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ゲンジ04 犯人は何処・・・

                04

 「さて どうしたものか・・・」と僕はため息をした

午後8時 死んだカズマさんを発見してから30分以上経っている

食事を終え(ほとんど喉に通らなかった)ラウンジに集まった

携帯圏外 有線電話は昨日から電柱の調子が悪く

そしてついにさっき繋がらなくなったようだ

助けを呼ぶため オーナーはジープに乗って下山したが

まだ帰ってこない

そして気になるみなさんの死体を見た時の反応だが

ツルちゃんは相変わらず元気のない表情でなにも反応見せない

ハルカさんはもっと不思議だ

「キャー なんてこった 夫が殺されたー」

・・・

・・・・・・

とまでは言うわけないだろうけど

涙一つこぼさず 静かにただ見ているだけだった

そしてカレナリさんは無表情を貫いてる

一番慌てていたのはオーナーで一番ダサいのは腰抜かした僕かもしれないな

・・・・・・恥ずかしい

こういう旅館殺人は小説ではよくあると思っていたが

現場の人々のリアクションは想像以上に冷静でどこかが

・・・・冷たいものであった

こうして ラウンジに集まっているものの

静かで重い空気が流れいてる


「犯人はこの中にいるな・・・」

「絶対そのセリフ言うと思ったよ リョウ」

「え マジ?」

定番にもほどがあるわ


「・・・アリバイだ」

「え?」

不意にもカレナリさんが言った言葉に皆の関心が引き付けられた

「アリバイと言っている オオジカズマが死んだ時刻まで

なにしていたか 誰も隠さずみな言うんだ」

「そうだな」

一番得体のしれないカレナリさんに真っ先に聞きたいが

「よーし 俺からでいいだろう」

とリョウが切り出した

僕はリョウとずっといたから

リョウのアリバイはつまり僕のアリバイと同じはずだ

「俺はずっとゲンジと部屋で過ごしてた それだけだ」

「まあ そうですね 温泉上がったあとずっと部屋にいましたね」

「共犯って可能性があるのじゃないかしら」

とそこでハルカさんがボソッと言った 

・・・どこかが午後と会ったときとまるで別人のようだ

「なっ」「そんなことは・・・」

「大体親友同士のアリバイなんて信用できるはずありませんわ

そもそも2階にいた時点ですぐ犯行できるのでしょ

それとも他にあなた達を見た人いるのかしら」

「それは・・・」いないな

ハルかさんの言うとおりだ 

僕とリョウが親友であることは誰見ててもわかる

これじゃアリバイにならない

「待て 疑っても仕方ないだろう まずは話を聞こう」

カレナリさんが口を開くとあたりに圧力のようなものを感じた

「お前さん達 2階にずっといただろう

なにか物音とか叫び声聞こえたりしなかったか?」

「いえ 僕は絵に没頭していまして 恐らく聞こえなかったと思います」

「俺も聞こえなかったな イヤフォンつけてたからな」

「うむ まあ悲鳴や激しい物音すれば1階にだって伝わるはずだろう

犯人は被害者に気づかれてないか それとも安心できる相手・・・か」

「安心できる相手・・・」

僕たちは自然とハルカさんのほうに視線を向いた

「私が殺したとも言うのかしら バカバカしいわ」

「いや そうは言ってない アリバイ次第だがな」

「アリバイね・・・学生さん達と別れたあと

まだしばらく本を読んでいたわ それから温泉に浸かって

部屋に戻ったら あの人電波が届かないとか言ってた気がするわ

それで私のこと邪魔といい 私は先に食堂でワイン飲むことにしたわ」

「被害者を見たのはいつだ」

「6時前後じゃないかしら オーナーはわかるはずよ」

つまりカズマさんが殺されたのは6~7時ってとこか

「なるほど オーナーが戻ってきたらまだ聞こう

それと 俺のアリバイだが すまないが 単独行動していたもので

これといってはっきりとしたアリバイはないだろう」

僕たちがカレナリさんを見た時は温泉の前と食堂に行く前だ

カズマさんはちょうどこの間に殺されたとしたら

僕たちが見たことはアリバイにはならない

「俺はチェックインしたあと荷物を部屋に置き 外の景色を見に出た

まあ なんだ 俺は 小説家 だからな」

「へー」としか言えない僕

しかし意外である 元は軍人じゃないかと疑いたくなる

「それからラウンジに戻りメモを整理してから食堂に向かった」

「そこで俺たちと出会うわけね」

「そうだ」

「なるほど とりあえずそれは真実として受け止めましょう」

「ありがとな」

あとは二人の行動のアリバイだが

「オーナーはずっと準備で忙しかったはずと思うが」

「あぁ でないとあんなにうまいシチュー作れないな」

「料理がアリバイになってますね はは」

笑っていられるのもつかの間 問題はあと一人だ

「なあ ツルちゃん さっきからずっと黙ってるけど 大丈夫か」

「え・・・ うん 大丈夫 と思う」

正直 ツルちゃんだけは疑いたくなかった

しかし オーナーの言葉が本当なら 

ツルちゃんは死亡推定時間に2階に上がったことになる

・・・温泉に入っただけと信じたい

「それで ツルミさん アリバイ頼むよ」

カレナリさんは強く圧力かけるような口調で問いかけた

「ず ずっとイタミさんの手伝いをしてましたけど」

イタミ? あぁ オーナーの名前だったかな

「しかし料理を運ぶの見かけなかったが?」

「途中温泉入ってきたから・・・なのです」

「なぜ手伝ってる途中急に温泉に入ろうと思ったんだ?」

「うぅ」ツルちゃんは明らかに怖がっている

「あのカレナリさん 体調悪いかもしれませんよ」

「そんなの関係ないだろ 問いに答えろ!!」

っく 怖い 怖すぎる 視線で人を殺せそうだよ

「ちょっと あなた」

とそこでハルカさんが口をはさんてきた

「なんだ」

「レディー相手に少し失礼だと思わないこと?」

「え?」

「こんな可憐な少女相手に怖い男の大人に責められちゃ

なにも答えれないに決まってるじゃないのかしら?」

「カレナリさん 少し落ち着いてからにしましょう」

「あ あぁ そうだな すまない 言い過ぎたようだ」

なんとハルカさんがカレナリさんを言い負かせたのだ

もしかしたらカレナリさんハルカさんに弱いのか?

「ツルミさんの話は私が聞いておくわ

さあ 部屋に戻って休憩しよう」

「はい ありがとうございます」

ハルカさんは1階を僕たちに任せ

颯爽とツルミさんを連れ2階へと上がっていった

「はあ ったく」

と微かにカレナリさんがつぶやいた気がする


バタンッ とドアの音が玄関のほうから聞こえてきた

「もしかして 帰ってきたのか」

僕たちは様子を見に玄関へ向かった

そこには全身雪に覆われ 息が上がっているオーナーの姿があった

「おかえりなさい 大丈夫ですか?」

「はあ はあ はい 大丈夫です

それより 大変です 聞いてください」

「はい」「あぁ」「なんだなんだ」

「雪崩のせいで唯一下山できる山道が塞がれてしまいました

通れないんです!!!」

・・・

「は?」

僕はただ茫然と 立ちつくしてしまった



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