反省会の重要性
「今回の戦闘結果は上々なモノだったようだな」
大隊長が破壊の限りを尽くされた街を眺め、うそぶく。
「ええ、今回、エリート2名の離反もあったようで、おかげで我が方の被害はほとんどありません」
「例の新型は…………なかなかに良好な性能だそうじゃないか。なぜああまで酷評する?」
「はい、エリート相手ではあの程度の性能差、まったく意味がありません。数を揃えやすい分、雑魚の方がマシでしょう」
「強く安く、か。それが兵器の理想だが、な」
現実はそうならないことを、大隊長はよくわかっていた。
そして、目の前の部下が言うことが正しいことも理解していた。
「さて、これが、エリートの暴れ回った後かね?」
弓なりに陥没したアスファルト、異質な方向へとひしゃげたビルの列。
ナクアのGr‐Tが放たれた跡。
「ヤツらの使う特殊装備の跡でしょう。被害状況から察するに『手甲』ですね」
「こんなものと相対しておるのだな。前線に立つ兵士は」
こんなものをまともに食らえば、機動装甲だろうと戦車だろうと、あっという間にバラバラにされることだろう。
だが、味方になれば…………これほど心強い味方は無い。
「たしか、離反したのだったな。この土地に現れたエリート2名と言うのは」
「ええ」
「味方にできないものかな?」
うまくいけば、強力な味方を得るだけでなく、連中の正体を暴く足掛かりとなる。
「映像データも残っておったな。解析させて、個人特定もさせろ。きわめて内密にな」
大隊長はこう考えていた。
『連中』は確かに正体不明の拠点を使っているが、さすがに裏切り者に使わせるような拠点は無いはずだ。
だから、探し続ければ、いつか必ず、捜査の網に引っ掛かるはずだ、と。
だが、捜査していることを気取られてはならない。
警戒されてしまえば、接触は困難を極めるだろう。
それを避けるためには、行動を慎重に、密にする必要がある。
「さて、どのような結果になるか…………」