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第13話『天候術師、建国する!』


 「ちょっとクウ!魔術を無効化ってどういうことよ!」


 「シズクや誰にでも出来ることじゃないのかい?」


 「出来る訳ないでしょ!はぁ……。まさかそんな実力を隠していたなんて驚きだわ」


 騒動も終わり、村人達を集結させて、今後どうするかを話し合っていたんだけど、皇女殿下の攻撃を受けて気絶していたシズクが目覚めた途端に、僕へ詰め寄って来たんだ。


 説明してやらないといけないですね。


 僕が天候を操作出来ること、天候を書き換える事で魔術を無効化出来てしまう事。


 長くなってしまう為、簡単に喋ることにしました。


 ポカーンっとして、シズクは僕の話しを聞いていたけど、本当に理解しているんだろうか。


 まぁ、分からなくても良いんだけどね。


 軽くあしらいながら、僕はカミスイ村の村長と話しを戻して語り合うことにしました。


 「この都は既に観光地として絶大な信頼を得ている場所です。どうせなら皇女殿下や貴族がこの土地を退いた以上、カミスイ村の方達がこの都を治めてはどうでしょうか」


 「名案だな。水源を動かす手間も省けるし、住める土地が増えるのはありがたい。だが……誰がこの都の政治を務める?私はしがない村長だ。そんな真似出来やしないよ」


 貴族が居なくなってしまった以上、この都は政治をする者が居なければ無法地帯となってしまう。


 誰か適任はいないものか……。


 そんな中、テラスが人差し指を突きつけて指名したのです。


 当たり前だと強く信念を持ち、期待を膨らませたその瞳で真っ直ぐに見つめる先。その者を高らかにテラスは宣言した。


 「居るじゃない、適任がね。シズク……あなた以外あり得ないわ!」


 「え!?私がこの都を治めろって言うの!」


 「ハハ!そりゃいい。村一番の魔術師がこの都を治めるなら誰も文句は言わないだろう」


 何て無茶振りなんだ。


 いきなりシズクに政治を任せても良いのでしょうか。この都が滅びかねないぞ。何か意図があるんだけど、しっかり訳でも聞こうじゃないか。


 きっと、テラスのやりたいことがある筈なんだ。その意図を汲み取ろう。


 「勿論、一人ではないわ。私もシズクと一緒に政治を行います。暴走するといけないしね。だけど、一つ条件があるの」


 「何でも叶えてやるよ。あんた達には希望を貰ったのだからね。否定する権利もない」


 「話しが早いわ。私の最強にして最高の魔術師クウ・スコライズをこのカミスイ村と都の領地主にして欲しいのよ」


 狙いはこれだったらしい。


 テラスは策士家だよ。誰も否定しないからこそ、こんな大胆なことが言えるんだ。


 僕の天候術を世界に知らしめる、ただその目的の為に突き進んでいるんです。だったら、僕もそれに応えよう。


 僕もいつかは、かつて国王が大事にしていた国を取り戻したいんだ。暴君の第二王子から全てを取り返さなければ、国王にも恩返し出来ないからね。


 それを踏まえて僕は今一度、村長にお願いをしました。


 「僕からもお願いします。カミスイ村の方達をこれからも護りたいんです。僕を領地主にはしていただけませんか?」


 「天候術師様がこの村を護らねぇで、誰が護ってくれるんだよ。もうクウ様の気持ちはみんなに伝わっているんだぜ」


 「ありがとうございます!この御恩は忘れません!」


 護りたいものがまた増えたのです。


 これからが正念場だ。


 他の村や妖狐の里の民、その全てを護り抜く為にこれからは、その自覚を持って僕、クウ・スコライズは支えていこうと思ったのです。


♦︎♦︎♦︎♦︎


 僕が都の領地主となり、テラスとシズクで政治の基盤も整えて、新生カミスイが誕生した。となれば、これよりテラスはとんでもないことを言い出すんです。


 僕だってびっくりしちゃったんですけど、テラスは本気だ。


 こうなった彼女は、誰にも止められない。もうどうにでもなれって思ったのでした。


 「──建国をしましょう」


 「は……はぃぃ!?」


 「建国をする為の条件は全てクリアしたわ。大きい都市の領地があること。価値のある財源を保有していること。そして……複数の領地を持っていること。これだけあれば、国として認められるわ」


 ──まさか、国を建てるんですか!?


 スケールが大き過ぎてついていけません。確かに雨の止まない村や妖狐の里の領地主だけど、誰が国王をするのかも決めてなどいない。


 いきなり過ぎて不安しかないんだけど、そんなの無視してテラスは、国としての申請書をギルドに向かい提出して行くのでした。


 行動も大胆だし、肝も座っている。


 やはり、テラスが国王になるのが相応しいと僕も思うんだけど、そうさせてくれないのも彼女です。


 満面の笑みで申請が下りたと、僕に自慢して来たのでした。


 「──テラス……なぜ僕が国王になっているんだい!?」


 「だってクウしか無理じゃない。よっ!国王様! 建国表明をするから各村の村長を集めておいてね」


 「わーいですー。クウ様が国王ですー!」


 国王になるだなんて聞いてないですけどー!


 僕の抵抗虚しく、テラスが各村長を招集していて僕は玉座に座らされています。


 拒否権なんて存在しなかったらしい。


 だとしても、本当に僕なんかで良かったのでしょうか。いや、卑屈になってはいけませんね。


 全ての大切な民を護ると誓ったじゃないですか。


 形はどうあれ、僕の願いが叶うなら。


 僕は……その責務を全う致しましょう。


 「招集ありがとうございます。天候術師クウ・スコライズです。これより民の皆様を一纏めとして、僕の大切なものを護る為として、これより一つの国としました。その名は、合衆国サンライザ。僕が居る限り、この国の魂の日ノ出は落ちません!」


 緊張したけど、大歓声が上がっていました。


 テラスさん、本当にこれで合っているんでしょうか。こんなに都合が良いと、僕だって困惑してしまうんですよ。


 僕の困り顔を見てニヤけズラするテラスは、楽しそうな上、満足気でした。テラスがそれでいいなら、僕は構わないのですがね。


 やっと、ここからがスタートラインだ。


 新合衆国が出来たと知れば、攻めてくる輩も現れるでしょう。僕は民を護る為、全力を持って阻止しようと思います。


 ──合衆国サンライザ。建国した僕は、村人達の希望の光になれるかは分からないけれど、そうなりたいと願う国王として就任致しました。


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