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処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 16〜20歳編
31/61

自立

「あのう、さっきからまるで私の事全てわかったようなつもりで話してるみたいだけど・・。


私、マリアが思っているよりずっと今の状況は冷静に見つめてると思うのね。


多分、どんなに頑張っても上手くいかない時にガンガン攻めた所で、男心なんてドンドン離れていくと思う!


ぶつかっていい時は、男性の心がこっちを向いてる時よ。


私、なんとなくわかってたのよ。


毎日、いつも顔を合わせてたからこそわかるの。想う人の心だからこそ、わかるの。


片桐君の心、時折何処か上の空のような気がしてたの。


彼に無理矢理キスを迫ったの、最後の悪足掻き。


ただ自分が虚しくなるだけだってわかってた。最後に、こうなるような気がする事も。

全部。全部。わかってたんだと思う。」


私の目が、やがて霞のように曇ってゆく。

やがて、ぽたぽたと雫が頬を伝った。


「マリア・・。私、これからは貴方無しで。

一人で書こうと思うの・・。


結局、貴方の力を借りて書きつづけていても。いつまでたっても、自分の力にならないと思うの。


勿論、貴方のストーリーを作り上げる能力は天才的だと思うわ。


でも、いつまでもこのままでは・・。」


ずっと、幽霊の貴方に依存し続けては。


恋も仕事も、本当の意味で何も手に入れる事が出来ないと思ったんだ。


私は、これからは自分の力で地に足をつけて進んでいきたい。


誰かの助けがないと、生きていけないなんて。ずっと誰かの助けや力に依存しないと生きていけないなんて。


そんな女を。

誰が、本当に愛してくれると思う?


このままじゃ、私。

ダメだと思ったの。


自立。自立しなければ・・。


「咲子さん・・。酷い・・。

私は、ずっと。ずっと、貴方の為を思って。

貴方の幸せをずっと願ってたの。


私は、幸せになれなかったから。


せめて、私の為に一生懸命動いてくれた貴方を見て。凄く嬉しくて・・。


貴方の側にいたかったし、

貴方と片桐さんとの恋も応援してたんです。


だから・・。

何で、そんな事言われなきゃいけないのって・・。


私、やっと友達が出来たんだと思って嬉しかったのに・・。」


月野マリアは、泣いていた。


そして、小さく「ごめんなさい」と呟いてスウッと消えていった。


そして、私は一人ぼっちになった。





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