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恋と任務はシークレットで  作者: Dr.Kei
公安異動編

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2/14

File No.2 傷つけられたプライド

「何で…ですか?」

井中は、絶望的な声で言った。

「ああ、公安部の人員が不足していてな。それで、捜査一課の中から選ぶことになった。君が一番適任だと思って、君を選んだんだ」

渡邉は、どこか嬉しそうに言った。

「嫌…」

「君に拒否権はない。これは警視総監の命令だ。今、公安部は君を必要としている」

井中の言葉を遮るように、渡邉が言った。

「え?ちょ、待っ…もう最悪…」

井中は、途轍もない絶望を滲ませて呟いた。

「いいじゃないか。僕にとっては、羨ましい話だぞ」

渡邉は、相変わらず楽しそうだった。

ーああ、終わった。

王様気取りしていられた日々は、もう二度と戻らないー

井中は、心の中でそう呟き、深く絶望していた。

その後、井中は荷物をまとめ、渡邉と共にエレベーターで公安部本部の14階へと移動した。

そして、本部の中へ足を踏み入れた。

すると、年配の女性捜査官・厳花正子が、鋭い目つきで井中に声をかけた。

「こんにちは、井中さん」

しかし、井中は怪訝そうな目で厳花を見つめるだけだった。

次の瞬間、厳花が突然怒鳴った。

「返事は!?」

「こ…こんにちは…」

井中は怖気づき、か細い声で答えた。

「よろしい。では質問だ。公安部が、あなたを選んだ理由は何?」

唐突な問いに、井中は一瞬言葉に詰まった。

「理由は…俺が天才だから…」

「自惚れるな!」

厳花は即座に言い放った。

「ここでは、お前は天才でも何でもない、ただのド素人だ。警視総監がお前を選んだ理由はたただ一つ、利用しやすいから。それだけだ」

その言葉は、容赦なく井中のプライドを踏みにじった。

すると、井中の顔はみるみる鬼の形相に変わっていった。

「何だとーーー!!!」

井中は、ついに堪えきれず、激昂してしまったのだった。

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