謎のバイト
私は、電話で片桐君を呼んだ。
「えー。わりぃ。マジ今日予定あるからさ。」と断られたので、「やっぱり、私の誘いじゃ無理かな」と諦めようとした。
すると、横から佐藤雪が私の携帯を奪った途端、まくし立てるように勝手に喋り出したのだ。
「あのー。片桐さんっていうんですよね。
私、SHOW出版社の佐藤と申します。
お休みの所、突然連絡してしまい誠に申し訳ございません。
実は、片桐さんに折り入ってお話があるのです。
実は、我が出版社で片桐さんにしか出来ないバイトがあるのです。
貴方の大切なお友達である、咲子さんのお手伝いをするだけです。
報酬は、日払いで支払わせて頂きます。」
えっ。なに。この人?
勝手に私の携帯奪って、何勝手に私の好きな人に仕事依頼かけてるわけ?
私の神経図太いっていうけど、あんただって充分神経図太いじゃない。人のこと、散々棚に上げといて。よく言うわよ。
しかし、受話器越しの片桐君は「えっ、まじっすか?!いくらっすか!」と返答したようだ。
その後、佐藤雪が「時給10万円のお仕事ですよ。」と誇らしげに語り続けた。
片桐君。
まさか、居留守?
私と会う気なんて、最初から更々無かったのかな。やっぱり・・。
わかっちゃいたけど。それでも僅かながら期待してたのに・・。
皮肉にも、どうやら佐藤雪と片桐君の交渉は成立したようだ。
「今から、貴方のお友達の片桐さんがこちらに向かっています。」
と、これまた表情ひとつ変えずに佐藤雪は続けた。
後ろでお腹かかえて笑い頃げる、月野マリアの姿が其処にあった。




