表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
檻の中  作者: 水上夕羅
2/8

2


 少年は、深い眠りについていた。毎日変わらず願っても、目を覚ました時に見える景色は何も変わらない。無機質な金属と、好奇に満ちた目。そんな毎日に、少年はいささか疲れていた。現実から目を背けるように、頑なに眠りにつく。

 深く深く落ちていく意識の片隅で、聞いたことのない音が聞こえてきた。意識を手繰り寄せ、その音を追う。それは不思議な音だった。喧騒でもなく、語る声でもない。ある一定の長さを、繰り返し繰り返し刻んでいる。その音はあまりにも澄みきっていて、少年はそのまま意識に蓋をすることができなかった。

 ゆっくりと、目を開ける。広がっていたのは、檻。しかしそこは今までいた檻とは違う、見覚えのない檻だった。檻、なのだと思う。形状はよく似ている。しかし、その檻は無機質な金属ではなく、青色の檻だった。そう、青色。

 少年は青の世界の話を思い出す。これが、自分が求めていた青い世界なのか。だとしたら、これは、こんなのは──。

「目が覚めたの?」

 突然、背後から高く涼やかな声が聞こえた。誰もいないものと思っていた少年は、驚いて勢い良く振り向いた。そこにいたのは、木の椅子に座る、金髪の美しい少女──。少女はクスクスと笑いながら、少年へと歩み寄った。

「私に全然気付いてなかったのね?」

「きみ、は……」

 驚きのあまり、口が上手く回らない。少女の方はというと、余裕な様子で微笑んでいる。

「私、キキっていうの。よろしくね」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ