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処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 16〜20歳編
3/61

企画女優

「すみません。先程、貴方の小説読ませて頂いたSHOW出版社の佐藤雪です。

出版社の皆は、貴方の小説ボロクソに言ってました。


はい、確かに題材そのものが時代のニーズにも合っていなかったし。

登場人物のキャラクターも、荒削りすぎて上手く書き切れていない。ハッキリ言って、素人丸出しの小説でした。本当に、つまらなかったと思います。

ネタの引っ張り方もヘタクソでしたね。


ただ、唯一褒める所があるとするなら。

貴方自身の文才は、すこぶる良いのです。

正直。文才だけなら、うちのトップクラスと呼ばれる作家より遥かに群を抜いています。

貴方の作品は、本当に題材やストーリー自体がつまらないだけなのです。


そんな貴方に、一人紹介したい女がいます。

彼女の作るストーリーは、私達の間でも天才と呼ばれています。


ただ、彼女自身がろくに学校に行っておらずマトモな教育を受けていません。


 彼女は幼い頃に、両親から虐待を受けて育ちました。中学になると、実の母親からは身売りを繰り返させられ父親からは性的虐待を繰り返されて育ちました。

 彼女の精神は崩壊の道を辿り、家出を繰り返していた頃に施設に保護されました。


 その後、彼女は施設を時々飛び出してフラフラしていた頃に、セクシー女優のスカウトマンに声をかけられデビューしました。


彼女は、事務所の意向で整形を余儀無くされ、企画女優となりました。


当時の彼女は、それはそれは。

何処にでもいそうな、ノッペリ顔の普通の女でしたから。

胸も、まな板みたいなペタンコ胸を生理食塩水でパンパンにしました。


 やがて、彼女はスカトロから蛆虫が身体を這いずり回るような過酷な撮影まで……。どんな仕事も嫌がる事なくこなした彼女は、やがて単体でも売れる女優へと出世していきました。


 しかし、この頃には既に元の顔の原型は無きに等しいものでした。

彼女の顔と体は、全て整形によってサイボーグ化されたのです。

日本中の男たちは、そんなサイボーグな彼女を愛してやまなかったのでした。


 しかし、そんな彼女は。

ある日突然「私、ストーリー作家になりたいの。」と言い出してAV業界を引退しました。

 既にトップクラスのセクシー女優だった彼女の引退は、ファン達を騒然とさせたのです・・。


 そんな彼女の作るストーリーは、どれも奇想天外なだけでなく人々の心を掴んで離さない魅力がありました。

 破天荒な人生の中で、彼女は辛い思いを何度も味わっては乗り越えてきました。彼女だからこそ作れる世界観に、私達は何度も魅了されたのです。


 彼女の話を聞きながら、誰か文才のある人間がストーリーを書けないだろうか?と、私はずっと探し求めていたのです。

 彼女は、素晴らしいストーリーを作り出せる人間です。ただ、国語力が皆無でした。義務教育すら満足に受けずに育った彼女は、小学校レベルの漢字すらマトモに書けませんし語彙力も無きに等しいのです。


先程、貴方の小説を読ませて頂いた時に。

私は、ピンと来たのです……。


 貴方は、彼女のような豊富な経験のない人間だと思います。

人の漫画などを読まないと、ストーリーすら組み立てられない人間だと思います。

 ただ貴方の文才と、彼女のストーリーが合体したら。きっと、大きな化学反応が起きると思うのです!貴方にも、きっといい話だと思います!


 どうか、彼女のゴーストライターになって欲しいのです。

報酬も、貴方の満足いくまで支払わせて頂けると思います。

 だって私には、これから先のヒット作が見えていますから・・。」


企画女優って、そもそも何?単体女優?

セクシー女優?AV?


一体何の事かすらわからなかったが、

どれも、総じて「アダルトビデオに出演する女優」の事を言うそうだ。


ずっと国語算数理科社会と、勉強は出来る方だったと思うけど。まだまだ私の知らない言葉があるのだな、と知った。


その女は、恐らく私とは対照的な人生を送ってきたような気がする。


 私は、今まで生まれてこの方。

両親に、何不自由なく愛されて育ってきた。

 親の期待に応えて、勉強も一生懸命頑張って進学校に行った。

誕生日には、いつも母がケーキ買ってくれて。クリスマスには、プレゼント。

それが、当たり前だと思ってきたが。


私とは違う境遇で、違う世界を見てきたストーリーの奇才。

私に無いものを持ち備え、私に有るものを持っていない女。


心の底から、会ってみたい。そう思った。



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