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25 アンリエッタの嫉妬とお風呂

アレンが宿に帰ると、


おばさんが風呂に入ってもいいというので、


ご相伴に与ろうと風呂場に向かう。


貸し切りの札を扉のところに掛けて、


脱衣所に入り、


用意された籠の中に着替えやタオルをだすと、


アレンは仮面を外し、


服を脱ぎ、紐で縛ってあった肩のあたりまである髪を解く。


一枚のタオルで前を隠すと、


鏡に映るその姿はどう見ても、可愛いらしい少女にしか見えない。


アレンはその姿を見て若干苦笑いを浮かべ、


なんとなくもしかしたら筋肉がついているかもと思い、


腕に力を入れてみるも、


膨らむ様子は全くと言っていいほどにない。


腕はぷにぷにのふにふにだ。


剣を振ったりとトレーニングもするのだが、


なぜか筋肉がつかない。


アレンはいつものようにガッカリと肩を落とし、


まだ子供だからと言い訳をしつつ、


扉を開け、中に入ると、


不意に目の前が真っ暗になった。


柔らかいものに目を塞がれ、


どこかいい匂いがする。


知らない女性に抱きついてしまったと思ったアレンが距離を取ろうとすると、


背中へと腕が回ってきた。


どうやら抱きつかれたらしい。


アレンが怒られてしまうんじゃないかと不安になっていると、


それをどうやら楽しんでいたらしい人物が笑いながら言う。


「ふふふっ♪アレン、私、私だって。」


不意に空間ができたので上を向くと、


楽しそうに笑うアンリエッタがいた。


「…アンリエッタ?


なにしてるの?」


「アレンを待っていたのよ。


今日は結構汚れたって聞いたから、


背中でも洗ってあげようと思って…って、


別にそんなに汚れているようには見えないけど?」


そう、アレンは汚れてなどいない。


なぜなら、アレンはマナーとして、


イルミナの呪術具專門に入る時にちゃんと【クリーン】をかけてから、


入ったからだ。


そのため、本来は体を拭くだけでも問題ないのだが、


今日は色々なことがあったため、


おばさんの言葉に甘えたのだ。


「ふ〜ん、まあいいけど…ってちょっと待って!」


アンリエッタがアレンを離して、


洗い場に連れて行こうとすると、


不意になにかに気がついたようである。


アンリエッタはむ?と眉を寄せると、


すんすんと匂いを嗅いでくる。


「ひゃん!」


アレンの首筋にアンリエッタの鼻息があたり、


くすぐったくて声が漏れた。


「あっ、ごめん。


…でも、アレン?」


「にゃ、にゃに?」


こそばゆさが残ったせいか、微妙に呂律の回っていないアレンにどこかほっこりした様子だったが、


アンリエッタは首を振り、


アレンを問い詰める。


「またあの女のところに行っていたんでしょう。」


「あの女って?


イルミナとカミナのこと?」


「うん、そう…って、今日はカミナもいたの?」


「うん、まあ。」


すると、アンリエッタはそれならいいかと、


アレンを離す。



アンリエッタにとって危険なのはイルミナで、


カミナは完全にアレンのことを弟だとでも思っているので、


アウトオブ眼中なのだ。



アレンを洗い場の風呂イスに座らせ、


許可を取って、頭に熱すぎないお湯を掛ける。


時間を掛けて、髪に水を馴染ませ、


それからシャンプーをし始めた。


「お客さん、痒いところはありませんか?」


「うん、大丈夫。」


「それならよかった。


アレン、気持ちいい?」


「うん、とっても気持ちいい。」


実は風呂場はアレンにとってリラックス空間となっているため、


会話がほぼ地になっていて、


アレンは年相応の言葉遣いに戻っている。


そのため、


ギャップが凄いことをアンリエッタしか知らないので、


この幸せを誰にも渡すまいと心に決めている。


「流すよ。お目々閉じて。」


「うん。」


ぎゅ〜っ!と目を閉じるアレン。


その様子が可愛らしくて、内心悶えるが、


なんとか自分を持ち、背中を洗っていく。


自前の()()()()()()を使って。


そして、体を流すと、


アレンを抱っこしながら、お湯の中に入る。


アンリエッタに背中を預け、


ふにゃふにゃにトロけるアレン。


そんな可愛いくてたまらないアレンとしばらく、


幼い子供と母親がするようなお話をしていると、


アレンが聞き捨てならないことを言った。


「だから、今日ね。


イルミナたちに顔を見せたの。


そしたらね、


カミナがなんか真っ赤になっちゃったんだよ〜。」


「そうだったんだね〜………ん?


…アレン、今、顔見せたとか言わなかった?」


言ったよ〜とのんびりとした言葉でいうふにゃふにゃなアレン。


どうやらアレンには自覚がないようだ。



アレンがどうやらまた、ライバルを生み出してきたらしい。


今日もまた宿にミアという女性を連れてきて、


あまつさえ、外でも似たような存在を作ってきたというのだ。


自分があんなにアピールしているというのに!



アンリエッタの表情は変わり、


アンリエッタの手がアレンのわきの下へと至り、


敏感なそこをくすぐり始めた。


「ひゃ、ひゃ、にゃにゃに!


あんにぇっちゃっ!ひゃめ、ひゃめひぇ〜〜っ!!!」


アレンの声が風呂場に響き、


アンリエッタが満足するまでそれは続いた。



アレンは物凄くご機嫌ななめになった。


もう一緒にお風呂入らないというと、


アンリエッタは土下座をせん勢いで謝ってきたため、


アレンはすぐに撤回した。


なんだかんだ言って、アンリエッタもアレンにとって特別な女の子なのだ。


アレンはアンリエッタにかなり甘い。


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