(3)めぐりあい、辺境伯爵家!
早速、王都へ手紙を書きます。
まずは、
「カオル、久しぶりだな。このままだと、ヒロミ嬢は他の誰かに取られるぞ。すぐに来い!」
そして、
「お父様、私は怒っています。男爵家のヒロミをこちらによこして、落とし前をつけて下さい!」
素の私が文面に出ていますが、このくらいの方が、効き目あるでしょう。
◇
手紙を書いてから1週間たった午前、晴天の日差しの中、早馬で前触れの使者が来ました。
イケメンおじ様の執務室にとおし、私とヒロミ嬢が同席し、話を聞きます。
「本日、ワレニャン伯爵様、ワレワン男爵家のカオル様とご両親様が、本ローリー伯爵家に到着いたします」
「急ではありますが、カオル様が、ヒロミ嬢に結婚を申し込みます」
私は伯爵家の令嬢カオル、結婚を申し込むのは男爵家の子息カオル、今度は絶対に間違えないで下さい。
「到着が遅くなって大変申し訳ありませんでした」
いや、使者さん、普通なら10日はかかりますよ。あの手紙の効き目が強すぎたのでしょうか?
「使者様と馬に、食事と休養を」
「すぐに、お客様を歓迎する準備を」
控えていたメイド長に指示をだします。私は、もうすっかり屋敷の女王様になっています。
同席していたヒロミ嬢は、顔を手でおおい、泣いて喜んでいます。一肌脱いだ甲斐がありました。
歓迎の準備で屋敷中が忙しい中、執務室は、イケメンおじ様と私の二人きりになりました。
「伯爵様、娘の、ヒロミ嬢のお気持ちは、ご存じだったのでしょ?」
「なら、ヒロミ嬢が嫁ぐことに反対しませんよね?」
私は、最後のひと押し、念を押します。
「しかし、このままでは伯爵家の血が途絶えます」
悩める顔も素敵です。
この1週間で、ジェントルマンで、経営の手腕も素晴らしく、心の優しい方であることが解りました。
「伯爵様が結婚すれば、いいでしょ!」
「好きな令嬢はいないのですか? この際、贅沢は無しで!」
イケメンおじ様は、年齢30歳、結婚の申し込みは数多くありますが、ヒロミ嬢のことを考えてか、すべて断っていました。
イケメンおじ様の両手が固く握りしめられました。緊張しているのが分かります。
「実は、好きな令嬢が、最近できました」
いつの間に?
「そ、それなら、今すぐ、結婚を申し込みなさい」
「子供を授かれば、伯爵家は存続できます」
少し悲しいこの気持ちはなに?
「わかりました」
伯爵様が、私の前で、ヒザをつきます。え?
「カオル嬢、私と結婚して下さい」
「・・・へ?」
「貴女の、美しさ、行動力に、惚れてしまいました」
「歳の差はありますが、必ず貴女を幸せにします」
私は、顔を手でおおいました。
なんと私に、帰る場所ができました。こんな嬉しいことはありません。
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