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世界のだれかが紡いだもの  作者: 新巻鮭
4章・鏡の中身
40/54

肩書き

お久しぶりです。

再び定期更新と行きたいところですが、難しいと思います。

本当にすみません。

 現在僕は人類部隊側の即席司令室のひとつに潜入していた。

 情報を得るためだ。


 今回の侵攻は防衛・侵攻両部隊の規模が段違いだ。

 何がどれだけいるのか――主にエリートだが――を把握しておく必要があった。


「ナクア、聞こえる?」


 Lm‐I展開中なので声が漏れる心配はない。

 足音には要注意ではあるが。


《手はずは?》


「バッチリ。エリートは4。ミュータントが102、ノーマルは…………1万くらい」


 情報素子で、生体反応は認識できるものの、個体識別はできない。

 そのために、僕はここにいた。


「現在の生体センサー情報を送るよ」


 カメラモードで、生体センサーの表示を撮影。

 ナクアの方へ送信する。


《Lm‐I使用限界到達。強制武装解除》


 送信中にLm‐Iが使用限界に達する。

 前回より心持短い稼働時間だった。

 僕の姿が白日の下にさらされる。


 だが僕は焦ってはいない。

 むしろ余裕があった。

 こういう時はまず、場に溶け込むことが重要になる。


 むしろ焦ってはダメなのだ。

 最初からそこにいた風を装っておかねばならない。

 何食わぬ顔で立ち去ろうと、足を動かした矢先だった。


「誰だお前?」


 後ろからの声。

 僕が振り向くと、そこには今到着したと見られる士官の方が。


 タイミング悪いなあ…………。


 内心毒づきながら、司令部の注目を一身に受ける。

 こういう時、どうすべきかの社会常識は、さすがに無かった。


「ど、どうも…………」


 頭をかきながら挨拶すると、銃口が一斉にこちらへ向けられた。

 その数7。大した注目度だ、僕。

 ただ、カメラのフラッシュでなく、マズルフラッシュを浴びせかけられそうな状態だけど。


「どこの所属だ?」


 代表してか、1人の男――見るからに前線に出なさそうな、貧弱そうな男だ――が僕に問いかける。


「どこの所属だろうね?」


 答える義理は無かったので、安い挑発をかける。


「民間人か? どうやってここまで来た?」


「あんなザル警備で侵入者防げる方がどうかしてるよ」


 これは正直な感想だった。

 警備はザルと言っても差支えなく、僕もLm‐I無しで余裕で接近できた。


「…………民間人なら、何の用だ?」


 苦虫を噛み潰したような顔で、質問を続ける。


「用は済んだんだけど、言わなきゃダメ?」


「当たり前だ。口からクソねじこまれたいか?」


 おお、怖い怖い。


「じゃあ…………んー、そうですねー。


 ――――司令部を1人で潰しに来た。

 とかどうです?」


 手近にいた男の手に麻酔薬を塗ったナイフ――装甲服の仕込みに用意されていたもの――を突き立てた。

 怯んだスキに拳銃を頂戴する。全て右手で行った。


 左手では鉤爪付きワイヤーロープを振り回し、適当なヤツに巻きつけ、引く。

 右手に取った拳銃の引鉄を引いた。


『適当なヤツ』さんはバランスを崩して隣のヤツに衝突した。

 拳銃から放たれた弾丸は正確に同型の拳銃を撃ち抜いていた。


 ワイヤーロープから手を放した。

 マガジンリリースボタンを押しこんだ。


 身をかがめた。

 正面と背後のヤツが引き金を引いた。


 そいつらが同士討ちになった。

 銃からマガジンが抜けた。


 僕は後ろに跳躍した。

 左手で麻酔薬を塗ったナイフを、右手で弾倉を抜いた拳銃を投げた。


 ナイフはワイヤーロープに縛られたヤツ――――にぶつかられたヤツの肩に。

 拳銃が同型の拳銃に衝突する。


 僕は現在の敵戦力を分析した。

 麻酔が効いてるのが2、縛られてるのが1、負傷が2、拳銃を跳ね飛ばしたのが2。


 先に拳銃を弾いた方はもう拾い上げていた。

 すでに狙いをこちらにつけているが、引鉄を引く暇を与えるつもりはなかった。


 僕は前進。距離を詰め、拳銃を掌で掴む。

 そして銃身を握りつぶす。


「ひっ!」


 眼前の男の顔が恐怖に歪んだが、こちらは無力化さえできれば問題ない。

 ひとまず捨て置き、最後に拳銃を跳ね飛ばしたヤツの方へ向く。


 完璧に腰を抜かしていた。

 後ろから撃たれる心配はなさそうだ。


「じゃ、あとよろしくお願いします」


 そう、腰を抜かしたのと、拳銃を握りつぶされたのに言うと、僕は指令室を後にした。


 気になるのは同士討ちした2人だ。

 急所は外れてたのは見えていたが、どちらも出血がひどい。


 助かればいいけど…………。


   ▼


《CP! CP! どうした!? 応答しろよ!》

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