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処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 25〜30歳編
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寝相

薄明かりに照らされた暗闇の中。私たちは、抱き合った。特別、それ以上何をする訳でもない。ただ、無言で抱き合うだけだった。


やがて、片桐君の口から「グォー」というイビキが聞こえてきた。恐らく寝たのだろう。


私は、片桐君のイビキで全然眠れなかった。それ所か、片桐君はやがて寝言を言い出すようになる。


「なんで!なんであの時オマエは!なんでどうしてそうなったんだよ!俺になんで言わないんだよ!」


「サユリ!ごめん!俺が悪かった!

俺、そんなつもりじゃなくて!遊びとか、遊びじゃないとか!傷つけてごめんなさい!ごめんなさい!」


「我が日本軍はっ!日本軍はっ!恥なし!」


「インジョンシャンソンウェンソンダンソンオーウェンアンレン・・(北○鮮のアナウンサーみたいな話し方)」


片桐君は、睡眠中にも関わらずずっとペラペラ色んな事を話してた。

どうやら、一晩で沢山の夢を見ているようだった。


おまけに、片桐君の寝相はかなり悪く隣で寝ていた私は何度も殴られた。


「うおーりゃー!お前のせいだ!お前が悪い!」と叫ばれて顔をガツンと殴られたり、「必殺!かにバサミ!」と言いながら足を組まれたり。


もはや、睡眠地獄である。

こんな事が、これから先もずっとマリコには続くのか。

ただでさえ、落ち着きのない男とは思っていたが、まさかここまで寝相悪い男だったなんて。ロマンもムードも減ったくれもない。


正直、やっぱり私には耐えられないかも・・。


憧れや気持ちだけでは、人と人は結婚出来ないということなのだろう。

こんな彼の欠点を全て含めた上で、マリコは結婚を決意したのだ。


相手のイビキが煩い。寝相が酷い。

そんな事で、冷めてしまうようでは本当の意味で相手の事を好きというのとは少し違うのかもしれない。


この時に思ったのだ。

ああ。私はマリコには勝てないと。

もしかしたら、私は恋に恋していただけなのかもしれないと。


やがて、私は徐々に彼から距離を置いて寝るようになった。


しかし、片桐君のけたたましく大きなイビキや寝言は朝まで続いたのだった。






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