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処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 16〜20歳編
12/61

コント警察官

「月野マリア・・いや、佐藤由芽子さん・・。貴方にも、是非署まで来てもらいます・・。

話したい事が沢山あるのは、わかります・・。わかりますから・・。


ここで、機関銃みたいにベラベラ貴方のお母さん(佐藤雪)の身の上話を聞かされてもね、正直困るんですが・・。


それで同情して刑を軽くして欲しいとか、そういうのとか本当困りますんで。

こっちは、公務なんでね。ハイ。」


警察官の一人が、淡々と答える。


周囲の警察官達は、「よくぞ言った!」とばかりにパチパチと拍手を始めた。


「あのぅ。正直、早く貴方達とっ捕まえて帰りたいんですよ。私達は。ぶっちゃけ、貴方達のメロドラマとかそんなに興味無いので。一刻も早く連行して帰りたいんですよ。


今日、21時から連続ドラマ「クソ女達の憂鬱」がスタートするんですけどね、


まー、録画してはいるものの。


やっぱり、ほら。

家族皆で囲って、テレビって見たいじゃないですか?


って、貴方達にはよく分からない話かもしれませんけどねぇ。そもそも、一家離散っぽい感じですしぃ。

あっ、嫌味に受け取ってしまったなら、ごめんなさいねぇ。


僕の家族は、貴方達と違って家内とも凄くラブラブで三人の子供にも恵まれて本当に幸せなんですよぉー。


さてと。

佐藤由芽子さん。貴方のウダウダどうでもいい話は、署で聞かせて下さいね。」


と言って、警察官の一人がパチンと由芽子の両手首に手錠をかける。

由芽子の細くて折れそうな腕からは、数本もの躊躇い傷が見え隠れしていた。


恐らく、何度か自殺未遂をしてきたのだろう・・。


「ちょ・・ちょっと待ってよぉ・・。

おっ・・お願いですぅ・・。

私、どんな極刑も受けますから・・

どうか・・一つだけお願いを聞いて下さいよぉ・・。」


と、月野マリアが警察官に向かって必死に懇願を始めた。


既にクスリでトロンとした瞳を何とかかっぴらいて涙目で訴えていたマリア。かなり必死だ。


「なんだ・・。犯罪者の癖に生意気な・・。」と、警察官が言うと「生意気ですみません・・。」と、しおらしい事を言い出した。


さっきまで、私の頬に唾と暴言を吐いた女とはとても同一人物とは思えなかった。


さすがは女優という所だろうか。


何故か、警察官の頬がほんのり赤く染まる。


月野マリアは、警察官にウルウル瞳で上目遣い・・。


「おい!犯罪者が、媚を売って警察官に色気ついて逃れると思うな!お前も、何頬を染めてるんだ!公務とは何かを忘れたのかっ!」


と、コワモテそうな顔した警官の一人が彼を叱る。


「はっ・・あっ・・すっ・、すみませ・・つっ、ついタイプでしたので・・あっ、いや、ちっ、違いまして・・そんなつもりではなくてっ・・あのっ・・」


と、言い訳しようとするが。


その他の警察官は皆、彼を「裏切り者!」と言わんばかりの白い目で睨み続けた。


その状況により、月野マリアに幾ばくかの時間が設けられた。


そして、月野マリアは私達と警察官達に「最後のお願い」を言い放った。


「警察の皆さん・・私達一家を逮捕するのは構いません・・。ただ、どうか一つだけお願いがあるのです。


それは、月野マリアが逮捕されたという事実を世間に隠して頂きたいのです。


こんな事が、許されるとは思っていません。


ただ、ワタシ自身。

実は、余命幾ばくもない女という事を薄々感じているのです。


コカインだけではありません。

梅毒でもないですが、とある性病にかかっています。

ヒントは、レコード会社のHMVと一文字違いの病気です。


私のファンは、全国に沢山います。

その方達を悲しませたくはありません。


どうか、逮捕される変わりに。

その事を隠蔽して頂けないでしょうか?


それから、すみません。

片桐さん。咲子さん・・。


貴方達には、迷惑かけて申し訳ないですが。

どうか月野マリアの変わりに作品を書き続けて欲しいのです・・。


ネタは、この部屋に散乱した原稿で20年分のストーリーが作れると思います。


咲子さんなら、文章化出来るといった母(佐藤さん)の言葉を信じます。


どうか、差し支えなければお願いしても宜しいでしょうか?」






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