キラウエア火山
私は、実際にキラウエア火山に行ったことは無いので、写真を見て、こんな感じかな?という感じで書きました。
なので、実際に行った人からすれば、何言ってんだコイツ?となるかも知れませんが温かい目で見てもらえると嬉しいです。
「やっぱり、山登りは楽しいですね。」
「でしょ?力を使うから、体を動かす快感も得られるしね。」
「ただ、かなり足が痛くなる事を除けばね。」
足が痛くなるのは、仕方ないことだと思う。
だって、足場の悪い山道を登れば、足なんてあっという間に棒になる。
舗装された山道を歩いても、かなり足が痛くなるんだから、ちょっとしか舗装されていないこの山道を歩くのは、かなりの体力が必要だろう。
「頂上まであと少しだから。頑張って!」
「ようやく頂きが見えてきましたね。」
「あとちょっと…」
矢野ちゃんは、まだ余裕がありそうだけど、香織はヘトヘトになってる。
それも、かなり疲れているようす。
背負って山頂まで行きたいけど、ここまで来たら自分の足で登りたいんじゃないだろうか?
「私が背負って頂まで連れて行ってあげようか?」
「大丈夫。私は歩いて行けるから。」
やっぱり、自分の足で登りたいらしい。
まあ、人に連れて行ってもらうより、自分で登ったほうが達成感がある。
その達成感こそが、山登りの醍醐味だと私は思う。
「本当にきつくなったら、言ってね?私が背負って行くから。」
「大丈夫、山登りは、自分で登ってこそのものだから。」
「わかってるよ。でも、無理はしないでね?」
これで香織が倒れたりしたら、みんな困るし、私も転移で下山しないといけないから、無理はしないでほしい。
すると、
「優花?」
「一緒に登ろう。私も、恋人に良いところ見せたいからさ。」
矢野ちゃんが、香織に肩を貸してあげる。
「ふふっ、そうだね。じゃあ、全体重をかけてもいい?」
「それは流石に厳しいかな…」
なんとも微笑ましい光景だね。
やっぱり、カップルを連れて行くなら、苦労するところのほうがいいよね。
こういう風に、お互い助け合って困難を乗り越えようとするからね。
「そう言えば、二人は山登りの時に魔力操作してる?」
「え?してませんけど…」
「したほうがいいよ。身体強化みたいに、筋力とかが強くなって、登りやすくなるからさ。」
「…それ、登る前に言ってほしかったです。」
あー…
「ま、まあ?言ってなかったおかげで、いい雰囲気になったんだし?」
「…」
「…基礎技術だから、常に使ってると思ってました。」
「それはわかりますけど、普通そんな疲れることしませんよ。」
疲れる?
そんなことないと思うんだけど…
「ずっと使ってると、体がそれに慣れて、無意識に使えるようになるよ?そうなると、基礎身体能力、記憶力、情報処理能力、後は、体が魔力に慣れて、レベルアップの効率が良くなったり…」
「え?…ええ!?」
「レベルアップの効率が良くなるって、本当?」
「劇的に変わったりはしないけど、長い目で見ると、結構効果はあるね。」
それでも、やらないよりは全然いい。
0と0.1なら、0.1のほうが断然いい。
だって、少しは得があるんだから、そっちを選んだ方がいい。
「じゃあ、今からでも遅くないよね?」
「四六時中続ければ、一ヶ月くらいで効果が出始めると思うよ?」
「よし!今から始めよ!!」
矢野ちゃんは、謎にやる気を出して、魔力操作を始めた。
しかし、ずいぶんガタガタで、魔力の流れが整ってない。
仕方ない、
「わわっ!?」
「もっと丁寧にやらないと、効果が薄いよ?」
「そ、そうですか…」
「天音…まさか、私から優花を盗ろうとしてないよね?」
「親友の恋人に、そんなことしないよ!!」
まったく、人聞きの悪い。
けど、急に後ろから抱きつくように触れるシーンだけ見ると、
浮気女の手口みたいで、私が悪いみたいになる。
…辞めよう。
「え?もう辞めちゃうんですか?」
「優花…」
「あっ、そういう意味じゃなくて、もうちょっと補助してほしかっただけで、決してそういう意図があったわけじゃないんですよ!!」
「それはわかってるから、大丈夫だよ。それよりも、香織の事を気にした方がいいよ?」
「そうですね…」
嫉妬した香織の相手をするのは、矢野ちゃんでも嫌みたいで、困った顔をしながら香織の方へ向かった。
「優花…私よりも、天音の方がいいの?」
「はぁ…そんな事ないよ。私の愛する人は、香織だけだからね。」
「本当に?」
「本当だよ。」
矢野ちゃんは、周りに人が居ない事を確認すると、香織にキスをした。
すると、香織は満足そうにして、笑顔になった。
「今、面倒くさいって思わなかった?」
「思った」
「だよね」
でも、香織は落ち込んでる様子がない。
普通、落ち込むと思うんだけど…
「これからも、面倒くさいって思うほど、優花の事を愛してるからね?」
「はいはい。私も、二度と離れないくらい噛み付いてるから、逃げないでね?」
なるほどね…凄い百合色の世界が広がってる。
そのうち、共依存し始めるんじゃないかな?
それはそれで見てみたいね。
「よし、人が来る前に登り切るよ。なにせ道が狭いからね。」
「そうですね。香織、行こっか?」
「もうちょっと休みたかったな〜」
「もうすぐで山頂だから、すぐに着くよ。」
それに、二人共魔力を全身に流している。
これなら、さっきまでよりも早く登れるでしょ?
「体が軽いですね!!」
「魔力で筋力が強化されてるから、出せる力が大きくなってるんだよ。」
「最初からこうすれば楽だったのにね。」
「それは言わないように。」
そして、私の予想通り、あっという間に山頂まで辿り着いた。
「うわ〜!!」
「凄い…」
山頂に着くと、巨大なカルデラが広がっていた。
カルデラの一部からは、大量の煙があがっていて、この火山が活火山であることを物語っていた。
「大自然の力強さを感じますね…」
「これを見ると、人間がいかにちっぽけな存在かがわかるわね。」
「そりゃそうでしょ。人間の力なんてたかが知れてるよ。この、大自然の前ではね。」
辺りを見渡すと、少し離れたところにお母さん達がいた。
お母さん達は、こっちに向かって、手を振っている。
「取り敢えず、あそこまで行かな…」
「どうしたの?」
まずい…
これは、本当にまずい。
見れば、彩も警戒心をあらわにしている。
「先輩?」
「転移するわ、捕まって。」
「え?あ、はい。」
私達は、山に登ってすぐに下山することになった。
理由は、火山の中にあるダンジョンが、スタンピードを起こそうとしていたから。
火山の中にダンジョンがあるなんて、聞いていない。
来る前に、色々と下調べをしたが、そんな情報はなかった。
「天音、どうする?」
「スタンピードは放置していてもいいんじゃない?魔力の位置から逆算して、ダンジョンは溶岩の中だろうし。」
「なら、スタンピードが起こりかけている事を報告するだけでっ!?」
突然、地響きとともに、大地が揺れだした。
それと同時に、魔力を帯びたナニカが盛り上がってくる。
「あー…本当に放置して大丈夫だよね?」
「大丈夫じゃない気がする…」
私は、心配そうにしている香織と矢野ちゃん、お母さん達の方を向くと、集団転移でホテル前に飛ばす。
「取り敢えず、ホテルで待機するか、周りの指示を聞いて行動して。あっちは、私と彩で対応するから。」
「大丈夫なの?」
「場合によっては、火山を彩に任せて全員を日本に転移させる。」
「そんなに?」
そんなに、か…
「もしかしたら、ハワイ全体に影響を及ぼすほどの大噴火が起こるかも。」
「それ、大丈っ!?」
話の途中で、凄まじい轟音が響き渡った。
振り返ると、噴火が始まっており、大量の噴煙が吹き上がっていた。
「まずい…今すぐ日本に転移させる。一箇所に集まって。」
私は、集団転移でみんなを日本へ飛ばす。
「ちょっと、火山の噴火をなんとかしてくる。」
それだけ言って、返事を待たずに転移した。
「うっ!?こんなところにまで噴煙が…」
「おかえり。どうする?これを止めるのは至難の業だよ?」
「いくら昇華者といえど、大自然の力である噴火には敵わないでしょ?なら、民間人の避難を手伝った方がいい。」
突然の噴火だ、流石に予測出来てないだろう。
それなら、近くの住民を私達で逃がす。
「珍しいね。天使が人助けをするなんて。」
「勘違いしないでほしいね。これは、人助けじゃなくて、好感度アップの為の慈善活動だよ。」
「なるほどね、これから下がる一方の好感度を今のうちに上げておくのね。」
そうじゃなきゃ、こんな事はしない。
だって、人間がどうなろうと関係ない。
それに、何万人と死んだところで、私には大した事影響は無い。
なら、わざわざ助ける必要もない。
それでも、民間人を助けるのは、好感度を上げておくため。
「それじゃあ、近くの住民から逃していきますか。」
「と言っても、何処に逃がせばいいと思う?」
「近くに避難所があるから、そこに転移させればいいんじゃない?」
すると、彩は転移で避難所に案内してくれる。
「ありがとう。じゃあ、始めましょうか。」
私達は、別々に転移して、民間人の救助に向かった。