File No.13 取引
「もう毎日金欠で苦しくてさ…どうすればいいんだよ、もう」
小丸は泣きながら言った。
「そりゃ、こんなブラックで、しかも違法なテロ組織で働いてりゃ、金欠にもなるだろ。もっとちゃんとしたところで働けば…」
加江田は呆れたように言った。
「じゃあ、そのちゃんとしたところが、中卒の僕なんかを採用してくれると思う!?そんなわけないでしょ…」
小丸は再び泣きながら叫んだ。
その時、小丸はふっと泣き止み、急に真顔になってこう言った。
「…僕、薄々気づいてたんだけどさ。君たち、公安でしょ?」
「どうしてそれを?」
宇佐美が問い返した。
「倉庫の裏で、二人が話してるのを聞いちゃってさ…。まあ、別にいいよ。僕、リベルタスのこと嫌いだし」
そう言って小丸は視線を落とした。
「いいよなぁ、二人は。ちゃんとした仕事に就いてて…本当に、羨ましいよ」
しばらくの沈黙が流れた。
やがて、加江田が口を開いた。
「なあ、小丸。もし、俺たちの作戦に協力してくれたら、それなりの報酬を出す。さらに、お前だけは、逮捕を免除する」
加江田は小丸をまっすぐ見据えた。
「どうだ。この取引、飲んでくれるか?」
加江田は、唐突に小丸へ取引を持ちかけたのだった。




