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世界のだれかが紡いだもの  作者: 新巻鮭
3章・底無し沼の中の片足
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差し伸べる手、握る拳

 飛び降りたはいいものの、向こうからの攻撃は激しかった。

 僕がいたビルは、周りと比べてひときわ高かったので、周りのビルに隠れるまで若干のタイムラグがあったのだ。


 Dn‐SとDn‐Tが遠慮容赦なく僕の方へと放たれる。

 忌々しいことに、立射のくせに精度が高い。


()()を確認。Gr‐T通常起動》


 僕はGr‐Tを展開。

 叩き落とすことは考えず、軌道をそらし、後ろに受け流す。

 消耗は少しでも軽減しなければならないからだ。


 数秒と待たず、僕の姿はビルが隠してくれた。

 安堵と共に、路地裏に着地する。


 Gr‐Tの展開を解いてから、情報素子でナクアに連絡を取る。


「ナクア、そっちは?」


《ミュータントの群が来てるみたい。私1人で大丈夫だけど、時間がかかりそう。それまで援護できないけど頑張って》


 ナクアの位置は、情報素子で常に把握できるが、その場所に向かうワケにはいかなくなった。

 さっきのエリートは今までの行動からして、確実に僕の方を狙ってくるだろう。

 ナクアと合流することは、すなわち彼女に「ミュータントとエリート、両方相手しろ」と言うようなものだ。


 男として、そんな情けない事態は招きたくなかった。


「やって――――やってやるさ」


 固有兵装が無いとかは、関係が無い。

 そう、倒せなくてもいい。

 ナクアが来るまで、持ちこたえる。それだけでいい。


 2対1となれば、向こうに勝ち目は無くなるだろう。

 それすなわち、僕らの勝利だ。


 勝利条件が明確になったところで、僕は大通りへと飛び出した。

 コンクリートジャングルに阻まれ、敵がどこにいるかは分からない。


 僕は、情報素子の生体センサーを起動させた。


 反応は一直線にこちらへと向かっている。

 お互い、どこにいるのか、お見通しらしい。


 僕は場所を変える。

 この場所では、狙撃等に対応しづらい。



 僕が選んだ場所は、先日ナクアがGr‐Tを放った場所だ。

 ここなら周囲のビルが湾曲しているため、建物の中はもちろん、屋上も使えない。

 奇襲をかけられるとすれば路地裏からのみだ。


 それから待つこと30秒。


 モニターから生体反応が消えた。


 Lm‐Iを使ったのだろう。

 だが、それにも弱点があることは聞いていた。


 ――――他の支給品が隠せない。


 つまり、Lm‐Iの迷彩は支給品を使わない限りにおいて、有効なのだ。

 それを知ってか知らずか、ヤツはDn‐Tの銃口を路地裏より、覗かせている。


 戦闘が、開始された――――。


 轟音が届くよりも早く、僕が今さっき乱射していたものと同型の重徹甲弾が飛んでくる。


 音速を超えるDn‐Tの重徹甲弾は、それ自体の威力はもちろんだが、それに伴う衝撃波もまた脅威だ。

 僕はスウェーして躱したものの、装甲服の袖には切れ込みが入っていた。


「く――――!」


()()を確認。Dn‐T通常起動》


 僕もDn‐Tを展開。

 立射だが、この距離で外す事は無い。


 重徹甲弾は我らが怨敵を闇の世界から引きずり出してくれることだろう。

 そう確信し、僕は引鉄を落とした。


 鋭い反動が銃床から肩に伝わり、強烈な硝煙の臭いが鼻を突いた。


 コンクリート製の壁をぶち抜かれ、重厚な悲鳴を上げながら建物が倒壊する。

 だが、Dn‐Tは明後日の方向を向いたまま、展開し続けている。


 ――――どういうことだろう?


 そう思った瞬間だった。


「やーい、引っかかってやんの!」


 ――――背後から人の声!

()()を確認。Gr‐T通常起動》

 僕は振り向きざまに、相手の顔も確認せず、Gr‐Tを放った。

 ナクアから教えられていたことのひとつだ。


 ――戦場では自分たち2人以外は敵だから、何かに気づいたらまずぶちかませ――と。


 敵の方は自分の奇襲が成功したと、思い込んでいるのだろう。

 にやけきった顔のまま、吹っ飛んで行った。


 この間に僕は判断する。


 今さっき、Gr‐Tはミュータントがバラバラにできるくらいの出力で放った。

 なのに人型を保ったまま飛んで行った。

 すなわち、こいつはエリートだ。


 そして、奇襲の際、わざわざ声を上げて奇襲の事実と位置を知らせてくれた

 すなわち、こいつはアホだ。

 実戦慣れしてるしてないはともかく、自分と同等、またはそれ以上の相手に対する戦術を持っていないのだろう。

 まあ、さっきのような単純ミスはもうしないだろうけど。


 落着してから、やっと自分の奇襲が失敗したと、気づいたらしい。


 けど――――遅い。

()()を確認。Dn‐S通常起動》

 僕は落下点に向け、Dn‐Sの引鉄を落とす。


 Dn‐Sの電磁加速器の音は、火薬式のDn‐Tと比べ、はるかに穏やかなものだ。

 ローレンツ力で射出された砲弾は、霧雨のように静かに、目標との距離を詰め、命中する。


 爆発(KABOOM)爆発(KABOOM)爆発(KABOOM)


 霧雨と違うのは、着弾時に爆発することと、砲弾が音速を超えるため、発射時に音がしようとしまいと関係の無いことか。


 爆煙で敵の姿が見えないため、僕は情報素子の生体センサーに目を落とす。

 先ほどから、同一地点にとどまったまま動かない点が2つ。片方が僕だ。


 そして、次の瞬間、もう片方の点が掻き消えた…………。

謎のバグで1回データ消えました。

同じような文章に書きなおしたものの、出来が酷い。泣きそう。

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