表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/26

15 アンリエッタの彼女面

…やってしまった。


公爵のリズベットの扱いがあんまりだったので、


掻っ攫う形でリズベットを連れ出してきてしまった。


確かに精神支配の性格改変はやり過ぎだったし、


更には再び道具のように扱われる様に我慢ができなかった。


しかし、誘拐だとされても仕方のないことだと思う。


気がつけば、9歳にして牢の中…。


そんなことは想像に難くない。


アレンは自分のお先が真っ暗になるのではと不安に駆られていた。


おそらくアレンの顔色が優れなかったのだろう。


すると、リズベットが手を握ってくれた。


無言であったが、どことなく安心感を感じ、


リズベットの荷物を取りに宿へと向かった。




リズベットの荷物を受け取り、


アレンは自分が泊まっている宿へと向かった。


両開きの戸を押して入ると、


中から、元気のいい女性の声が聞こえてきた。


彼女はアンリエッタと言って、


この宿の一人娘のお姉さんだ。


茶色の髪にどこか愛嬌のある顔立ちをした美人。


発育もかなり良いためか、色々な人に人気もある。


いわゆる看板娘というやつだ。


彼女にアレンは素顔を見られてしまっている。


偶然、風呂場で鉢合わせてしまったのだ。


アレンが貸し切りにしてもらい、


風呂に入っていたのだが、


どうやらおばさんがアンリエッタに伝え忘れてしまったらしいのだ。


そこからの仲で、


歳は少し離れているが、


たぶん良くしてもらっているのだと思う。


時折、首を傾げることもされるが…。


今回もどうやらそんな様子だ。



「いらっしゃいませ……ねぇ、アレン?


その女、誰?」


そんな彼女はリズベットを見た瞬間、


表情が変わり、アレンにしなだれ掛かってきた。


かなり大きなふよんふよんとしたものが身長差のあるアレンの顔を直撃する。


「なんでそんな私の男に手を出すなという雰囲気を出しているんだ、アンリエッタ?」


アレンが煩わしげに距離を取るが、


そんなのはお構いなしに続ける。


「あんっ…なにを行っているの、アレン?


私達の仲じゃない。」


リズベットはなにか誤解したのか、


青くなって、私達の仲と口にしていた。


アレンが誤解を解こうと口を開こうとすると、


アンリエッタはそれより早く口を挟む。


「そうよ、よく一緒にお風呂にも入るし、


なにより()()()()()()。」


「…うそ…。」


リズベットが悲痛な声を上げ、


貧血になったような倒れ方をするので、


アレンが思わず支えるとリズベットは縋りつきながら聞く。


「うそ、嘘よね…アレン…。」


「ああ、寝たというのは、お昼寝のことだ。


別に変な意味じゃない。」


アレンは詳しいことはわからないが、


寝たというのは()()()()()ことなのだと思い、


よくはわからないが、否定した。


すると、リズベットの表情は少し柔らかくなったが、


一部を否定しなかったためか、


どこか窺うように聞いてきた。


「…お風呂は?」


「……。」


「…入ったのね?」


なにやらよろしくない気配がしたので、


話題の矛先をずらすことにする。


「アンリエッタ、あれ、僕じゃなければ犯罪だからな。


本当にアンリエッタじゃなければ、


衛兵に突き出しているところだぞ。」


「ふん、見なさい、リズベット様。


私とアレンはこんなにも愛し合っているのだから。」


…反らしきれていなかった。


「ぐぬぬぬっ…。」


リズベットはなにやら悔しがっていた。


「いや、お世話になっているおじさんとおばさんの手前、


娘を犯罪者にするわけにはいかないだけだ。」


今度はアンリエッタがどんよりとした表情を浮かべたので、


アレンは流石に悪いことをしたのかもしれないと思い、


フォローを入れる。



お〜もうっ!あっちもこっちも何なんだよ一体!



「…でも、まあ、背中を洗ってもらうとかなり気持ち良い。


その点には感謝している。」


【クリーン】という魔術で汚れ自体は取れるのだが、


風呂に入る方が疲れが取れるため、


アレンは宿の方で問題がなければ貸し切りにしてもらっている。


その時にアンリエッタもなぜか入ってくるのだが、


彼女は手が届きにくいところを洗ってくれるのだ。


そのおかげで洗い残しなくさっぱりできるため、


本当は一緒に入るのは良くないことなのだが、


流されてしまう。


「ところであの柔らかくて、時折硬い豆のようなものが擦るスポンジってどこで売っているんだ?


できればほしいのだが。」


すると、アンリエッタは胸をやたらと強調した。


「ぐぬぬぬ…。」


悔しがるリズベットに僕は意味がわからなかったので、


近くを通りがかったおばさんにもう一部屋頼んで、


そのことを伝えに行くとまだやりあっていた。


本当に仲良くなったな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ