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花邑杏子は頭脳明晰だけど大雑把でちょっとドジで抜けてて馴れ馴れしいがマジ傾国の美女【第3話】

「あ、あーっ!あった!96番!」

花邑杏子は腕を絡めたまま飛び上がって喜んでいる。

「えー、俺の175番はーーあ!あったぁ!」

二人、抱き合って喜びを噛み締めた。

「あ、ごめん・・・」

義範は彼女から離れようとしたが、

「ダメ」

杏子は義範にしがみついて離さない。

「もう少しだけ、このままでいてーー」

義範は限界だった。

もう、恥ずかしいったらありゃしない!なんでこんな牛乳瓶とアンニュイな時間を過ごさなきゃならないのよ?何かが当たってる?相手、牛乳瓶よ!全然なんとも思わなーい!

ただでさえ、好奇の目で見られて、社員さんたちにはひゅーひゅーなんて囃されて・・・俺、辞退しようかな。ぴえん。

「さ、手続きに行きましょうーー」

義範が杏子を促すのだがーーなんか様子が変だぞ。

「おーい、大丈夫ですかぁーー」

「ぐぅー・・・」

こいつ!・・・なんて言ったら怒られるなーーこの人、寝てるし!

「あ、おはよう」

目が覚めたか!

「いやあ、最近、ゼルダの伝説に嵌まっちゃってーー」

多分、ニンテンドースイッチのだよな。持ってないから詳しくないけど。

「『リンクの冒険』がサイコーに面白いの!」

ディスクシステムかよ!

「だって親父が物は大切にしなさいって言うから・・・」

ああもう、突っ込みどころが満載!いつ買ってもらった?女の子がお父さんのことを親父と呼ぶな!まだまだあるぞ!・・・

「さ、手続きにいこ♪」

この女ーーじゃなかった。この女の子ーーって言えばいいかな。なんてったって、相手は極道だから・・・

手続きを終えた義範はーー花邑杏子から全力で離れようと思った。

不意に電話が鳴った・・・お袋からだった。

「あんた、こっちに帰ってくるんじゃなかったん。柴山さんがうちに来たっちゃん。やけん東京で働くなら、早めにお断りの挨拶ばせないかんとよ」

柴山さんとは、内定をくれた運送会社の社長さんのことだ。

いま、俺の心は揺らいでいる。

東京で極道に脅されながら働くか、夢はないけど、地元で安定した生活を送るかーー文面だけ見れば、絶対に地元で働くほうがいいのだか・・・自分の『好き』を仕事にするチャンスを逃したら、一生後悔するだろう。

義範は、お袋に言った。

「俺、東京で働くけんね。柴山さんとこには菓子折持って謝りにいくばってん心配せんとっといてーな」

それだけ言うと、電話を切った。

さて、来月から頑張るばい。

「誰と電話をしてた?え?」

花邑杏子だぁ!

義範は一目散に逃げた。

「待てこら!殺すぞ!この野郎!」

牛乳瓶メガネにマスク姿だから、全く迫力がないが、相手は極道の娘・・・このまま逃げ切れるか。否。奴には家を知られているし、若いの引き連れてきたら嫌だから、ここは止まっといたほうがいいか・・・

「何で逃げた?」

「なんとなく・・・」

「ていうかぁ、条件反射?ってことか!」

「ていうかぁ?」

「イエスかノーか、どっちなんだよ!」

「中をとって保留ということで・・・」

「なにおぅ~?よっぽどうちの若いもんと戯れたいらしいな!」

「ひいぃ!滅相も御座いません!」

「なら、私と戯れよ♪」

「ひいぃ!滅相も御座いませんーーん?」

「イエスかノーか!?」

「はい、ノーで・・・」

「いったい、どっちなんだよ!」

「ですからーーはい、ノーで」

「だからぁ!はいなのか、ノーなのか、はっきりしろい!」

義範は頭にきていたがーー相手は極道の娘。

「ノーで・・・」

「ああん!」

「いや、はいで・・・」

極道の娘は、また腕に絡みついた。

「全く、手間取らせやがってよーー」

義範はおずおずと言った。

「あのーこれからどうするんですか」

「決まってんだろうが!祝賀会だよ!お前の奢りでな!」

「あなたの家では、祝賀会やらないんですか?」

「ああん!」

「分かりました。祝賀会ですね・・・」

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