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15 混乱


 人を殺して女神に献上するってか?


 良い感じに頭が飛んでんな。頭のネジのサイズ間違ってるぞ。


「死ね」


 生かしては置けない。こいつはここで殺す。


 俺は聖槍を取り出し即座に初老の男に突きたてた。


 ――キン!!


 だが、聖槍は男に届くことなく弾かれる。


「まッ!!  マジかよ!!」


 瞬間。


 地面が揺れる。次いで建物も大きく揺れた。


 俺は突然のことに驚いたが、男から目を離してはいない。


 次の二撃目を構えて打ち込む。


 ――キン!!


 だが再び弾かれる。


「何者だ。お前はそもそもドラゴンの襲撃で死んでたはずだろ」


「それはこちらのセリフ。傀儡ではない様子。女神さまの力をそれほどまでに使いこなすとは何者ですかね」


 男は俺の持つ聖槍をみて訝しむ。


「最近殺された一家を殺すように指示したのはお前か?」


「ふむ、そんなこともあったかもしれません。それよりも良いのですか?」


「何がだよ」


「先程の音ですよ」


 音? 俺は五感を研ぎ澄ませて教会の外にまで集中した。


 叫び声、建物の崩壊する音、魔物の咆哮。


「まさか!?」


 男は笑みを漏らす。これ以上にない醜悪な笑みだった。


 どんな手を使ったかは知らないが魔物を街に呼び寄せたのだろう。恐らく先日のドラゴンも同じ手段だ。


 その目的は街の人を殺して今は亡き女神、つまり俺に献上するため。


「冗談じゃねぇ」


 過程はどうあれ、結果的には俺のために街の人が殺される。


 そんなのが許せるわけねーだろ。


 俺は男を強く睨みつけ、教会の外に出た。



「ひでぇ。ものの数分でこんな酷い有様になるのかよ」


 五感を使いざっと街の状況を把握してみたが残酷なものだった。


 建物はまだほとんど無事だが人的被害、人的影響が多い。街中に魔物を放たない限り短時間でここまでの被害を出せないだろう。


「それをやってのけたってか? 女神の加護なしで」


 考えるのは後だ。まずは一刻も早く魔物を掃討して街の人に治癒の聖術をかけないと。


「レストさん!! 無事でしたか!?」


 教会前で待たせていたスイネが駆け寄ってくる。


「なんとか。それでこれ預かってほしいんだ」


 俺は教会から持ち去った資料をスイネに渡す。


「これは?」


「もしかしたら証拠になるかもしれないから預かってて。俺はやることがあるから」


 言って俺は背中から神の如き翼を展開した。


「それは……」


 女神の持つ聖なる輝きを放つ白銀の翼。見るものすべてに畏敬を与え、人は全て我が元の子であると示す絶対の象徴。


「力が足りてないんで、ちょっくら活躍してくるよ」


 俺は翼を羽ばたかせ空に舞った。


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