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19 パーティー結成初依頼 古城の幽霊

先ほど受付でこのパーティーの初依頼を受けてきた。


その記念すべき依頼とは…


【古城の調査】


英雄ラミアスが過去に住んでいたとされるハイク城で最近、


奇妙な物音や、声が聞こえるため、


その調査をしてほしい。


ゴーストの類が原因かもしれないため、


聖水もしくは光魔術が必須。


Cランク以上を望む。



初依頼ということもあり、


できるだけ記憶に残りそうなものを優先して選んだため、


特殊性が全面に出ているが、


リズベットが光魔術を使えるし、


聖水のストックもかなりあるため、


依頼の成功確率も高い。


よって、多少費用はかかるが問題はないだろう。



城に入ると、そこにはゴーストで溢れていた。


魔力が濃く、光がほぼ刺さないくらい薄暗いため、


昼間でも動きが活発だった。


これはどう見ても、Cランクの推奨任務ではない。


しかし、リズベットとカレンには関係なかった。




「【シャイニングバレット】」


リズベットが放った光の弾丸がゴーストに直撃し、


浄化され、虚空へと消える。


カレンが無言で聖水をナイフに垂らし、


意味の分からないうめき声をあげるゴーストに一振り。


ゴーストの姿は消え、小ぶりな魔石がコトンと落ちる。


それを皮切りに、


次々と息一つ乱さず淡々とゴーストを天に召させていく。


そしてそれに負けじとリズベットも、


【シャイニングバレット】を連射し、


弾丸をばら撒いていく。


カランカランと落ちていく数々の小ぶりな魔石が山のように出来上がっていった。



僕も最初は隙をついて後ろから数体倒したが、


二人のスピード感についていくことが出来なかった。


実力が違いすぎるため、


結局は、


カレンに切れた聖水を渡すことと、


リズベットに魔力を供給することくらいしか、


ほぼやることなしに、


二人が倒したゴーストの魔石を拾い集めていく。


わかっていたことだが、少しショックだった。


しかし、そうは言っても戦闘は続くので、


僕は切り替えて、


改めて自分にできることをやっていくと、


程なくして、この城の謁見の間まで辿り着いた。



「…ここから一番強い気配がします。」


カレンのその言葉に自然と体に力が入る。


重く重厚な扉の先にいたのは、


エルダーゴーストだったが、


リズベットたちの敵ではなかった。


弾丸に包囲され、避けることも逃げることも許されない。


相手も魔術の壁で弾いたりはしたが、


そこは数の暴力、無限に湧き続ける弾丸に蜂の巣となった。


圧倒的な勝利だった。


これで依頼は終わりかと気が抜けたアレンは、


エルダーゴーストが天に召されたのを確認し、


魔石を拾いに行こうとすると、


数歩進んだ先で地面が急に開いた。


足元の感覚が急に声をあげるアレン。



「え?」



…そして、落下していく。


慌てて二人が僕に手を伸ばしたが、それは間に合わない。


二本の手が空を切り、


どんどんと遠ざかっていくのがわかった。


指していた明かりはどんどんと暗くなっていく。


そして、パタンという音が上の方で聞こえ、


完全に光は失われた。


その瞬間、呆然としていたアレンは自分を取り戻した。


…ヤバい。


アレンはもう結構落ちている。


このまま落下を続けたら、どうなるかは明らかだった。


恐怖に駆られたアレンは無意識に魔力を下に向かって放出した。


すると、落下速度が落ち、程なくして地面に辿り着いた。



安心して、へたり込むアレン。


「…助かった…。」


小さく声を漏らし、


周囲を見渡すとなにも見えないくらいに真っ暗だった。


立ち上がり、


魔法で小さな明かりを作る。


「【ライト】」


そして、道を見つけたため、それに沿って歩きながら、


先程のことを思い出し、


魔力ってこんな使い方あったんだなどと考えていると、


視線の先にかすかな光を見つけた。


そこに向かって急ぎ足で進んでいくと、


不意に仮面に何かがあたって、ヒビを作り、


そして割れた。


「なっ!」


アレンが驚きに声を上げると、


光が指している方から声が聞こえてきた。


「何者だ、貴様。


私の眠りを覚ましたものか?」


僕がナイフを抜き、警戒する様子を見せると、


何者かは笑った。


「貴様のような弱い者に私をどうにかは出来まい。


わかったら、大人しくこちらへ来い。」


僕がどうにか逃げ出さないとと考え、


光を消すと、


僕の頬に何かがかすったのがわかった。


小さな傷を作り、頬から一筋の血液が流れる。


「余計なことは考えるな。


次はない。」


正確に薄皮一枚を切り裂く一撃。


どうやら僕の位置は掴み取られているらしい。


僕がその声の言う通りにそこへと向かい、


辿り着くと、


そこには、緑色の長い髪をした綺麗な女性が僕を睨みつけるようにしていた。


「貴様が犯人か。


馬鹿者が私が許すわけ………へっ?」


綺麗な声で怒りを露わにしていたが、


最後に差し掛かって、間の抜けた声が聞こえた。



この女性は光に照らされた一つの墓の前で、


…半分透けていた。



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