妹のの思い姉知らず
大好きなお姉様。彼女は私の心配なんて知らないだろうけれど、心配する必要もない。そう思って、心配をやめなければよかったと、今でも思う
とっても美しいお姉様、2つ年上のお姉様は第3王子の婚約者。私と違い自由がなかった。6歳の頃には妃教育に明け暮れて、才能ゆえに聖女となったお姉様。
私みたいなお姉様の残りカスよりもお姉様はとっても凄い方だ。みんなに慕われ頼られる彼女を僻むことすらできなく、只々憧れだった。
私が3歳か4歳くらいの時、お姉様は行方不明になった。お姉様が5歳6歳の時だった。私はその頃お姉様っ子でお姉様がいないと泣いていた。
彼女は1年後に姿を現した。私よりも4つ年上の男の人を連れてきた。
彼はアサノンと名乗った。お姉様には負けるが紫の髪、サファイヤのような瞳、彼は美しいと言っていい。
私もそれなりに見た目は良いと思うけれど、彼の方が上かもと言える。
お姉様は私が11歳の時に正式に聖女となった。お姉様は教会へ行かなくちゃ会えなくなり、どんどん姉妹なのに他人の様になってしまった。
お姉様はそれと共にデビュタントを迎え、社交界にも顔を出すようになった。第3王子の婚約者であり聖女として。
私の姉は我が家名を使うことはほとんどなくなり、自分を『聖女キャエル』と名乗る様になった。
その頃だろう。お姉様が嫌になったのは。私はまだ社交界には行けず、ただ友達とお茶会をする程度だった。社交界に出るよりはマシだったと思う。
『アテレス様のお姉様は本当にすごいわね。』
段々その言葉がとても嬉しかった言葉が手が届かないほど姉との距離を言われているようで憎らしくなっていた。
『どうせ私はお姉様に勝てないわよ』
『聖女のお姉様は私とは違いすぎる』
そんな言葉がどんどん膨れ上がった。醜く過ぎる感情だと理解もしている。しかしその頃の、まだ11か12の私には抑えきれなかった。きっとお姉様だったらこうはならないだろうに。
『……あんなお姉様、いなければ良かった。』
お姉様がいなかったら比べられることもないのに、お姉様がいなかったらお母様もお父様ももっと私に構ってくれるのに、私は優秀なのに家庭教師に1度も褒められないのはお姉様のせいよ。
お姉様は私よりも数段優れていた。離れすぎた差を、私は憎むことさえできない。地上から空にいるお姉様は手が届かない。
ずっとそう思っていた。お母様もお父様も家庭教師だって、ちゃんと分かっている。そうじゃくちゃ私は褒められた事がないだろう。分かっている。
皆私を認めてくれている。だけど、それはお姉様と比較した瞬間、私は誰にも観てもらえない。
ある日、お姉様が家に帰っていきた。お姉様はずっと美しい笑みを張り付け、優雅に笑う。
お姉様は階段にいる私を見て階段に登り、私の目の前にやってきた。
まだ1年と半年程度だというのに背はより伸び、伸びた銀髪は妹の私から見ても顔が赤くなりそうなほど美しく、神聖な天使のようで、人を狂わす魔性の妖精のようだった。
聖女じゃなくても、王子の婚約者じゃなくても、お姉様に私は勝てない。そう思った。
「お姉様なんて居なくなっちゃえばいい!」
私の部屋に、2人だけ。何の話で出たかは覚えていなけれど、お姉様に対しての、最初で最後の暴言。
お姉様は嫌がる私をよそに、私をギュッと抱きしめた。まだ14歳のお姉様は一般的に見たら幼い年頃で、もし私が14歳で、2歳差の妹が同じことを言ったら、絶対にお姉様と同じことをできる気がしない。
お姉様を傷つけたいわけじゃない。ほかの家族にも愛されておるのは自覚している。でもその時当たる対象がお姉様しかいなくて、泣きついた。
それからやっとお姉様への負の感情がなくなって行き、お姉様を純粋に尊敬できるようになった。
お姉様はデビュタント前の私にもよく噂が回ってくる。魔物退治とか、治療とか、はたまた他国の王子に一目惚れされただとか、話は様々だったけど、お姉様への侮辱は1つもなかった。
唯一気がかりだったのは、第1王子の婚約者、フィロソン公爵令嬢に殺されかけたと言う。私はその噂を聞いたときにすぐにお姉様に事実確認した。
連絡なしだったので教会から追い出されそうだったがタイミングよくお姉様が出てきて話ができた。
お姉様は私の話をしっかりと聞いた上で、否定しなかった。しかし、1つだけ1つだけ言われた。
「アテレス、心配してくれてありがとう。私はあの方が否定していない今、どうも対応できないけど、これだけは覚えておいて」
その時はいつもの柔らかい笑顔が消え、いかりではない何かの表情に背筋が凍る。
「噂って誰かの思惑で出来るのよ。本当の事と、嘘の事、それを見極めるのは思惑があるかどうか。」
間を空けて、続けて言った。
「……それに、あの方はそんな人じゃないわ。」
お姉様と別れてすぐにアサノン、お姉様の従者であり聖騎士に会った。
お姉様と同じ天才の部類、運よくお姉様に拾われて剣術を習えた事で聖騎士にまで成り上がった天才。
彼は帰ろうとする私を呼び止め、何故か分らないが1つだけ聞かれた。
「必ず、必ずあの方を裏切りませんか?」
どういう意味か分からなかった。でも私はただ頷いた。
アサノンは満足げに戻っていった。私も一応侯爵令嬢なんだけど……
アサノンはお姉様以外眼中にない。うまく隠しているし、お姉様は気づいていないけど、そうだと思うと態度が明らかだ。
9月後半、400年に一度の星祭り。よく400年前に今年起きると分かったもんだと思う。
この星祭りは初代聖女、フレジリが建国した日、女神様が祝福をしたそう。その日付が1月1日になっている。まあ今日は違うけど……
だから星祭りはお願い事をすると叶うとい伝説がある。私たちの世代は本当についている。この星祭りを見れるんだから。
今日はお姉様に会える。家に帰ってくるわけでわなく、教会も星祭りので色々あるのだろう。
庶民,貴族,王族関係なく出席するものが当たり前。400年に一度のこの時代に生きているのだから。
皆が集まる王都の広場、お姉様は着飾って姿を現れた。まさに聖女。気品がありつつ全ての動きが神聖に見える。
お姉様は舞を広場の真ん中で舞を披露した。そのタイミングと時を同じくして流星群が始まった。
「綺麗……」
願い事だとか、そんな事が出てこなかった。それほど美しくて、思考が停止してしまった。
お姉様の舞は精霊のようで、いや、女神様のようで、美しくて仕方なくて……
「あっ……」
流星群の中にだんだん近くに来るものが1つあった。
ぼんやりと見上げているとお姉様の頭の上で速さが緩やかになった。
「……」
ずっと舞っていたお姉様がピタリと止まり上を見上げた。
お姉様は手を上げるとそこにすっぽりと先程の流星群が手の方落ちてきた。
息を呑む美しさに何が起きたか分からない。
星の石が、お姉様に落ちてきた。その姿はまるで本当に女神様のようだった。
ある日、お姉様はやけにご機嫌だった。不思議で直接聞いてみると
「遂に夢が叶うの!」
そう今までで一番楽しそうに話てくらた。でもその夢が何かは教えて知らなかった。
でも、何か違和感が残っていた事をよく覚えている。
お姉様は昔から不思議な人だったけど、今では人なのかすら、わからなく感じるときがある。
人間っぽいのと同時に、神性と言うか、人間が踏み入っちゃいけない所に踏み入っていると言うか……
自分を犠牲にし続けているようで、心配になる人だった。でも皆はお姉様を心配しない。だってする必要がないと、ずっと証明し続けているものの。
でもそれはおかしいって、皆忘れてる。心配させてくれないお姉様はそうやって損をしているのに。
お姉様の夢ってなんだろう。ずっと考え続けていたのに分からなくって、みんなが考えるようなことじゃないんだろうと、それだけは思った。
お姉様はある日、家に帰っていた時、アサノンの言葉で顔が真っ青になった。
そうするとお姉様は王宮に行くと魔道具を使おうとした。
「っま……っ待って!お姉様!」
身体が勝手にお姉様の手首を掴んでいた。一体何をしているのかと思うけど、私はゆっくりたを緩めた。
「お姉様、明日もまた会おうね?」
「……ええ。」
お姉様はその後から姿を見ることがなくなった。もっと必死に引き留めていれば、何か変わったのかもしれない。
お姉様は王都を覆う結界を造った。なかに入った魔物を弱らせる結界。
でもあの真っ青なかおを思い出すと、お姉さんの夢はこれじゃないんだろうかと、ふと思い出す。
私はわかんなかった。なんでお姉様はあの時駆け出したのか、お姉様の夢は何なのか。それが分かる日はきっと来なくとも、私はずっと考える。
お姉様と言う人について。
キャエルは兄弟がいないとは言いましたが姉妹がいないとは言っていませんよ?




