プロローグ
この作品は「偶然という名の奇跡」というシリーズの続編です。全作を見なくとも楽しむことは出来ると思いますが、より楽しんでいただくために、前作からどうぞ。
その日は文化祭当日だった。普段なら授業中で閑散としている中庭も、今はいつになく賑わっている。活気があると言えるだろう。ごった返す人ごみ。みんな例外なく楽しそうだが、一番楽しいのは主催者であるうちの高校の生徒。もっと言えば、文化祭の中心であるうちの学年、すなわち二年生が一番楽しんでいるに決まっている。これは壮大な自己満足なのだ。みんなで力を合わせて完成させた。力を合わせて作り上げた。そんな空気を感じることができるのは、当人たちだけだ。周りはせいぜい、きっと相当努力したに違いない、と想像するだけである。
とまあ、ここまで偏見丸出しで、偏屈な考えを持つ生徒はそうそういまい。俺も自覚している。なぜここまでねじまがった考えを持っているかというと、一つは俺の性格が無残にも捻じ曲がっているから。二つ目は、こういうわいわいがやがやした空気が嫌いだから。そして三つ目は、厄介ごとに巻き込まれているから。
前日まで、他人の悩みに振り回され、他人が持ってきた厄介ごとに奔走していた俺だったが、結局というかやはりというか、当日も厄介ごとに巻き込まれていた。
さてどこから話そうか。やはり最初から話すのが妥当だろう。事が起こったのは、ステージ運営を任された一日目ではなく、特に予定もない二日目のことだった。
最初だけ3話あげてみました。
今後は週一ペースでアップしていくつもりです。
またよろしくお願いいたします。