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処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 16〜20歳編
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亡霊

私達は、片桐君のチョイスで何冊かの官能小説をゲットして本屋を後にした。


勿論、月野マリアの作品も大量に購入。

さぁ、今から官能小説の書き方を勉強して書くぞー!と、思ったのも束の間・・。


目の前に、長い黒髪で青白い顔をした美女がポツンと立っていた。


凛とした瞳は、私達を真っ直ぐ見つめ続けた。


「月野・・月野マリア・・。おっ、おめぇ、捕まったんじゃねーのかよ?」


片桐君が、ガタガタと震えだした。

辺り一面に、異様な空気が立ち込める。

さっきよりも、気温も少し低くなったのか?

何故だろう。悪寒がする。鳥肌が止まらない。


「はい・・捕まりました・・。でも、あの後すぐ。私は拘置所で発作を起こして死にました。元々、余命いくばくも無かったのですが、逮捕のショックで死が更に早まったみたいです。」


月野マリアは、淡々と答えた。


「はっ、はぁぁ?じゃ、なんでおめぇ、死んでんのに。ここにいんの?」


「はい。それは、幽霊だからです。」


月野マリアが幽霊・・

そんな馬鹿な・・幽霊なんて、この世にいる訳がないじゃない・・。


そんなの、私。信じたくない。

それに、マリアが死んだということも。

信じたくない!


私は、月野マリアの為に小説を書いて。


そして、貴方のゴーストライターになるために・・こうして、片桐君と一生懸命羞恥心をしのんでアダルトビデオや、官能小説大量に借りたり買ったりしてきたのに・・。


貴方が、刑務所から帰ってきたら。


貴方に喜んで貰えるように、作品を渡してあげたかったの。


悲しそうな瞳をしてた貴方の、笑顔がただ見たかったのよ。なのに・・。


「咲子さん。片桐さん。


こんな私なんかの為に、一生懸命考えてくれてどうもありがとうございます。


貴方達の事は、ずっと天空から眺めて見ておりました。


いつも、私は母親に家畜のように扱われ、頼りない父親の性の玩具と弄ばれ。

辛い青春時代を過ごして来ました。


私は、何の為に生まれてきたのだろうか。


私がこの世に生まれ必要とされる時を感じるのは、両親から受ける虐待の時だけでした。


人との距離感も保てず、ろくに友達も出来ず。いつも休み時間は、一人きり。


窓の外から、校庭で遊ぶクラスメイトを見て「いいなぁ。」でも、仲間に入れてなんて言えない。だって、私。こんなに汚れてるんだもの。


他の幸せそうな子を見ては、自己嫌悪に陥る。

誰からも本当に必要とされず、愛されない。


そんな私が、企画女優としてファンの方々から愛されるようになり。


どんどんファンの要求に答えようと思えば思うほど、撮影はハードになってゆき身体を壊す日々が続きました。


しかし、そんなファンが求めているのは。


私自身ではなく「ハードなプレイをする企画女優 月野マリア」として、愛していたのです。


この道を辞めたら、みんな私のファンを辞めてしまうのではないか。


裸になる仕事を辞めたら、みんなファンを辞めてしまうのではないか。


正直・・性病にかかった理由もあるけど、

本当はストーリー作家になることで、ファン達の反応を試したかったんです。


私は、咲子さんや片桐さんの言動や行動を見て。


本当に、心の底から私を喜ばせようと思って行動してくれてると知ったのです。


それを知った私は、涙が溢れて止まりませんでした。


咲子さんに、私のゴーストライターをお願いして本当に良かったなぁと思いました。


しかし、一つ。

不安な事があります。


それは、やはり・・。


いくらAVや官能小説を読んだ所で、

実際に性行為を体験した人間と同じ感覚は理解出来ないと思います。


まして、私の体験してきた世界は特殊ですし。ストーリーの世界も奇抜なエロを描いています。


もしよかったら、咲子さんがストーリーを書くときだけ。私が半分憑依するというのはどうでしょうか?」


ん?半分憑依?

なっ、何それ?


「半分憑依することによって、咲子さんの意識と文章力はそのままで、脳の一部が私になります。


文章を書くに辺り、私の記憶を少しインプットさせる。


そうすれば、より一層。

私の強い世界観が描けるとおもうのです。」



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