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処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 25〜30歳編
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ジョレーストーン

「咲子ちゃん。また、悪霊ついてきてるけど・・。一体、どうしたっていうんだい?


確か、一度は振り払って消えた筈なのに。また、背後に見えるんだよ。女の霊が・・。」


塚本君が、私に恐る恐る言った。


確かに、月野マリアの幽霊が再び現れたのは最近の事だ。もしかして、この人は本当に幽霊が見える人なのかもしれない。


「どうしようなあ・・。除霊してあげなきゃって思うんだけどさ。


その為には、僕のパワー入りの秘伝のパワーストーンペンダントを着けないといけないんだ。


「ジョレーストーン」って言うんだけどね。秘伝の呪文を、満月の日から新月になるまで毎日念じて作られた代物なんだ。


本当は、五万円するんだけど。咲子ちゃんには、特別でプレゼントしてあげたいって思うんだよね・・。やっぱり、昔からの知り合いだしさ。」


ジョレーストーンって。ネーミングが、結構適当なのは気のせいだろうか。そして、たかがパワーストーンで何故五万円もするのか。


パワーストーンなんて、所詮石ころじゃないの?そんなものに、いくら呪文だかパワーを込めたからとはいえ、一気に五万円の価値がつくとでもいうの?


と、こんな時に限って。履いてきた勝負パンツの紐の右側が、少し緩んできた。やばい、何とかして落ちないようにしなければ・・、


私は、更に緊張感を増した顔になった。パンツは落ちそうだし、男には騙されそうだし。


もしかしたら、塚本君は幽霊は本当に見える人なんだけど。あえて、その力を利用した詐欺師なのかもしれない・・。


月野マリアのいうことは、やはり正しかったのかもしれない。少し、悔しいけど。


すると、突然あたり一面に強い風が吹き荒れた。


「や、やばい・・。悪霊が暴れている・・。おのれ!悪霊め!咲子ちゃんに迷惑ばかりかけやがって!


咲子ちゃん。後ろに下がってて!

僕が、守ってあげるから!


さあ!このジョレーストーンをつけて!」


と言って、勾玉形の碧いパワーストーンネックレスを貰う。ってか、これ。ジョレーストーンじゃなくて、ラピスやんけ。


マドモアゼル愛先生が監修してた、マイバースディって雑誌の巻末に載ってたのと同じ、ラピスやんけ。


「ジョレーストーンじゃなくて、これラピスだよね?」と塚本君に尋ねる。


「うーん・・、

石としては、確かにラピスかもしれない。


しかし、この石は僕たち霊媒師一族の秘伝の呪文や魔術が組まれている、特別な石なんだ。よって、ラピスであってラピスではないんだよ。


不思議なパワーを注入されたことにより、新たにジョレーストーンとして生まれ変わった代物なんだ!


ジョレーストーンは、どんな悪霊からも守ってくれる力が・・あっ!」


と、塚本君が言った途端。パァン!と、ジョレーストーンは、音を立てて勢いよく割れた。


「お、おのれ!悪霊め!咲子ちゃんに、何するんだ!」と、塚本君が慌てはじめる。


しかし、現状としては。

ジョレーストーンがただ勝手に割れただけで、特別私に危害は何も加えられていない。


すると、ぼんやりと黒い長髪の女の幽霊が姿を表した。


「う・・うらめしや・。」


と、幽霊が言うと「ひいいい!本当に、幽霊出たぁぁ!」と、塚本君は一目散に去って言った。


幽霊の正体は、月野マリアだった。


「ったく。幽霊になって始めて「うらめしや」なんて臭いセリフ言ったわよ。


ほんと、恥ずかしいったらありゃしない。心配してついてきたら、このザマだったから。


馬鹿だね、あんたも。あんなに、私が言ったのに。


あいつは、悪徳霊感商法の詐欺師なんだよ。まあ、実際に霊感だけは本当にあるタイプなんだけどね。だから、余計に厄介なんだけど。


そして、この詐欺には片桐も噛んでるっぽいわね・・。


私の存在についても、片桐があの男に話してる可能性があるわ。


あんたを紹介するために、片桐はお金を貰ってる可能性があるの・・。」


えっ。どういうこと?

どうして、そんな事を片桐君がしないといけない訳?


私が、ずっと恋してきた人が。まさか、私を騙そうとしてるなんて。そんな事、信じたくはない・・。





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