第一章-1 ≪キュぅべえとの出会い≫
ある秋のことだった。
二週間前まではうだるほどの熱さだったが、やっと涼しくなってきた感じがするが、今はふと窓を開けると外の風がさわやかで気持ちいい。
窓を開けた瞬間、机の上にあった漫画原稿が宙に舞う。
でも、その原稿は真っ白・・・
動かそうとしてもなかなか動かないペン。
「おい、のび太!なんでもいいから殴らせろ!」
兄の声が窓の外から聞こえる。
のび太って人は、兄の同級生。
頭もよくなく運動も苦手。
何故、あんな人を好きになってしまったのかは全くわからない。
でも、もし漫画家だったらわたしみたいに顔も良くなく漫画を描くことしか趣味のない女の子がああいう人を好きになるという展開は面白いだろうなあって思ったりする。
そんな取り留めのないことを考えていると、小腹がすいてきたことに気が付いた、夕食まではまだ時間はある。
「そうだ、おやつを買いに行こう!」
思い立って、近くに駄菓子屋に足を運ぶ。
駄菓子屋に向かう途中、後ろから不気味な足音が聞こえる。
この前、学校の先生に「最近は子供の誘拐が増えているから気を付けるように」と言われたことに気が付いた。
まあ、ただの偶然だろう と思っていると、足音は徐々に大きくなり肩を叩かれる。
「ねえ、そこの子さぁ お菓子あげるからついてこない?」
相手は大柄な男1人。
(これはヤバい)
ジャイ子は全力で走って逃げた。
「おいおい、お嬢ちゃん どこに行くんだい?」
逃げ出し始めは、5mほど差がついていたが、その差は3m、2mと徐々に狭まってくる。
やっぱり、子供と大人では足の速さは違う!
すぐ捕まってしまった。
ジャイ子を押さえつけた男は、
「ねえ、逃げるなんてひどいじゃないか! これから、お兄ちゃんと遊ぼうよ!」
と言い放つ。
絶対絶命な状況で出た言葉、
「助けて!」
その声を発した瞬間、白い光がジャイ子を押さえつけていた男を吹き飛ばす。
その男は、「覚えてろよ!」と悪党らしい言葉を放ちつつ逃げていく。
「ねえ、しっかり!」
白い光を放った少女が叫び、ジャイ子に近づく。
ジャイ子が無事なのを確認すると、彼女は安心したように一言
「怪我は無いようね、安心した!
なんで、こんな恰好しているのって? 私は魔法少女。 悪者を退治するために戦っているの。」
と、聞いてもいないことを答える。
きっと、いつも聞かれるのだろう。
まあ、漫画のネタにはできそうだ。
そして、
「もう、大丈夫そうね。じゃあ私は・・・」
と言って去ろうとした瞬間、
「いきなりゴメン、でも君にはその素質がありそうだ! 僕と契約して魔法少女になってよ!」
目の前の少女以外、人は見当たらない。
戸惑ったのは一瞬!
少女の後ろから白い猫らしき生き物が見える。
それが、キュぅべえとの最初の出会いだった・・・




