包囲網兼防衛線
《ウィデクム隊は、C7地区へ向かい、変わり種と交戦してください》
「何だって!? こっちは対人装備だぞ!?」
《B8地区を経由してください。追加装備を用意しています》
「了解!」
《ゼンブサーディア隊、全機行動不能! 誰か、誰かE地区にいないか!?》
《支援砲撃はどうなってる!? あっちにエリートがいるんだぞ!》
《弾よこせ! 早く!》
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「ひどいな…………」
辿り着いたレーフェル1の口から漏れ出た感想はそれだけだった。
計器に表示されている無数の敵、それに飲まれかけている自軍部隊。
単機での戦闘力で言うなら、機動装甲は敵一般兵を凌駕している。
しかし、変わり種を相手にする場合は、その立場は逆転し、エリートに至っては、1体いるだけで都市存亡の危機に立たされる。
「隊長、どうやらエリートが『手甲』により支援砲火を妨げているようです」
レーフェル2の報告に、レーフェル1が納得する。
「全員聞け。これより味方部隊の指揮下に入るが、こんなところで死ぬなよ」
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「レイト、大丈夫?」
復活早々に戦場へ出ることになるとは思ってもみなかったが、出なかったらそろそろ生活費が足りなくなる。
火事場泥棒って言うのは気が引けるけど、古着屋は恐ろしく収入にならない。
2人分の生活費を得るのは無理だ。
「大丈夫、いけるよ」
体の方はと言うと、まったく何ともなかった。
完全に異常なし。すべて正常。
支給品の展開も確かめてみたが、こちらも問題なし。
稼働まではGr‐Tしか試していないが、多分大丈夫だろう。
「じゃ、いこっか」
僕のとは全く異なるデザインの装甲服を身に纏い、ナクアが家を出る。
僕もそれに続くように、家を出た…………。