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処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 16〜20歳編
9/61

青い人

やがて、月野マリアと佐藤雪の激しい言い争いが目の前で始まった。


「おまえは、いつも私の事を金になる道具としてしか見てねぇだろぉぉぉ!」


「月野!落ち着きなさい!

ほら、またそうやって興奮したらクスリが必要になるだけじゃないのぉぉぉ!」


「うるせぇぇぇ・・うっ・・うわぁぁ・・たっ・・大変・・佐藤さぁん・・向こうから青い男が来る・・。青い男が・・。」


月野マリアの体が、途端にガタガタと小刻みに震えだした。


「月野っ!おっ、落ち着きなさい!

きっと貴方が見ているものは幻覚です!

青い男なんて、ここにいません!

今日は、いつもよりクスリを多く飲み過ぎちゃったのよ・・。」


「いっ・・いや・・青い男が、私を襲いに来た・・。たっ、助けてぇぇ・・!」


月野マリアが暴れだした。


佐藤雪、私、片桐君の三人で月野マリアの動きを抑えこんだ。


やがて月野マリアは、目に涙を浮かべ口からヨダレを垂れ流し「ぎゃあぁぁ!」と、声にならないような激しさで部屋いっぱいに叫び続けた。


ふと私は、ドアの方に人影を感じて振り返った。


すると、青いシャツを着た50半ばの中年男がポツンと立っていた。


「雪・・。由芽子・・。」


と男が言うと、佐藤雪の顔は途端に真っ青になった。


「なっ・・なんで、貴方がここに・・。」


冷静沈着な筈の佐藤雪さえも、途端にガタガタと震え出した。


「久しぶりだな・・。雪・・。」


少しの間、沈黙が起きる。


男はボロボロの服に身を包み、ほぼホームレスのような姿だった。髪や顔は、おそらく何日も洗ってない様子だった。


ほんの少し生ゴミのような異臭がプンプンした。ほぼホームレスというより、やっぱりホームレスなのだろう。


この男は、一体何者なのか・・?


「お前が家を突然飛び出したのは、正直・・俺が悪かったと思う・・。


しかし、もうこれ以上デタラメばかり他者に吹聴しては金銭を稼ぐような真似だけは辞めてくれないか・・。


そして、自身の快楽の為に人々に無理矢理性行為を強要することも辞めなさい・・。


いくら、お前が他人の性行為鑑賞が趣味だからって。


旦那の俺や、娘の由芽子にまで近親相姦まで無理矢理させて・・。


俺は何度も辞めたかったのに、「やらないと、てめえらぶっ殺すかんな!」って、包丁持ってお前が暴れるもんだから・・。


それに・・お前はお前で、由芽子が産まれてからは指一本俺に触れさせようとしなかったじゃないか・・。


俺の行為が下手なのは、俺が悪かった!


「もう、うんざりなんだよ!めんどくさいし、相手したくないの!」と、お前が逆ギレするのもわかる。


でも、だからといって。


親が実の娘を差し出しても、いいものなのかよ・・。


俺自身も、正直性欲ガマン出来なかったのが駄目だったんだけど・・。


でも、実の娘で処理をしてしまおうと思うなんて・・。


あれから何度か、自責の念に駆られたが。

自分に結局負けたんだよ、俺は・・。


俺も、雪も犯罪者だよ・・。


由芽子は、私達夫婦の最大の被害者だ・・。


なぁ。雪。俺達、自首しよう・・。

今までの事を全て、警察に話そう・・。


由芽子は、俺達の勝手な性欲のせいで精神崩壊にまで追いやられ施設に預けるまでになってしまった・・。


施設に預けたのは、俺だ。


そうしないと、俺自身が由芽子にまた欲情してしまいそうになって怖かったんだ・・。


しかし、お前はまた施設から由芽子を引っ張り出して「企画AV女優 月野マリア」としてデビューさせた。


当時、俺は教職員だった。


お前の勝手な行動のせいで、俺は教職員を解雇させられたんだ。


娘が、AV女優をやっていることがバレてしまっては、もう生徒に何も教えられないじゃないか・・。


お前という奴は・・由芽子を裸一貫で働かせておきながら、今度は娘の麻薬中毒隠蔽工作か・・。


本当に、お前はどこまでも屑な女だ・・。


もうこれ以上、人様に迷惑をかけることは辞めてくれ・・。」









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