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ゲンジ01 出会い

 1月中旬 まだ肌寒いんだが 晴天の空が暖かく僕らを包む

そんな中僕と親友のリョウは次の目的地へ向って 雪を踏みしめ

山道を沿って登って行った

 

 さて 語ろうか あのどうしようもなく理解不能で

不条理な地獄の一夜について・・・


                01

「ふぅ~ さみぃ~」

と親友のリョウが手のひらに息を吹き込みながらつぶやく

「もうすぐ着くよ あと少しの辛抱だ」

ポケットから観光地図を取り出し目的地の場所を確認した

「あと1kmくらいかな」

「ようやくかよ さすがに徒歩でここまではきついぜ」

「まあまあ 運動だと思って 前富士山の時もっとしんどかったでしょ?」

「そうだな 頂上での朝日は最高の思い出だったがな」

「うん すごくよかったよな」と僕は微笑んだ

あのときにスケッチした朝日はいままで一番いい作品なのかもしれない

「よーし さっさと着いて風呂入って目いっぱい食って寝ようぜ」

「あぁ そうしよう」 確かに露天風呂もあったはずだ

「あーそうそう それでさ 前の富士山の4合目あたりでさ

すっげーかわいい子がホットパンツ着てたんだよな」

「へー 寒そうだね」

「そこじゃねぇよ ホットパンツ最高だろうが!!」

・・・ ひいてしまった僕であった 

「はいはい そうですね」と適当に流した

「なんだよ 興味なさそうだな ってかお前全然こういう話

しないんだよな ったく これだからホットパンツの魅力をわからない

"お子ちゃま" は困るんだよ」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「は?」

こいつ いまなんて言った!?

死にたいのか? ぶっ殺されたいのかな!?

「おいちょっと待て! 目がマジになってるぞ!!

オーラが殺人鬼なってっぞ!?お前そんなキャラだっけ!?」

ガリガリガリ(カッターナイフ)

「ぎゃー!! 無言でカッター構えるな!!

謝る 謝るから!! ごめんなさい!! だからその物騒なものを仕舞え!

土下座でもなんでもするから!!」


と騒々しく歩いて15分経ったところ

ようやく旅館が見えてきた やっとの到着である

「おーきたー」リョウは両手を上げて万歳のポーズを取った

「いい作品ができそう」隠れた名所といわれるだけのことはある

「んじゃさっそく入ろうか」

「うん そうだね」 と言い僕らは旅館の入り口に向かおうとした

その時 ちょうど旅館前に止めてある一台の車が

視野に入った またエンジンかかってるみたい 誰かが乗ってるかな

「あれ てっきり俺らだけがこの閉店寸前で無名なボロボロ旅館

に来たと思ったら先客いるじゃないか」

「いやいや そこまでこの旅館が経営困難に見えないよ

掃除行き届いているみたいだし」

「ったく つっこみがいまいち甘いなお前」

「つっこみたくてつっこんでるわけじゃないよ」

「そこまで言うか!!死ね!!とか言わないと」

「言うわけないだろ!!死ね!!」

なんてことを僕に強要するんだ 

死ねなんて汚い言葉使うわけないだろ この僕が


「あのー」と女性の声が

はっ!!しまった リョウとバカなやり取りしている間に

すでに車から人が降りてきたか

僕は声のほうに向いた

「あっ」長い髪に大きくてきれいな瞳

すでに何年も会っていない懐かしき友

「やっぱりゲンくんだ 久しぶりー 私のことわかるかな?」

「もちろんわかるよ 久しぶり ツルちゃん」

ツルミ 幼馴染で中学の時までずっとお隣だったけれど

親の離婚によって離れて行った

そして 僕の初恋はそこで終わった・・・・・・はず!!!

「一目でわかってくれてうれしい あれからもう6年くらい経ったのにね」

しかしこうやって神様が僕の初恋を繋いでくれた!!

やはり 人生捨てたもんじゃないな

「そりゃ 僕の大好きなツルちゃんだからね」

「もーやめてよ そういう冗談は・・・

大体冗談って言ったら昔一回半裸で窓から入ってきて

"僕と結婚して魔法少女になってよ"なんて言ったとき

本気で警察を呼ぼうと思っていたよ」

・・・わりと本気だったけどな あの黒歴史は・・・

「それで なぜこの旅館に?」と僕の黒歴史から話をそらして

「えーっとね 私大学中退していまカメラマンで

全国の風景を探して撮影しまわってるんだ まあ 旅気分よ」

「へーそうなんだ なんだか僕と似てるね

僕もいろんなところの風景をスケッチしているよ」

「すごーい いまでも絵描いてるんだ ゲンくん絵上手だったもんね」


「あー すいません 故友の再会で盛り上がってるところ申し訳ないんだが

そろそろ俺の存在を忘れてないか?」

「誰?」

誰だこいつ 僕とツルちゃんの楽しい会話を中断するなんて

万死に値する!!

「ひでー この親友を切り捨てるときの白々しさ

さすがは"氷点下の腹黒"と呼ばれてるだけのことはある!!

「呼ばれてねーよ!!いま適当に考えただろ絶対!!」

ったく相変わらずこいつとの会話はつかれる


互い挨拶を終え 3人揃って玄関へ向かった(1人余計だが)

それにしても6年経て さらにきれいになったな ツルちゃん

私服のセンスは変わっても 性格は昔のままやさしいし それで・・・

「パンツ何色かなー?」

「ひゃっ!? ゲゲゲゲゲゲンくん!? なに言ってるの!?」

しまった ついに本音が・・・

「違いますよ ツルミさん ゲンジは別にあなたのパンツなんて

考えていませんよ」

リョウ・・・まさかフォローしてくれてるのか 軽く感動

「きっと今夜寝るとき被るパンツの色を悩んっぐほ!!」

殴った 全力でこいつの腹に一発入れた

さっきの感動返せ!! フォローところかさらに誤解が深まるだろ!!

まるで僕はパンツに興味津々の変態じゃないか!!

そんなことは ないよ・・ 断じて ・・ うん

「えーっと ゲンくん これからは半径3m以内に近づかないでね」ニコッ

微笑みながら絶交に等しいことを言われたー!!自殺してー!!!

しかしそこであきらめてしまったら試合ところか人生が終了してしまう!

「待ってくれツルちゃん 違うんだ!!僕はそんなホイホイと

他のパンツを被るような男ではない ツルちゃんと出会った時からずっと

ツルちゃんのパンツだけ被りたいんだって逃げないでーー!!!」

本気で逃げられてしまった ショックだ・・・

どこか縄売ってないから 自殺専用の・・

「立て 立て 立て 立つんだ ジョー!!!!」

とリョウは僕の肩に手を置いた

いや ジョーじゃないけど?ボクシングしてませんけど?

「行けー!!彼女との誤解を解くんだ!!まだ間に合うぞ!!」

と親指立てて僕に向けた

いまいちこいつの励まし方うっとうしいな

とこのままじゃ自殺用縄買いかねないので僕はカウンター前で

止まっている彼女の元へ向かった

その時 奥のほうにゆらりと太り気味で風呂上りの中年男性が

温泉から出て こちらを気づいたのか歩いてきた

「え・・・」顔が確認できたのか ツルちゃんが明らかに表情が変わった

まるで・・・

汚物を見るかのような目で・・・

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