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処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 25〜30歳編
34/61

気まずい結婚式

「咲子、本当に今日は来てくれてありがとう!この写真、記念にまたプレゼントするね。」と言って、マリコは満面の笑みを浮かべた。


「咲子ーっ、良かったねっ。マリコ、きっと咲子の為にわざとブーケ咲子の方まで飛ばしてくれたのよ・・。

本当、友達思いでいい子よね・・。」


と、同級生のミホがウルウルした目で言った。

ミホの言葉に続いて「本当・・そんな特定の人を狙ったブーケなんて、私達が取りに行けるわけないもの・・」「ねー!」と、女達の嘘臭い友情談義が続く。


こいつら。

本当は、皆知ってる癖に・・。

私がずっと片桐君の事が好きだった事も、40通ラブレター書いて告白してた事も。

全部、全部知ってる癖に。


この女達、実は皆片桐君のファンクラブ「カタギリッ子」のメンバーだった。


皆で片桐君の写真を拡大して内輪に貼り付けて、折り紙で「カタギリ LOVE」と切り抜いて貼り付けて。そして皆で、キャッキャッ言いながら作る・・


というか、殆どの面倒な作業は・・全部私に押し付けられた。


自分達は、お菓子ボリボリ食べながら「あの男無いよねぇー。」「あの女まじキモくない?」とか。クラスの男女の悪口や愚痴大会してただけ。片桐君の話題など、微塵も無かったのだ。


多分、皆はマリコの指示に合わせて来てただけなのかもしれない。


マリコは、何故か学校では「権力のある女」という扱いをされていた。

別に親がPTA会長でも、兄貴や姉貴がヤンキーだった訳でもない。


何故か、うちの学校の女達からは「マリコに嫌われるとハバにされる」という暗黙の了解があったのだ。


皆、もしかしたら。嫌われたくなかっただけ。仲間はずれになりたくなかっただけ。

結局、皆は自分達が一番好きだっただけ。


本当は、誰も本気で片桐君の事を好きだった人なんていなかったのではないだろうか?

本当に好きだったのは、マリコと私だけだったのではないだろうか。


マリコは、自分の好きな男を皆から羨望の眼差しを受ける存在にしたかっただけではなかったのだろうか。

だから、片桐君のファンクラブを作ったのではないだろうか。


そして、その流れに乗っかってしまった私が本当に彼を好きになる事は。

もしかしてマリコの計算の範囲内に入っていたのだろうか?


しかし、片桐君に初めてマリコが告白した時。まさか私の事が好きだったと聞かされた時は・・マリコにとってどんな心境だったのだろうか・・。


マリコにとって片桐君は・・本当に好きな人なのだろうか・・。


私の頭の中がグルグルと蠢きだした。いけない。考えたら考えるほど、パンクしそう。

片桐君の事を考え出すと、いつも止まらなくなるからもう考えないようにしようと思っていたのに。


いざ、目の前で姿を見てしまうとどうしても考えてしまう。そして、止まらなくなってしまう。


もう、こんな想いなんてしたくない。

誰かを好きになって、苦しくて。この気持ちを早く手放したくて。


好きな人を嫌いになる魔法があればいいのに。そしたら、私の胸の内もスッと楽になる筈だ。

人を好きになるより、好きな人を嫌いになる事の方がずっと苦しいよ。


片桐君と過ごした日々も、長かったが故に思い出も沢山ある。


いつも、私が小説を書いてはパニックで錯乱する度に片桐君が介抱してくれた。

ずっと側で「大丈夫か?」と言いながら、いつも心配そうに私の顔を覗き込んで心配してくれる片桐君は。もう、ここにはいない。


隣の片桐君は、必死で私の顔を見ないように硬直していた。そんな片桐君の横顔を見るのが、何よりも辛かった。




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