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11-2 詐欺師を撃退せよ

 ルーウェンの登場でどうなることかと思ったエリサだが、この短時間で調べたこと、あらかじめ店に頼んでいたことも含め、なんとか詐欺師たちに騙し討ちすることができた。


「一時はどうなることかと、本当にヒヤヒヤしましたぁ」


 イヴリンが心労を訴えるように肩を落として言う。うっすら涙を浮かべているところ、とても怖かったのだろう。

 エリサは詐欺師たちがルーウェンのはからいで連行されるのを見ながら、イヴリンを抱きしめた。


「ごめんなさいね、イヴリン。無茶を言ったわね」

「いいえ! 私は奥様の言うとおりにしたまでです! ただ、奥様にもしものことがあったらと」

「私が言い出したことよ。それにあなたがいたから、あいつらを捕まえることができたのよ」

「うぅ……奥様ぁ……!」


 イヴリンはエリサの胸にしがみつき、おいおい泣いた。

 そんな彼女の頭を撫で、エリサは周囲に「お騒がせしました」と謝る。しかし、男たちは意外にも好意的だった。


「なんのなんの、むしろお嬢さんの威勢がすごいよ。あの詐欺師たちをだまくらかすなんてなぁ」

「大した度胸だよ」

「気に入ったぜ! アンタの仕事、俺たちも応援するよ!」


 そんな声が飛び交い、エリサはホッと胸をなでおろした。


「ぜひ、私が開業したら薬を買いに来てね!」


 ついでに宣伝すると、全員が「おう!」と声を上げた。

 そんな盛り上がりを見せるパブをあとにし、エリサとイヴリンは路地裏に出る。

 そろそろ帰らなければ、アベルの雷が落ちるだろう。とくに詐欺師たちのことがアベルの耳に入る前に帰りつきたい。


「商人ギルドはまた今度ね……はぁ。早く開業したいのに」


 そんなことをぶつくさ言ってると、役場に詐欺師たちを連行したのかルーウェンがやってきた。


「エリー。すまない。君があんな作戦を立ててるなんて知らず、突っ走ってしまって」


 ルーウェンはおずおずと言った。

 どうやら自分の行動の浅はかさを反省しているらしい。そんな彼を慰めるようにエリサは顔を覗き込んだ。


「ううん! あなたのあんな威勢の良さに驚いたくらいよ! でも、とても助かったわ」

「えっ、そうか?」

「えぇ! だって、やっぱり女二人だけだと心細かったもの。だから、できるなら、あなたの力を今後も貸していただけると助かるわ」


 社交辞令ではなく本心だった。すると、ルーウェンは声を詰まらせた。鼻をすする音がし、エリサは気を利かせて笑って一歩後ずさる。


「じゃあね、また会いましょう!」


 ルーウェンは返事の代わりに片手を挙げた。


「やっぱり彼はシャイな人ね。じゃ、帰りましょうか、イヴリン」

「はい!」


 二人はルーウェンに手を振り、時空穴まで走って向かった。




 その後、エリサは無事に商人ギルドに登録でき、町の薬師としてだけでなく商売人としても認められた。

 また、詐欺師撃退の件は薬師エリーの名を広めるにはうってつけであり、ノルデン・フェルトだけでなく他領の地域にも轟かせる。

 それが誤算だったことは、このときのエリサにもアベルにも予測できるはずはなかった。

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