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処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 25〜30歳編
39/61

ずるい男

こんな事までしておきながら、イイ所で寸止めなんてずるい。一時は貴方の誘いを断らないとと思っていたのに。貴方が、その扉を開けるような事をしてしまったから・・・。私の気持ちが止まらなくなっちゃうんじゃない・・・。


「ずるいよ・・・。片桐君・・・。もう、私の気持ち・・・止められないよ・・・。」私は、片桐君の顔を両手掴んで強引にキスをしようとした。しかし、片桐君は横を向いて口をムッと閉ざしたままだ。


「はい、おしまい!」そう言って、片桐君は起き上がって私の右手を掴んでグイっと引っ張る。「ほら、起き上がれよっ」と言う片桐君に反して「やぁだ!キスしてくれなきゃ起き上がらない!」と駄々をこねる私。


少し困ったような顔をした片桐君は、私のオデコにそっとチュッとキスをする。


「これでいい?ごめん。やっぱり5年前みたいに口には出来ないよ。そんな事したら、俺また舌入れちゃうし。舌入れちゃったらどんどん止まらなくなっちゃうからさ。」と言って悪戯に笑った。


私がグズグズしていると、片桐君はそっと頭を優しく撫でてくれた。


「ごめん・・・。俺も何やってんだか・・・。もう結婚するとなるとお前とこうして会う事も出来なくなるんだなと思うとつい会いたくなっちゃって・・。

でも、お前とこうなっちゃうと。マリコとお前の友情関係もおかしくなっちゃうし、俺とお前も顔合わせしにくくなるよな。

俺がマリコと結婚する時点で、マリコの親友のお前と会う機会が減る事はないんだし。ふと、お前の喘ぎ声聞いたら我に返ったんだ・・・。

俺って、本当にずるい男だよな・・・。」


そう言いながら、そっと私を優しく抱きかかえてくれた片桐君。

「もう、こんな事はずっと出来ないからさ。これが、最後だぜ・・。なっ?」と優しくいう片桐君の言葉に涙が溢れて止まらない。

気がつけば、片桐君の胸元を涙でびしょ濡れにしてしまった私。


「おいおい・・・。さっき風呂入ったばかりなのになぁ・・。しょーがないヤツだな。おめぇはっ!

今日だけだぞ。一晩だけ、俺が腕枕してやるから。

何もしないからさ。一晩だけ、一緒に寝ようか。なっ?」


本当は、片桐君自身も私と一晩寝たいのだろう。

結婚したら、もう彼は他のどの女とも出来なくなるのだ。出来るとしたら、風俗嬢位だろう。


結婚前最後の悪足掻きは、過去に自分の事が大好きだった女。

こんなに手を出しやすい対象の女はいない筈だ。


私なら、何だかんだで詰め寄ればどうにでもなると、この男は思っているのだろう。悔しいけど、それは本当だよ。


ずるい。ずるいよ。そんな私の気持ちを利用するなんて。ずるいよ・・・。

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