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処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 16〜20歳編
23/61

多重人格

やがて、月野マリアを私の中に憑依させる度に。私は、数々の月野マリアの真実を知ることになった・・。


月野マリアは、両親に暴力を振るわれたり性的虐待を受ける度に辛い出来事から回避させる為に、様々な人格を作り出していたのだ。


初めて会った時の、共謀だった月野マリア。

あれは、母親に殴られた頃に彼女の心の中で生まれた「サリナ」という女だ。


「てめぇーばっきゃろーっ。」など、ヤンキー口調で、荒っぽいのが特徴である。


「ごめん。俺が悪かった。」と、性的虐待をした後で父親はふと我に返ってマリアを慰めはじめる。


その時、マリアの中に淑女のキャラクターが生まれる。「ハルカ」という女だ。


ちょっと天然で、ゆったり口調の癒し系であることが特徴だ。


「片桐さん。咲子さん、いつもありがとうございます。」と言っているのは、ハルカという人格だ。


ストーリーを想像している時の人格は、「ヒトミ」という女。


企画女優をしていた時、吊るし上げられて肥溜めに突き落とされる撮影をした頃に、精神的ショックからこの人格は生まれた。


もしかしたら、私や片桐君が見てきた月野マリアは。


全て、辛い過去から回避させる為に作りあげられたキャラクターばかりで・・。


本物の、月野マリア。

いや、本名・・佐藤由芽子とはまだ出会ってないのではないだろうか。


月野マリア。お願い。

本当の事を教えて欲しい。


どうか、本当の貴方に会わせて欲しいの。

貴方という人を、もっともっと知りたい。

貴方が、本当に求める作品を描きたいの。


だから。ねえ。教えて。お願い。


私は、体内に憑依した月野に交信する。


すると月野マリアは、


「嫌です。本当の私は、誰にも会わせたくありません。


いや、本当の私は12の頃に死にました。

父と初体験したあの日から。


私は、あの日から「自分は死んだ」事にしました。そして、今私の体にいるのは別の人間凶暴なサリナ。穏やかなハルカ。


学校や家で、このキャラクターを使い分け続ける事で、私は現実から回避してきたのです。


サリナやハルカいうキャラクターの人生や、キャラクター像を想像する。


そうすることで、私の目の前にある現実は全て私に起きた事ではない。全て、別の誰かが体験していることなんだ。


そう言い聞かせて生きることにしたのです。


だから、無理です。

変な事言うの、やめてもらえますか?」


貴方は、ずっとそうやって現実逃避してきた。しかし、現実はずっと逃げずに貴方に災難として降りかかってきた。


我慢などせずに、警察にもっと早く訴えていれたなら。こんな事にならなかったのではないか。


それとも、処女の私の言うことは説得力ないだろうか?


貴方に、何がわかるのよ?と、しか思えないよね。


でも、このままでは。貴方は、結局現実逃避したまま被害を受け続けて・・。


何の解決にもなるどころか、むしろどんどん酷い結果を招いていったのでは無いだろうか・・。




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