表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
処女、官能小説家になる。  作者: 星ナルコ
咲子 16〜20歳編
11/61

佐藤雪の真実

やがて、部屋の一室に警察官の団体がゾロゾロと入ってきた。


警察達は、何の悪びれる事もなく部屋一面に散らかった原稿用紙を踏みつける。


「あっ、ちょっ・・まっ・・待ちなさいよぉぉ!それは、今度の連載小説に必要なストーリーのネームなんだからぁぁ!

てめぇらぁぁぁ!

こんだけ、月野に書かせる為にどんだけ薬飲ませたと思ってるんだよぉぉぉ!コイツは、頭がトランスしてないと作品書けないんだっつぅのぉぉぉ!ふざけんなぁぁ!」


と、佐藤雪が血相を変えて怒鳴りつける。


さっきまでの冷静なキャラクターは、恐らく作られたもので、これが本当の佐藤雪なのだろう。


「佐藤雪さん。児童虐待。コカイン使用斡旋容疑。おまけに、脱税容疑の為逮捕です。」


佐藤雪が「やめろぉぉぉ!」とけたたましく叫び続ける中、黙々と警察官達は佐藤雪を取り押さえ手錠をかけた。


「佐藤登さん・・。由芽子さん・・。貴方たちもです・・。」


青い男(佐藤登)は、自ら手を差し出し涙を浮かべる。「お願いします・・。」と呟きながら。


「ちょっと待ってよ・・。

なんで、なんで私は何も悪くないのに・・。


佐藤さんに「精神安定剤だよ」って与えられた薬飲まされてて・・実は、後でそれが麻薬だって知って・・。


また、佐藤さんに騙されたと思って恨んで・・。


でも、佐藤さんの事は恨んでるし。憎い筈なのに。何故か、どうしても離れられなかった・・。「貴方が必要よ。」と言われたら、「もしかしたら」と思って信じてしまう・・。


本当は「お母さん」って呼びたかったけど。

「お前は、お母さんの子じゃない。」と、認めて貰えなくて。


ずっと「佐藤さん」って呼ばないといけなかった。辛かった・・。


周りの子達から、「何で、親の事を佐藤さんって読んでるの?何で、由芽子ちゃんのお母さんは由芽子ちゃんを「月野」って、呼び捨てにするの?」と、不思議がられてた・・。


「月野」は、佐藤さんの旧姓・・。

佐藤さんは、整形して今の美貌を手に入れた。


佐藤さんは、顔も性格もブサイクだった自分の事が大嫌いだった。


「お前は、ブスで産まれた時点でもう人生決まってるんだよ。」そう母に罵られながら育ったんです。


佐藤さんの母が家に帰ってくる事は殆ど無かった。


仕事先で知り合った若い男と不倫に走り、小5の頃には家出して帰って来なくなった。


佐藤さんの父からは、「お前がブスに産まれたせいだ。」と、連日酒を飲んで殴られた。


「お前は、ブスだから。誰からも愛されることなく死ぬんだよ。俺が相手してやるから、有難く思え!」


と言って羽交い締めにされた。そして、佐藤さんは実父にレイプされ泣きながら家を飛び出した。


佐藤さんが、踏切から飛び出して自殺しようとした時に「何やってるんだ!」と、助けた人がいた。それが、父・・佐藤登さんだった。


佐藤さんは、父の家で居候するようになった。


父は、まだ高校生だったが既に一人暮らしをしていた。


父は、事故で両親を無くし天涯孤独の身だった。お婆ちゃんに預けられて育ったものの、一年前に他界していた。


やがて、佐藤さんは長い交際を経て父と結婚した。


仕事は教師。

顔もソコソコ悪くない。

何の面白味もなく、地味で真面目そうな男。

それが、父だった。


今度こそ、彼女を幸せにしてあげたい。

父は、そう思っていたそうだ。

そう、この時だけは・・。


そして、私が産まれた。」



佐藤さんが、やめろぉぉ!それ以上言うなぁぁ!殺すぞぉぉぉ!


と叫ぶ声を無視して、月野マリアは淡々と語り始めたのだった・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ