7 女神の神託?
教会内。従事している聖職者はドラゴンの対処に困惑していた。
「大変です!! ドラゴンが街に向かってきています!!」
「どうしましょうか? この街の衛兵では対処できないと判断しますが」
「そんなもの逃げるに決まってますよ。駆除できない以上逃げるのが先決でしょう」
「ですが街の人は?」
「知りません!! そんなことを考えている暇はないはずです!! 早く教会内の高価なものを運びなさい!!」
教会内で最も位の高そうな女性が他の聖職者に怒鳴った。
「本当に……良いのですか?」
聖職者は神のご加護を普通の信者よりも多く賜っている。そのため強力な聖術を使えるのだ。
何のために神の力を賜っているのか、と下っ端の聖職者は教会内でただ一人尋ねた。
「良い悪いではありません!! これは神の御言葉ですよ!!」
「その通りですよ。私達は神が降臨できる教会を守らなければなりません。さあ、あなたも運ぶのを手伝いなさい」
奥から一風変わった荘厳な服を着た初老の男がでてきた。
「司教様。いらっしゃたんですね」
「神は仰っています。さあ、運びなさい」
その時だった。
『私は女神。聞こえていますか?』
教会内の聖職者全員の脳内に直接声が響いたのだ。
「これは!?」
「静かになさい!」
『聞こえているようですね。では、この私女神から信託を下します』
女神を名乗った声は告げる。
『今から貴方達には特別な女神の加護を差し上げます。それで民衆を救いなさい。くれぐれも街中にドラゴンを入れてはなりませんよ』
「は、女神さまの御言葉しかと届いております。故、私達は神の御心のままに」
司教を筆頭に教会内の全てが膝を折り頭を下げる。
『貴方方の働きには期待していますよ。では、次は街が救われた後に』
言って女神の声は聞こえなくなった。
教会内は数秒の沈黙をもって騒ぎ出す。
「女神さまの御声を聞けるだなんて私達が初めてじゃない?」
「なんだか力が沸き上がってきます。これならドラゴンにも勝てるますよね?」
「女神さまが居てくださるのだから負けるわけがないでしょう? いきますよ!!」
ひとしきり騒いで聖職者はドラゴンを退治しに外に出ていった。
「ふむ」
司教だけは眉をひそめてはいたが。