焼け焦げた日常の副産物
その日は結局何事も無く終わった。
僕は、ベッドをセットした後、露店セットを持ったナクアを駅まで迎えに上がり、そして今――――シャワーを浴びていた。
今日かいた汗を流し、さっぱりした僕が、脱衣所に戻った時だった。
――――悪夢が始まった。
僕は違和感を覚えた。
そこには、僕が今日着てた服と、寝間着として、今日から使うはずだった古着が置いてあるはずだった。
しかし、そこには、いま言った物の何一つとして、置いていなかった。
その代わり、目の前にあるのは、どう見ても女物の――――昼間ナクアが僕に勧めたエプロンドレス。
下着が男物なのが、せめてもの救いか…………救いにもならないけど、その隣にある物体の前には。
「ナクア! ナクア!」
「どうしたの?」
にやけた声の返答。確信犯だ!
「僕に何をさせたいのさ!?」
「女装?」
いや、なぜに疑問形。
「ふふふ、早く服着ないと湯冷めしちゃうよ?」
「ぐ……くぅ…………」
し、仕方あるまい! 背に腹は代えられん。
僕の服はどうせ、国境の向こう側だ。
腹を括り、僕はエプロンドレスに袖を通し…………。
「――――って、ふざけてないで僕の服返してよ!」
「元々私のだよ? 盗品だけど」
そうだった! でも、いまそんなことは関係ない。
「そろそろ、本気で怒るよ?」
「怒ったらどうなるの? 裸で出てくるの?」
……………………そうでした。
今の僕は、パンツ一丁の素敵スタイルでした。
羞恥心に勝てない僕はここから出られない。
選択肢は2つ。
パンツ一丁の変態さんになるか。
女装した変態さんになるか。
…………。
……………………。
…………………………………………。
「…………ありゃ、意外と似合ってない」
出てきた僕に対する、ナクアの第一声がそれだった。
「何だかガッカリ。着替えて来て」
そう言って、僕の手に、本来着るはずだった寝間着が渡される。
言うだけ言い、振り回すだけ振り回してくれたこのお嬢さんは、暖房の入っているリビングへと消えて行った。
残されるのは、エプロンドレスを着込んだ、変態男子1名。
「…………。……………………。…………はぁあああああ!?」
何このオチ!?
2章はここまでです。
章タイトルと内容が一致してないような気がしますよ。
それ言うならサブタイもだけど。