる宇佐美に、加江田は戸惑いながら返した。
「…よ、宜しく」
「じゃあ、1時から会議があるわ。それまで適当に話でもしてなさい」
そう言い残し、大沢と渡邉は本部を出ていった。
加江田は椅子に深くもたれ、机の上に足を乗せると、タバコに火をつけた。
すると…
「加江田さん。ここ、禁煙よ。やめなさい」
宇佐美がすぐさま注意した。
しかし…
「いいだろ。ちょっとくらい」
加江田は気の抜けた声で答えた。
「それ、警察官が言うセリフじゃないでしょ!
今すぐ消しなさい!!」
宇佐美は声を荒げて怒鳴った。
二人の関係は、出会った瞬間から最悪なものになってしまったのだった。




