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ゲンジ06 崩壊する歯車

                06

雪をかき分けながらどうにか旅館に帰ってこれた

僕は慌てて玄関から上がりラウンジへ向かった

「リョウ!!」

ラウンジに入るとすぐ僕はリョウの名前を呼んだ

「・・・おかえり ゲンジ どうだ電話かけられそうか?」

リョウはなぜか衰弱しきった顔をしている

まわりにカレナリはいない

「いや 無理だ いまオーナーはどうにかしている

それでどうだった?あとカレナリさんは?」

「・・・カレナリさんなら外に出て行った 

調べたいものがあるってよ」

「そうか えっと リョウ 元気ないみたいけど大丈夫か?」

さっきからずっと声の調子が悪く まるで病人みたいだ

「なあ ゲンジ 落ち着いて聞いてくれないか」

「・・・うん」

・・・

・・・・・

「ツルミさんは殺された そしてハルカさんは行方不明になった」

リョウは僕の瞳を見つめ こう告げた

・・・

「え?」

リョウはなにを言ってるんだ?

ツルちゃんが殺された?なにそれ?新しいブラックジョーク?

僕が電柱なんかに構っている間にツルちゃんは死んだのか?

僕の大好きなツルちゃんが・・・

ありえない・・・ ありえない

ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないpありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない

・・・・・・ありえない

「嘘だ!!・・・

・・・リョウ ダメじゃないか そんな冗談なんかして

いくら僕でも 脳みそをぶちまけるくらいじゃ許してあげないよ?」

「待て ゲンジ!!落ち着くんだ すまなかった

いきなりこんなこと言っても信用するには無理があったな」

とリョウが僕の両肩につかんだ

「お前にはきついかもしれないが 2階の現場へ行こう

しっかりと受け止めるんだ!!」

「また・・・そんな冗談を・・・ 

いいよ 見に行くよ だけど 本当に冗談だったら 覚悟してね」

「あぁ わかってる」

僕はやはりリョウを信じないままついていった

・・・

しかし 僕はこの時リョウの言葉を信じるべきだった

心がそれを固く拒めば拒むほど

それが心に入り込んできたときのダメージは大きい 

・・・はは 頭のどこかが壊れた気がする

二人がいるべき部屋に真っ赤に染まる床と壁

開いたままの窓から冷たい風が吹き込んでくる

そして 床に仰向きで倒れていて 喉笛がパックリと切り裂かれている

・・・・・・ツルちゃん 

「ぁぁ あぁあ・・・

・・・ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

この世の人間には思えないほどの絶叫を上げているのだろう

いやだ いやだ

もういやだ・・・ なぜだ

なぜツルちゃんまでこんな目に

「うぅ・・・うああああ」

泣くしかなかった 泣くことしかできなかったんだ

・・・

リョウはただじっと僕を待っていてくれた

じっと ・・・ 泣きやむまで 待っていてくれた


「・・・ハルカさんは・・ どこ行ったの?」

「ハルカさんは行方不明になったけど

おそらくあの窓から飛び出したんだろう」

リョウはそう言いながら ポケットティッシュを差し出してくれた

本当に・・・いいやつだ

僕はティッシュで涙を拭き 鼻水をかんだ

「これは・・・ 逃げたってこと?」

「多分な カレナリさんはなにかわかったみたいだが

で どうにか立てるか?」

「あ うん 大丈夫 ごめんねひどいこと言っちゃって」

正直いまでも目の前の光景を信じられず 頭が混乱している

「いいって お前は本当はどういうやつかってことくらい把握してるって」

っふ・・・言ってくれる

僕は気を取りなおし リョウに自分の考えを述べた

「カレナリさんはかなり怪しい 

ひょっとしたら犯人かもしれないんだ リョウ」

するとリョウはかなり驚いた様子で

「は? そんなわけ・・・」

「ちょっと話を聞いてくれ リョウ あくまでも僕の推理だが」

と僕は自分の推理したことをリョウに述べていく

しかし話をすればするほとリョウの頭の上に?マークが

濃くなっていくようにみえる

「ん・・・ おかしな話だな

まあとりあえず俺はカレナリさんを探しにいこうと思ってる

それから一緒に話そう そっちのほうがいいだろ」

「それ 危ないだろ 」

リョウまでいなくなってしまったら僕はもう生きていける自信がない

「大丈夫だ」

と言い リョウは顔を近づいてきて笑ってくれた

「俺のことだろ安心しろよ 

ぜってー無事に帰ってきてお前と旅の続きをするんだからよ

こんなくだらない一晩なんかさっさと終わらせようぜ」

「・・・うんそうだね まだ旅の続きをしよう」

・・・本当 こういう緊急なときは別人だから・・・リョウは・・・

「それじゃ行ってくるからな ラウンジにでもおとなしく待っておけ」

「わかった 気を付けてよ」

「おう」

とリョウは小気味よい返事をし 階段を駆け下りていった


・・・

「探るか カレナリの部屋を・・・」

僕はそう思い 立ち上がり部屋から出て部屋のドアを・・・

ん? ドアが・・・ ぶっ壊れている!!

え?なにがあったんだ こりゃ

・・・まあいいか 

と考えつつ僕はカレナリの部屋に入った

「鍵かけ忘れたのかな」

僕はまわりを見渡した

黒いカバンがベッドの上に置いてある

・・・っていうかそれしかない

旅行には思えないほどの軽装備である

「何入ってるのか・・・」

僕は恐れ恐れカバンを開き 中身を取り出し始めた

ノート タブレット ふでばこ タバコ3箱 ライター

ヘビースモーカーか まあ吸うイメージはあるんだけどね

とその時 一番奥になにか革に包まれたものがあった

「財布?」と思い取り出してみたら

それは・・・ ホルダーに差し込んでる 拳銃 だ


「なんだこれは・・・」

思わぬ品物の出現に思考が一瞬停止してしまった

なぜよりによって銃?

テレビではさまざまな殺人事件を見てきたが

銃殺なんかめったにない

銃刀法違反にならなくても

普通はこんなの買える方法なんかわかるはずがない

ふっとある答えが僕の脳に浮かんだ

「殺し屋?」

あ・・・そうか

殺し屋か・・・

いやいや さすがに殺し屋はないだろ

冷静に考えよう

しかし拳銃があればもっと他にすごいやつがあるかもしれない

ナイフとかライフルとか 

こんなものあったら全員殺そうと思えば殺せるだろう余裕にな

・・・

「リョウ・・・」

不安が募る一方

やはりリョウを一人行かせるのは危険だ

そう思うと僕は居ても立ってもいられず

拳銃をポケットに入れ 階段に下りた

「なにか護身用なものを・・・」

さすがに拳銃は使ったことないからな

僕はラウンジのダンロの横にある火かき棒を手に取って

玄関から外へ飛び出した

「どこから探せばいいんだ・・・くそ」

こうやって探している間にリョウの命が・・・

僕はあたりを走りまわり リョウを探していた

しかし見つからない 焦燥感に駆られる中

突然旅館の裏に

「ふぇ ひゃぁあああああああ」と悲鳴を聞こえた 

この声はリョウだ 間違いない

「・・・リョウ!!!」

僕は全速ダッシュで旅館の裏の物置の近くまで行った

そこには血に染まった雪と茫然と立っているカレナリがいた

リョウの姿はどこにもいない

いや カレナリは旅館から少し離れた

崖の近くに立っているから考えればわかる

・・・殺されて落とされたんだってな

「っ!!! おい ゲンジロウか!!」

カレナリはこっちを気づいたのか歩いてきた

あぁ・・・殺される ツルちゃんやリョウのように・・・

逃げなきゃ・・・

「ゲンジロウ よく聞け リョ「くるなぁあああああ!!!!」

僕はすぐさま振り返りこの場から離れた

やはりこの男は闇だったんだ すべてを食らいつくす・・・闇

「はあ・・・はあ・・・」

「おい待て お前さんはなにかご「くるな!!この人殺し!!!」

そういえばオーナーなかなか帰ってこないのも

もしかするともう殺されたのかもしれない

しかしそんなことより僕はただこの男から逃げることだけ考えた

・・・

後ろから足音が迫ってくるのがわかる

追いつかれる 追いつかれてしまう

くそ こうなったら・・・

「おりゃ!!」

僕は乱暴に手に取っていた火かき棒を後ろに振り下した

ドスッと鈍い音がなり

カレナリはそのまま玄関前の雪地に倒れこんだ

そして頭からゆっくりと赤い鮮血が流れ出てくる


・・・

死んだ? 死んだのか?

「は・・・ははは やった」

僕はつかの間の安心感に満たされたが

その後ツルちゃんの部屋に戻った途端

とてつもない虚無感が僕の全身を襲った

「うぅ うわぁああああ くそぉ くそ!!」

好きな人が死に 大切な親友を失い

そしてこんな人を殺し こんなところで独りぼっち

今日は僕の人生の中で一番悪い日かもしれないね

「ねぇ ツルちゃん・・・」

僕は血たまりの中にいるツルちゃんを抱き上げ

血が僕の体を染みついていくのがわかる・・・

あぁ いい もっと感じさせて

もう体温のない君のその真っ赤な血を 感じさせて

・・・

「ツルちゃん・・・リョウ・・・ いますぐ

・・・・・・逝くよ」

僕はポケットの中にある拳銃を取り出し

こめかみに当てた・・・

「ひけば・・・いいよね ひけば」

僕は目を閉じ 静かに・・・

ゆっくりとトリガーを引いた・・・


                             

ゲンジEND


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